Sign in

ヨハク

@chibichibibier.bsky.social
52 followers 30 following 381 posts

絶望と孤独のあいだで 今夜も息を吐き出すだけの作業 前向きな話の入荷予定なし 皮肉は必要量のみ配置 明日の光は こちらの都合を無視して勝手に訪れる物理現象 寝坊というエラーすら上書きして 世界は素通りしていく 期待は置いていって ここは 夜が過ぎるのを待つだけの記録地点

PostsRepliesMedia
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 7h
世界を呪うなら せめて姿勢くらいは崩したくない ソファに深く座り 誰にも頼らず 誰にも期待せず これ以上何を失えば満足するんだ と勝手に世界へ判決を下していた? かなりいいところまで行った もう誰にも救われなくていい むしろ救われるくらいなら 最後まで格好をつけていたいとまで思う ここで泣いたら負けだし スマホに意味深な文章を残すのも少し安い せめて最後くらいは 堂々としていようと思って 立ち上がり ローテーブルの角に足の小指をぶつけた
010
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 02/10/2026
“死にたい”という毒は 案外まずい 効き目が遅いくせに 妙に癖になる 最初はほんの一滴 コップの底に垂らした程度だった 次の日には二滴 そのうち 真水の味より毒の味のほうが 舌に馴染むようになる ここまで来ると もう病気なのか趣味なのか 本人にも区別がつかない 人間なんて たいていそのへんの生ぬるい場所から壊れ始める
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 29/09/2026
パーキングエリアの端っこで 潮風に背を向けて ペットボトルの蓋をあける 夜の淵に立つ敗北者を気取り 街灯へ視線を投げる 誰かがこの佇まいに気づいて 引き止めるのを 視界の端の車影越しに 計算しながら 親指で打ち込む意味深なテキスト 背後で響く後方の排気音 素通りしていく大型トラック 泥水がジーンズの裾を茶色く濡らす 誰も見ていない暗闇の中で 手慣れた指先が 画面の文字を全消去し ドアを開け スマホを助手席にほり投げる
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 28/09/2026
“どちらでも大丈夫です” と笑顔で首を傾げ 完璧な謙虚さを演じてみせる 相手に決定権を譲渡する 配慮者の仮面を被り 選択の失敗や不満の責任を すべて第三者に押し付ける 完璧な無傷の領域を確保したつもりだった 意思を持たない 従順な人間として 社会の”普通”に擬態している間 脳内では 自分の手元を汚さずに 損害を回避するための 冷酷な計算が高速回転している 決断を委ねられた相手は ボクの顔すら見ず 売れ残った冷えた日替わり弁当を ボクの目の前に無言で叩きつけた
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 26/09/2026
“元気?”と突然届いた画面を前に 昔を懐かしむほど純粋ではない 返信をわざと遅らせて焦らし 優位に立とうと 姑息な計算をを起動させ 戻ってきてほしいなら “一度ボクの生活から完全に消えてみろ”と 脳内でマウンティングの妄想を過熱させ フリック入力の指を止めた瞬間 イートインの店員が無言で テーブルを冷たい雑巾で拭いた あいつを焦らしていた時間など 単に長居して 店員に迷惑がられている 不審者として 処理されていただけだった 慌てて残りのぬるいお茶を飲み干し まだ打ちかけていた 虚勢の返信用テキストを全選択して消去した
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 23/09/2026
”生きているのは 死ぬのに良い方法が見つからないだけ” と考えると 自分の人生が ずいぶん消極的な保留に見えてくる 何かを望んでいるわけでもない 未来に期待しているわけでもない ただ決定的な一手だけが見つからない だから今日も飯を食い 風呂に入り スマホを充電する 死ぬほど嫌なことは山ほどあるのに 最後の手続きだけ妙に面倒だ チャイムが鳴る 宅配便だった 受け取りを後回しにするほどでもない 荷物だったので 玄関まで歩いて判子を押した 荷物の中身は 替えのトイレットペーパーだった
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 22/09/2026
