tomito @tomitob.bsky.social · 02/10/2026W・F・ハーヴィー『五本指のけだもの』横山茂雄訳 国書刊行会 #読了 怪奇小説の短篇集。とはいっても、怪物どーん、恐怖ばーんという短篇はなくて、どれもじわりと迫るような怪奇ぶりだった。「炎暑」がよかった。予言を入れ込む角度がよかった 060
tomito @tomitob.bsky.social · 23/09/2026アンドレア・アブレウ『両膝を怪我したわたしの聖女』村岡・五十嵐訳 国書刊行会 #読了 舞台はスペイン・テネリフェ島北部。そこに住む10歳の少女「わたし」はイソラという同い年の少女といつも一緒にいる。少女の思考をそのまま写し取ったかのようなドライブ感のある文体は、美しいものも醜いものも原色のまま突きつけてくる。 イソラは「わたし」にとって憧れの存在なので、その思いは同一化の欲望となり「わたし」の視線を支配する。しかし、その思いはちょっとしたきっかけで憎しみに反転する。大好きだけど大嫌い、というやつである。その不安定さにめまいを覚えながら読み終えた 070
tomito @tomitob.bsky.social · 19/09/2026ウィリアム・ギブスン『カウント・ゼロ〔新版〕』黒丸尚訳 早川書房 #読了 三つのエピソードが並行して進んでいく。ガジェットは魅力的だしAIの使い方も完全に現代を見越している。ただ80年代ゆえか、小説あるいは物語からの要請か、断片は収束すべきものとして配置されているように感じた。ポストモダン的世界観でさえ古い現代にあって物語的な収束は、統一感をもたらすどころかむしろバラバラであることを補強するために信じられているような印象がある 090
tomito @tomitob.bsky.social · 17/09/2026松田青子『英子の森』河出文庫 #読了 表題作は得意なもの、得意だと自分が思っている、思わされているものに縛られる話。この「森」は隠喩で、寓話的になったりリアリスティックになったりする語りの工夫に一役買っている。メルヘンな感じかと思いきやどの短篇も風刺がきいていた 090
tomito @tomitob.bsky.social · 13/09/2026パヴェーゼ『故郷』河島英昭訳 岩波文庫 #読了 刑務所から出たばかりのベルトとタリーノ。タリーノにしつこく誘われベルトは彼の故郷である農村に行くことにする。本作の語り手はベルトである。タリーノの故郷にて脱穀機を操作する仕事を任されたベルトは、彼の妹であるジゼッラに惹かれていく。 閉塞感を強めていくような田舎の描写がよかった。都会/田舎、水/血の対比などいろいろ読むことはありそうだけど、気になったのはタリーノに対するベルトの感情だった。批判的な描写が多いのにベルトはそもそも彼についていったのだし、いまいちベルトのタリーノに対する気持ちがわからなかった。 1100
tomito @tomitob.bsky.social · 01/09/2026ハルムス『ハルムスの世界』白水社 増本浩子ほか訳 #読了 本書の掌編を分類するなら不条理文学となるのだろうか。とはいっても不条理文学としてよく名の挙がるカフカのような理由なき彷徨タイプではなく、どこか最初から底が抜けている。簡単にひとはいなくなるしみんなそれでべつに平気らしい 060
tomito @tomitob.bsky.social · 22/08/2026メルヴィル『ビリー・バッド』飯野友幸訳 光文社古典新訳文庫 #読了 やはりポストモダン的な読解がしっくりくるかなー。ここで言うポストモダンとは読解の焦点が定まらないくらいの意味で、この小説はつねに「これだ!」という確信を外してくる。 たとえば、ビリーは不運な主人公であると読むやいなや、でも人ひとり殺してるのは確かだしなあ、みたいな感じでひとつの決断の裏から別の解釈が顔を覗かせる。 あと、処刑に際してのビリーのおとなしさが不気味だった。ビリーの肉声はかなり抑制して周りの声や風景描写などで処刑を描いていた。 050
tomito @tomitob.bsky.social · 16/08/2026綿矢りさ『手のひらの京』新潮文庫 #読了 舞台は京都。長女・綾香は結婚への焦りをつのらせている一方、モテまくり人生の次女・羽依は職場の上司と恋仲になり、大学院で研究に没頭する三女・凜はいずれ京都を出ようとしていた。いけず概念の勉強になった。次女のブチギレは迫力があった 060
tomito @tomitob.bsky.social · 14/08/2026愛のゴリラの短歌まとめ 愛のゴリラの短歌がそれなりの数になってきたので整理も兼ねてまとめてみました。もう少し詠めたらいいですね #短歌 #tanka 0101
