花が咲くのも花が美しいのも、誰のためでもなく花自身のためであり、こちらの都合などお構いなしというのもそう。だから世界もなんの保証もするはずがなく、理不尽も苦しみの置き場も、ただあるようにあるというのが基本なんだと思う。許せない重みを勝手に背負っているかと思えば、ほんの些細なことで夕方の空のひかりへ目がいく底の浅さや軽さもあって、そうした浅さでひとは生きていけるのでしょう、と書かれていたのは星野道夫のエッセイだった。ほんとうは、物事がこちらのささやかな想像力など上回ってくることに、ただ驚いていられたら、と思う。