理由もないのに 頭の中の音だけが 層を増やして 机の端を指で叩く回数が 勝手に増える この回数に意味なんてないのに “三回叩いたら形が揃うかもしれない” とか勝手な思考が動き出す 叩く音が少しズレるだけで ”今のズレが形を壊した”とか 勝手に暴走して ズレた音が そのまま別のズレを押し広げ 呼ばれたズレが さらに別の崩れを連れてきて 崩れの予兆だけが 静かに厚みを増す “もう全部崩れるかも”と そのまま崩れの方向へ滑り落ちる 机の上の時計が 1秒ごとに 迷いなく一定の速度で進んだ
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 22/09/2026
人を本当に信頼するのは 難しい そう思いながら 相手の話を聞くふりをして 視線だけ机の端へ逃がす 逃がした視線の先で 埃が一粒だけ光って見える その光り方が妙に気になって “この人の言葉より埃の方が信用できるかも” とか意味不明な暴走が始まる 相手の沈黙が長くなると その空白を勝手に埋めてしまう 補完した沈黙が そのまま別の沈黙を呼び 疑いの形だけが先に固まる 信じる形を作る前に 疑いの輪郭だけが先に立ち上がる だから視線だけが 場の形を保とうとする 部屋の空気が 一定の温度のまま 動かなくなる 机の端の埃だけが まだ光っている
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 20/09/2026
麻婆豆腐に甘口を選ぶ奴は 人生の半分を損している 本物のシビれを知らん奴はアホかと そう思っていた なのに四川専門店の激辛を 一口食った瞬間 脳内の全回路がショートした 痛い 旨味ゼロ ただの暴力 でも「辛いやんけ」なんて 弱音を吐いたら 連れてきたツレの前で ボクの通ぶった発言が 全全全全否定される この地獄のドロドロを 「この花椒のシビれが本場なんだよ」 とドヤ顔で言い張り 笑顔でスープまで完飲してみせた 本物を理解する男というポジションを 守るためだけに 胃袋を丸ごと差し出す醜い取引 自分の見栄に命を削っているだけなんだ 喉の奥から 予期せぬ大きなしゃっくりがひとつ跳ねた
090
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 20/09/2026
他人の小さな失敗を見た瞬間 口元だけを真顔にしておく 笑うと性格が悪い 心配そうにすると人ができている 少し黙れば事情を理解している大人 という具合に顔面で三択を始め 最後は「別に羨ましくないし」 まで勝手に付け足す 相手が困っている横で こちらは黙って 顔だけを選んでいる ところが相手は 机の下の消しゴムを拾い 何事もなく使い始めた 親指だけが スマホの画面を二度つけて 二度消した 画面には何も届いていなかった 通知欄も空白のままだった
070
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 19/09/2026
返信が遅れると面倒になるから と自分に言い訳をし みんなで笑っていた連絡先を 画面の上から順に消した 翌朝、通知が一つも来ない部屋は静かで 身体だけが勝手に警報を鳴らし 切ったのは人間関係だと思っていたが あのテンションを維持する係を 辞めただけなのかもしれないと気づいた
070
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 18/09/2026
元気な日に約束した集まりへ 行けなくなったことだけを送った そのあと、グループの通知を切った 誰にも怒られなかった 誰も追いかけてもこなかった 冷めた自分が 関係を切ったのだと思っていたが 最初からそこでは 動ける日の自分だけが 会員だったのかもしれない
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 18/09/2026
"もう無理"と言いながら 紺のきつねを食べる 何が無理なのかは まだ決めていなかった ただ油揚げが美味い夜に 今日一日の重さを 少しずつ足していた これほど美味いのは きっと今日が重かったからだ もう一口すすった 湯気が上がるたび 何もなかった一日に ひとつずつ重さが増えた よくやった と勝手に値札を付けた ただ そういうことにしておいた 湯気が消え カップの底が見えた 何も残っていなかった 箸で油揚げを探したが もうなかった
080
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 17/09/2026
SOSを自分で出せる人間は まだ計算ができている 自販機の横で 大袈裟にため息をつき 通行人の視線を盗んで 被害者ぶる 自分が一番損をしている そんな顔をしておけば 過去の言動のツケを うやむやにできるという 汚い企み 絶望の看板を掲げて 他人の同情を乞う姿は ただの傲慢な 承認欲求の裏返しだ 隣のベンチに座った男が 缶ビールのプルタブを引く