tomito @tomitob.bsky.social · 03/08/2026『山頭火俳句集』夏石番矢編 岩波文庫 #読了 種田山頭火の俳句が1000句と日記のいくつかが収められている。日記部分をようやく読み終わる。物事をありのまま見ようとする透徹した視線とどこか投げやりな様子が一句のなかで共存している。次の有名な句は昭和4年の作。 どうしようもないわたしが歩いてゐる/種田山頭火 070
tomito @tomitob.bsky.social · 29/07/2026ガストン・ルルー『オペラ座の怪人』平岡敦訳 光文社古典新訳文庫 #読了 パリのオペラ座を舞台に、怪人エリック、歌姫クリスティーヌ、貴族ラウールの三角関係が描かれる。原作はミステリ色が濃くペルシャ人が重要な役を担わされていた。ファントム(原作ではエリック)がイケメンだった映画ではどうだっただろう。あまり覚えてない。日本ではオペラ座の怪人といえば劇団四季のものが有名だと思う。 というわけで!四季劇場に観に行ってきました!いやー原作読んでから行ってよかったー。原作を読んだことで歌と歌のあいだの感情の揺れ動きが補完できてすんなり入ってきた。 070
tomito @tomitob.bsky.social · 27/07/2026ボリス・アクーニン『リヴァイアサン号殺人事件』沼野恭子訳 岩波書店 #読了 19世紀末のパリ、大富豪の怪死をきっかけに乗り込んだ豪華客船リヴァイアサン号が舞台。めっちゃミステリだった。過去の事件のショックで主人公のモミアゲが白いのだけど、となるとどうしても北大路欣也がちらついちゃうよね。とはいえ主人公はイケメンらしいからぜんぜん欣也ではないんだろうな 030
tomito @tomitob.bsky.social · 24/07/2026小田雅久仁『本にだって雄と雌があります』新潮社 #読了 小学4年生の土井博はある夜、祖父の與次郎が定めた「書物の位置を変えるべからず」という絶対の掟を破ってしまう。そこから本好きからするとリアリティのある展開が繰り広げられる。積読はマジで知らないうちに増殖するので。しかし本書の展開は戦争に及んだりしていて壮大だった。ユーモアをちりばめた擬古文調の文体だった 060
tomito @tomitob.bsky.social · 10/06/2026シルビア・オカンポ/アドルフォ・ビオイ・カサーレス『愛する者は憎む』寺尾隆吉訳 幻戯書房 #読了 端正なミステリという印象。舞台はアルゼンチンの保養地マル・デル・プラタ近郊の砂丘地帯にあるホテル。医師である主人公は、そこで起きた二件の連続殺人を解明しようとする。 040
tomito @tomitob.bsky.social · 31/05/2026リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』藤本和子訳 新潮文庫 #読了 再読。さすがに古くなってるかなと思いきやまだまだかっこいい。 「ここでわたしの人間的欲求を表現すれば、――わたしは、ずっと、マヨネーズという言葉でおわる本を書きたいと思っていた」(215) 030
tomito @tomitob.bsky.social · 24/05/2026川上弘美『なめらかで熱くて甘苦しくて』新潮社 #読了 四大元素(水・土・空気・火)と「世界」のラテン語をそれぞれタイトルに持つ短編集。少女の想像の中の奇妙なセックス、女の自由をいまも奪う幻の手首の紐、母の乳房から情欲を吸いだす貪欲な嬰児などがとりとめのない文体で語られる。その文体が極まりすぎていることが理由だろうか、感想を言うのが難しい作家のひとり。 060
tomito @tomitob.bsky.social · 21/05/2026フアン・ルルフォ『黄金の軍鶏』杉山晃訳 国書刊行会 #読了 面白かった。『ペドロ・パラモ』に垣間見た圧倒的な「小説ぅぅぅ!」感はないけど、その道を究めた者が簡単な動作だけで敵を倒すような熟達した呼吸を感じた。ルルフォはめちゃくちゃ速くて乾いてるのになぜかしっとりするんだよな 040
tomito @tomitob.bsky.social · 16/05/2026ジョージ・ソーンダーズ『短くて恐ろしいフィルの時代』岸本佐知子訳 河出文庫 #読了 ユーモラスな語り口ながら独裁の始まりから終わりまでを描いた内容には恐ろしさを感じた。作者は特定の人物を想定していないらしいが、トランプ政権をモデルにしたと言われても違和感ないし今の日本のことだと言われても納得してしまうかもしれない。 ハッとしたのはマスコミの描き方。どこからともなく湧いてくる小人がマスコミの寓意なのだろうが、その小人たちは独裁の誕生をさんざん煽っておきながら独裁者が倒れるや否や「国民は騙されてしまったのか」などと言い始める。クソやわー 0343