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読書感想:月華の戦姫と禁忌演算1 ~電脳決戦都市の観測者、少年の瞳は全ての科学を解析する~
さて、時に画面の前の読者の皆様は「落第騎士の英雄譚」、「学戦都市アスタリスク」辺りの作品をご覧になった事はあられるであろうか。今の時代、そろそろ原作を読んだ、またはアニメを見た、という読者様も少しずつ減り始める頃であろうか。今のラノベ界には今の良さがあるが、かの時代は異能バトル全盛期とも言えるかもしれぬ時代であり。あの頃にはあの頃の良さがあった、というのは確かである。
という事でこの作品は今、あえて異能バトルを前面に押し出した作品であり。どこか懐かしさもある熱さに満ちているお話なのだ。
「ちくしょう、どうしてこうなったっ!?」
エミメントと呼ばれる科学武装が存在する近未来。総面積五百万平方フィートにも及ぶ学園型海洋船フィレミニウムへ向かう連絡船の中。転校生として入学する少年、電司が遭遇したのは、同じく転校生である少女、月姫(表紙)がリバースしている、という今の時代だとあまり見ない衝撃的な現場。
「やったわね、電司!」
「やったな、月姫」
一先ず上陸後、酔い止めと水を買ってきて上げて、案内人としてやってきた生徒会長、天華とも合流。まずは歩き出した中、遭遇したのは巨大ロボの暴走現場。尻込みする理由はない、天華からエミネントを借りた電司は彼だけの武装、今まで誰も適合できなかった「電眼」を起動させ、己のエミネント、「プリズマティック・バニー」を起動させた月姫と合流、共にロボットを鎮圧。同じ戦闘を経験したことで仲良くなる事となる。
「うん、友達。そうね、あたしと電司は友達よね!」
共にトレーニングをしたり、月姫に因縁のある男子、鏡矢に絡まれたり、二人心のままにぶつかりあったり。 友達として絆を深め、天華のメイドでもあり教師でもあるシャルロッテと関わったり、技術者となっていた幼なじみ、理瑠と再会したり。ここにあるのはくそったれな青春。その中で目指していくのは、武の祭典、「ワールドクラウン」での優勝。勝者に与えられる願いをかなえる権利、それで史上最悪とも名高い侵略型電脳ウイルス、「ハーメルン」に侵された妹、灯蝶を救うために。
「ちょっと最強になるか」
「好きな子の力になりてぇって思うのは普通のことだろ」
けれど、ある日唐突に明かされるのは、月姫の実家が「ハーメルン」を開発したという事実。彼女が明かすのは、己の我儘で暴走する「ハーメルン」への対応の時間を奪ってしまった、という事。責任を感じ傷つく彼女を救うため、電司は立ち上がる。全ては彼女の力になる為。
「なんであたしに『助けて』って言わないのよ!!」
しかし彼女が伝えてくるのは思い違い、抱え込むのではなく共に背負う、という事。
「俺はもう、お前をぶっ飛ばさないと気が済まねぇ」
彼女のささやかな願い、踏みにじった黒幕を穿て。突き付けるのは決闘への誘い。
「あたしの前ではずっとずっと―――格好いいままの電司でいてよぉッッ!!」
「―――ビリビリいこうか」
彼は最強ではない、凡庸だ。それでも戦う、凡庸なりの手札で。が、その先黒幕は己のエミネントにハーメルンを投与、あっという間に絶体絶命。命こぼれゆく中聞こえてきたのは月姫の叫び。
・・・・・・立ち止まる理由は、ない。信じてくれる人がいるなら、その理想にだってなってやれ。どれだけボロボロでも格好悪くても、譲れない意地を貫き通せ。
「だから今度は―――あたしが頑張る番っ!!」
決闘の先、飛来する巨大ハーメルン。切り札は月姫のエミネントに込められた、倒すための特効薬。 彼女一人では届かぬ、電司と共に飛び出して一撃を届かせて。
「おにいちゃんは渡さない」
「電司くんは私のものですよ?」
「当たり前じゃない。あたしたちが力を合わせたら最強なんだから!」
その先、電司を中心に全てが動き出したと知らぬまま。二人はともに、月に手を伸ばす事を選んでいくのだ。
正しく、熱い。燃える、燃え上がる、燃え盛る。 これこそ今の異能バトルの最前線、と言えるかもしれぬ。どこか懐かしくもある、心躍る燃え上がる面白さがあるこの作品。心燃やす面白さを見てみたい方は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
月華の戦姫と禁忌演算 1 ~電脳決戦都市の観測者、少年の瞳は全ての科学を解析する~ (オーバーラップ文庫) | 六海刻羽, TAiGA |本 | 通販 | Amazon