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 17/09/2026
嘘をつくコツは 本当のことを九割混ぜることじゃない 本当のことを言うときの顔で 一番どうでもいいウソを一つ混ぜるんだ 「昨日は深夜に寝た」は本当で 「白湯を飲んだ」だけを嘘にする この無意味な一粒で 脳が勝手に相手より上の階層に立つ 自分だけの小さな秘密が ありがたいお説教を 下々のノイズに変えてくれる わざと目を泳がせると 奴はボクの揺らぎを見破った気になって 満足そうに頷いた 返事の代わりに ポケットのレシートを爪で引き千切った
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 16/09/2026
早朝に急に湧いてくる焦りは 精神が繊細だから起きるんじゃなくて 今日の自分の無能さが バレる前に逃げ道を打つための ずるい予防策でしかない 目覚ましより二時間早く起きることで 「あー体調最悪だわ」 という不可抗力をあらかじめ仕込み ミスも連絡の遅れも 全部病気のせいにできる状態を確定させる この早朝覚醒を “深遠な恐怖と戦う可哀想なボク” として脳内で美化する 二重の狡猾さまで巡らせておけば 完璧に責任から逃げ切れるという計算だ そうやって 絶望の深さを演出している最中 手首のスマートウォッチは 脈拍数毎分五十八という 完全に平常な数字を冷たく表示している
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 15/09/2026
相手の顔色に合わせて 頷いておけば 自分が悪者にならずに済むから いつも都合よく 理解のあるふりをする 波風を立てる手間や 嫌われるリスクを 全部相手に押し付けて 自分だけ安全な位置で 評価を回収する計算 そうやって いい人であり続けることで 相手が抱える 面倒な後始末や負担から ずっと逃げ続けている 言い訳を飲み込んだまま 壁に預けていた背中に ぐっと体重をかけ直した
061
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 13/09/2026
真夜中のビル群が 透けたガラスみたいに僕らを閉じ込める 濡れたアスファルトに落ちた ネオンの破片を 踏みつけないように歩いた キミの影がすこしだけ ボクの影をかすめて そのまま夜のなかにほどけていく 壊したいと叫ぶ代わりに 信号の赤が静かににじんだ 誰もいない歩道橋の上で ガラスを切り裂くような冷たさが 胸の奥でひっそりと破裂している 愛していると言えば この街の静けさを壊してしまうから ボクはただ呼吸を止めて キミの視線が消えていくのをみている 破片になった言葉たちが 夜空のすきまに散らばって 誰にも聞こえない叫びのまま とおくへ とおくへ 落ちていく
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 12/09/2026
脳内で完璧な論破手順と 復讐の正当性を組み立てながら 自販機で買った コーラのキャップを 勢いよく捻り上げる 怒りの熱を押し殺すように 一気に流し込んだ液体が 予想を超えた冷たさで 食道の途中で痙攣を引き起こす 激しい炭酸の逆流が 鼻腔を突き抜け 脳内のロジックもろとも 盛大に路上へ噴き出す むせ返る胸元を押さえ 涙と鼻水で グチャグチャになった顔を シャツの袖で ガシガシと拭いながら ゲップと一緒に吐き出された炭酸の泡と 路上に広がる 褐色の液体だけを見つめて硬直する
041
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 12/09/2026
点滴チューブの液滴が 1秒おきに一定の速度で落ちていく 手首の静脈を指で擦るたび 皮膚の下の流れがわずかに揺れ 体の内側だけが規則から外れていく 差し出された親切の数だけ 肩がすくみ 体の輪郭を薄くする動作が いちばん体力を奪っていく 言葉より先に 存在の密度が減っていく感覚 点滴は同じ速度で 落ち続けるのに 自分のほうだけが 静かに消耗していく 外側の規則性と 内側の乱れが 同じ空間でずれたまま並んでいる
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 09/09/2026
白湯を飲む人間の 丁寧な自意識が鼻につく 白湯とは 要するにただの熱湯であり そこに白んだ精神を付け立てて 有難がるのは 一種の自己催眠に過ぎない と冷めた思考を巡らせながら マグカップへ湯を注ぐ 立ち上る湯気を冷笑し 自身の醒めた知性を噛み締めた刹那 一口目の湯が 上顎の粘膜を強烈に焼き焦がす ジュッと嫌な音が頭蓋に響き 舌の表面が脱熱して ザラザラとした異物へと変わる 高尚な批評は瞬時に霧散し 激痛に顔を歪めて冷水機へ走り 蛇口に口を寄せて下品に水を飲み干す 口内に残るのは 白湯の美学などではなく ただただ水ぶくれを起こしかけた 上顎の鈍い痺れと 惨めな体温だけである
080
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 06/09/2026
一定の間隔で肘や肩の支点をずらし マットレスの上で体勢を変える 綿のシーツに体重を預けるたび 布地にはゆっくりと細かい跡が刻まれていき 触れた部分のわずかな凹みとして残っていった 朝五時 アラームに合わせて起き上がり 背後の布団を見た瞬間 そこには身じろぎを繰り返した痕跡が 固まったしわとして荒く残っていた "よく眠れた"のではない 一晩かけて布地を踏み荒らした質量が そのままそこに残っていた
070
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 04/09/2026
立ち上る湯気の向こうで 鴨南蛮と名付けられた器の中に 身慣れた鶏肉が並んでいる 期待していた本物とは違うものが 差し出され それに対して 文句ひとつ言わずに 箸を進めている自分に気づいたとき ふと奇妙な違和感が走る 間違っているのは 目の前の料理ではなく 最初から "客"という役割を従順に演じ続けている 自分自身の側ではないのか? すり替えられた肉を 黙々と噛み締める口元の冷たさだけが リアルに存在し 正しい注文を求めていたはずの意思は あやふやにボやけていく 正しい返答も怒りも訪れないまま ただ平然と咀嚼を続ける自分の口元と ぬるくなっていくつゆだけがそこに残っている
080
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 03/09/2026
完璧なアイデアだと思って ノート一面に書き殴った文字を 明るくなった部屋で読み返す そこに並んでいるのは 支離滅裂な単語の羅列で 昨夜のボクが 高揚感の中で 何を企んでいたのかさえ思い出せない 何でも変えられると 信じ切っていた勢いはどこへ行ったのか 手元に残ったのは 汚い手書きの紙くずと ずっしり重い疲労感だけだ 溜息をつくでもなく ただその紙を小さく折りたたんで ゴミ箱へ放り込む 世界は何も変わっていないし ボクも相変わらずここにいる 氷が溶けきったグラスの底に 水滴の輪が残っている
071
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 02/09/2026
生きていることが恥ずかしい と思うたび それを ”まだ生きているからだ” と言い換えていた 恥ずかしいと思うたび まだここにいることだけは わかってしまう だから、恥ずかしさを捨てられない 捨てられないまま また今日も自分の中に置いている 恥ずかしいと思う自分を嫌いながら その自分だけは置いていけない 恥ずかしいと思う自分を嫌いながら その自分がいることだけは なぜか確認してしまう 今日も そこに置いたままになっている
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 01/09/2026
不摂生を語る 語るということは 少なくとも不摂生というものを 口の外へ出したということで これは少し進んだように見える だが、その口でまた何かを口へ運ぶ 出す口と入れる口が同じなので 話は急に妙になる 不摂生を口にしているあいだに 何かを口へ運んでいる 反省しているのか していないのか そんなことは書かれていない ただ 語る口があり 運ぶ動作がある そして その手前で立ち止まっている 何かをやめられないから 立ち止まっているのかと思ったら そうでもない 語ることはしている 口も動いている 動いているのに この手前で止まっている 口だけは、なかなか忙しい
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 29/08/2026
眠れないまま 午前四時を過ぎると 死にたいという考えが 急に もっともらしく見えてくる 不満の提出先も 不満の内容も わからないまま 人生の結論だけ 暗いほうへと向かっていく 参加届も 出した覚えがないのに 午前四時を過ぎると 参加していない人生にまで 口を出したくなる 数時間眠れなかっただけで 人生まで信用できなくなるくせに そのまま 人生の最終審査に 自分を提出しようとしている
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 29/08/2026
手術の説明を聞いているあいだ ボクは何度も頷いた "大丈夫です"と言うたび 医師の顔を確認する 帰宅して鞄を開けると 手渡された書類と 入院の案内だけが入っていた 説明の内容は何も覚えていない 身体の決定をする場所で ボクが費やしたのは "聞き取りやすい声で返事をする" という作業のコストだけだった
150
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 28/08/2026
“あの人は事業に失敗したから”と 人は他人の悲劇に 1つの見出しを貼りたがる だが、 人を自殺に追いやるのは 巨大な1つの絶望ではない 仕事のミス 重い不眠 返信のない画面 足の踏み場もない洗濯物 それらが狭い部屋の中で 同じ時間に一気に重なったとき 逃げ場が消える 午前3時 鳴らないアラームの横で 天井の模様を数える 1つの物語ではなく 日常の重複が 息をする隙間を物理的に埋めていく
030
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 28/08/2026
鏡の奥の黒目が 脳内だけで空回りするゴミくずを 確実に捕らえて離さない 八割の悩みは考えすぎだという 誰かがタイムラインに捨てた 安価な正論を免罪符にして 肥大化した醜い自意識を 今夜も優しく撫でまわしている 吐き出した息が 洗面台の白い陶器に当たって消える 手首に触れた 充電端子の金属的な冷たさが じわじわと突き刺さる フローリングに反射する LEDの青い光と スリッパの底が擦れる乾いた音 不均等に繰り返される呼吸が 脳内のノイズと同期していく パーセンテージだけが 増えていく画面を閉じて コンセントを引き抜く いや 今夜はブレイカーから落とそう
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 26/08/2026
“少し寝過ぎた”と送信して スマホを握ったまま改札へ向かう 信号が青になり 横断歩道を渡るけど 歩幅は少しずつ狭くなり 前を歩く人との距離が開く 階段では一段飛ばしだった足が 一段ずつになる ホームまであと数十メートル 通知欄には送った言葉だけが残り 足元には遅くなった歩幅だけが残る
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 23/08/2026
診察室で "どうしても外に出られない" と告げると 医師は手元の端末に "適応障害・要安静" と打ち込み 処方箋を印刷する 紙を受け取り薬局で薬をもらう 提示したはずの身体の激しい拒絶は 分類コードと 投与スケジュールの数字へ変換され 指定された日付に 通院を繰り返す工程へと組み込まれる 言葉とは 個人の内にある苦痛を 解明する道具ではなく 社会という 巨大なシステムが エラーを出さずに処理するための データ変換器だ
160
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 22/08/2026
暗い部屋で”死にたい”と検索すると 相談窓口の番号が表示される 親指は通話ボタンを押さず 電源キーを長押しする 光が消えた画面には 誰からの通知も届かず 暗いガラスに 自分の輪郭だけが映る 画面の向こうに どれだけ番号が並んでいても 本当に苦しい時に 自分の部屋まで届く手はない あの番号は救うためにあるのではなく “救助窓口は用意していた” という国や企業の 責任逃れのために置かれたポーズに過ぎない 画面が暗転した瞬間 人は自分が完璧に一人であることを 突きつけられる
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 18/08/2026
面談室に “体調配慮に関する確認書”が置かれ ペンが差し出される サインが記入された瞬間に 書類は格納され 翌朝、タイムカードのラックから ボクのカードが消え 別のカードが挿し込まれる デスクの引き出しの底で バラけたクリップが音を立て 社内チャットの送信者名は “削除されたユーザー”へ変わる “お体に気をつけて”の声と同時に 入館カードが回収され、自動ドアが開く 体調や痛みの訴えを ”配慮”という書類で 回収し処理する行為は 会社が手を汚さずに 異物を消去する静かなシステムだ
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 17/08/2026
人間関係の構築とは、相手の気まぐれというサイコロの出目に、こちらの一方的な膨大な労働コストを賭け続ける非対称なギャンブルのこと。
030
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 17/08/2026
額の汗を拭いながら 床の拭き掃除を繰り返す 缶の空き口に残った数滴の液体が フローリングへ垂れ 雑巾の手応えを重くする 現実の思考を止めるために 胃へ流し込んだアルコールは 肉体の処理能力を超えた瞬間に 激しい嘔吐反応を起こし 摂取前よりも 凄まじい疲労感だけを骨に刻む 忘れたかったはずの記憶や不安は 1ミリも摩耗せず アルコールを分解するために 消費された水分のせいで 喉の乾きだけが激しくなる 逃避のための飲酒とは 苦痛を消去する行為ではない 明日払うはずの体力を前払いし 買い取った苦痛を その日のうちに前倒しで回収する処理に過ぎない
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 15/08/2026
“今日は無理”と言えば 理由を聞かれる “また今度”と言えば 予定を決め直すことになる だから断らず 頼まれたことは引き受けてきた 返信もすぐ返した 相手の予定が変わらないように 自分の予定を何度も後ろへ動かした 病院の予約の日も 頼まれれば時間をずらした 自分の用事なら後回しにしても 誰も困らない “ちゃんと生きる”と決めた結果 最後まで守らなかったのが 自分との約束になった
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 11/08/2026
手帳のマス目に ボールペンでびっしりと 予定を書き込み 余白を定規で区切って タスクの数字を埋める 開いたMacのチャット画面に カーソルを置いたまま 1文字も打ち込まずに画面を閉じ キャビネットから 分厚いバインダーを取り出して 卓上の右端へ隙間なく積み上げる 誰の画面にも 助けを求める文字を送信せず 自分ひとりの卓上だけに 処理不能な紙の山を固定する動作 これは追い詰められた悲劇ではない 仕事を他人に分配して 不手際が生じた際の 責任や叱責を回避し 破綻した瞬間に "これだけ一人で抱えていた" と言い切るための無罪の証拠を 机の上に物理構築している
080
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 10/08/2026
ノートの中央を避け 端のページを そっと開き ペン先を 紙に落とす準備だけが進む インクはまだ走らず ページは 折り目の浅いまま閉じられる 机の隅に 滑らせたノートは 触れられない日だけ 紙の色がくすむ 書き出す動作より 誰にも 読まれない位置を 確保する配置が 優先される 言葉を残すより 痕跡を見られない形を 選ぶ計算が静かに滲む
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 10/08/2026
暗い部屋で 充電ケーブルの端子だけを 指で探す癖がある 曇った金属は磨かれず 触れられない日だけ酸化が進む 充電が必要な夜だけ端子を押し込み 不要な日はケーブルを ベッド脇に落としたままにする 曇りの進行より 自分の生活の優先度だけが 端子の扱いを決め続ける 触れるか放置するかは 気分ではなく 生活の優先度が決めている 扱いが変わる理由を 並べたあとに残るのはただ一つ 曇りを放置する手より先に 切り捨てる順番だけが 静かに決まっている
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 09/08/2026
カウンターに置かれた グラスの底に結露した水滴を コースターの端で 三度 完璧に拭い取る 相手が話す短い言葉に 静かに首を振って同意し 手首の時計の盤面へ 一瞬だけ視線を落とす ジャケットのボタンを留め 自分の分の支払いを テーブルの端にぴったり置き 笑顔のまま立ち上がる 連絡先を尋ねられる前に 駅の改札機へICOCAをタッチし 開いた扉を素早く通り抜ける 美しい一夜を惜しんでいるのではない 相手の生い立ちや悩みといった 面倒な内面を踏み荒らさず 表面の心地よさだけを回収して立ち去る 優しさに見せた、ただのリスクヘッジだ
030
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 06/08/2026
予約時間を1時間過ぎた待合室で ソファから腰を浮かせ 受付の透明アクリル板へ顔を近づける “まだ時間かかりますか” と小さく口を動かし 語尾を柔らかく下げる 受話器を置いた事務員の指先が 青いカルテの最下部に 赤色のボールペンで小さな点を打つ 配慮として添えた 丁寧なお辞儀と不器用な笑みは 一本の短い色素へ 変換されて記録に残る 角を立てずに気を使う労力よりも 黙って座ったまま スマホの画面を眺め続け 自分の順番まで存在ごと消す方が 余計な記号を書き込まれずに済む
060
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 05/08/2026
水を含んだスポンジが 指先から離れ 濡れた置き場所へ戻り 再び握り直されて 水道の栓が開かれる 泡立てられることのない水だけが 排水口へ流れ シンクの底に固まったソースの跡には 一滴も届かない 指先が描く円運動は 家事の進行ではなく 同じ位置で 水気を往復させる 振り子の軌跡として空間に残る 汚れに向かって腕を動かす運動量よりも スポンジを濡らし 直すだけの軌道に肉体を預けて立つ方が 生活の決定権を放棄したまま 時間を正当に消費した事実だけを安全に生成できる
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 04/08/2026
ひき肉に塩を振って こねる手の甲に 油脂の白い膜が付着していく ナツメグを加えるか見送るか つなぎに パン粉を使うか 豆腐に置き換えるかによって 形成される肉塊の重量と 硬度が変化する 楕円形に丸めた肉を フライパンに投下すると ジュッという音とともに 脂肪分が溶け出し 側面から色が変わっていく 裏返すタイミングを 1分早めれば崩れ 遅くすれば 焦げ目が黒い層となって固まる 竹串を刺して 透明な汁が出るかを確認する 作業は 過去に与えた加熱時間の蓄積を 測定しているに過ぎない どの工程にも 模範解答の印はなく 投入した調味料と 熱量の通りに タンパク質が 変性した結果だけが皿に残る
140
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 03/08/2026
机に並んだ 数本のペットボトルのうち 口が開いたままの一本だけ 液体の上面に 薄い膜のようなホコリが 浮いている 光が当たるたびに 粒が光に合わせて わずかに沈んだり浮いたりする 表面の揺れは もう止まっている 触れられれば 形が崩れるはずなのに 触れられない時間だけが 境界をゆっくり厚くする 隣のボトルは まだ透明なままだ 同じ机に置かれているのに 開いている一本だけ 先に変わっている
030
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 02/08/2026
画面上に並ぶアイコンを 順番にクリックし キーボードへ指を滑らせる 返信のテキストを流し込むたび 打鍵音が室内を満たし 壁の角に反射して自分の耳に戻る 送信を終えると 画面の通知音は途絶え カーソルの点滅だけが 一定の周期で繰り返される 空のマグカップの縁をなぞる指先に 陶器の冷たさが伝わる 画面の向こう側の存在感を 引っ張り出そうと 指を動かすたび 打鍵音の壁が室内へ積み上がり こちら側の部屋に自分を閉じ込めていく 主電源ボタンを長押しし 画面を黒いガラス板へ戻す 返信を待つ側に立つのではなく 自らが通信エラーの発生源になる
030
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 01/08/2026
鏡の前で顔を洗い 薬を飲み 水を一口だけ飲んで また横になる カーテンも開けられない日は 無理に一日を始めなくていいことにする 自分を労われない日は 予定から先に殺せばいい 約束も 仕事も 返信も 今日じゃなくていいものから 順番に殺して葬り去っていく 人間は替えが利かないが 予定はいくら殺してもまた生えてくる 昨日できたことが今日できなくても それで壊れるほど 人生は親切にできていない 自分を立て直すことだけを 今日の予定にする それすら無理なら何もしない
050
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 31/07/2026
バス停の白線の前で 足が同じ位置に貼りつく つま先の向きが固定され 重心が前へ浅く倒れるけど 体は列より先に 足の停止を続け この停止だけが生への境界になる 死の想像は足の停止より遅い 消えない“境界の外側への衝動”に苛まれ 白線を二、三歩進めばそこは車道なのに 境界の外側へ出れば何が起きるのか? 先の結果が読めないから 白線の手前で足が必ず止まる 外側の力だけが 境界を動かす気がして バスを待つ
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 30/07/2026
冷房の温度を下げるとき 指は毎回同じ深さでボタンを押す 押す瞬間の形が変わらない 第一関節の角度は 押し込む瞬間に同じ比率で決まる 体調の波がどれだけ上下しても 指の軌道だけは乱れない 押し込んだ深さが一定だから 指先が触れた位置は 毎回同じ深さで止まる 指の反復が止まらないせいで 気分より先に 手元だけが一定の軌道を保つ 冷房のボタンを押すたび 指の反復が 気分より先に反応の方向を決める
040
ヨハク @chibichibibier.bsky.social · 28/07/2026
テーブルで全員が 同じ方向に頷いた瞬間 冷めたパスタより先に 空気が死んでいく 誰も本音を噛まないまま 形だけ整えた同意が テーブルを覆い 皿の上の料理は ただ沈黙の腐敗を映すだけになる フォークを持つ手は動いていても 場の呼吸は止まり 誰も逆方向を向かないことだけが この場の“正しさ”として扱われる 味なんて最初から関係ない 死んでいるのは料理じゃなく 同意を演じることでしか 自分を守れない人間たちの空気だ
030