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あるさ

@arusa623.bsky.social
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成人済/腐。NT型。DQ、FE、ペルソナ、twst、まほやく、Mリーグ しずイン→https://sizu.me/arusa623

PostsRepliesMedia
あるさ @arusa623.bsky.social · 10/08/2026
オズアサの小話を書きました。長くなってしまったので新書ページメーカーで作成しています。Xにも同じものを投稿予定です。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 05/07/2026
設営完了!今回は初めての東7ホール。ブラネロで参加しています。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 11/05/2026
(2/2)
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あるさ @arusa623.bsky.social · 11/05/2026
(1/2)片方が幼児化されたブラネロ小話を書きました。Xにも同じ内容を投稿しています。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 12/04/2026
今日はレジェンド推しの誕生日なのでラヴェンダーのお香を炊きつつカレー(スープカレーだが)お祝いである。 レジェンド推しの誕生日は中の人と一緒=ニャンの中の人の誕生日でもある(FF14始めた理由の一つだったりw) おめでとうございます!!
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あるさ @arusa623.bsky.social · 25/03/2026
グホだ!ニャンフィノだー!
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あるさ @arusa623.bsky.social · 23/02/2026
(2/2)
 ぼんやりとしたまま、アーサーが首を動かすと、そこには黒い猫が自分の身体をグルーミングしているのがわかった。何故、黒い猫が自分の部屋にいるのだろうと、アーサーは一瞬考えて――
「お……オズ様……!」
 飛び跳ねた。驚きのあまり、元の姿に戻ってしまいそうになるが、アーサーはなんとか堪える。
「起きたか」
 黒い猫の姿からオズが一瞬で元の姿に戻り、猫の姿のままのアーサーを大きな手で撫でていく。
「あ……おかえりなさいオズ様」
 撫でられながら、アーサーがその手に頭を擦りつけると、オズは僅かに微笑みながらアーサーの身体を持ち上げて、自分の膝の上に乗せた。
「驚いて元の姿に戻るかと思ったが……耐えたな」
 再度アーサーの身体を撫でながらオズが呟く。
「戻ってしまいそうになりました。ですが、シャイロックから出された宿題なので、もう少しこの姿のままでいないと」
「……お前があまりにも猫になりきって眠っていたから……私も猫になりきってみた」
「それであのような事を……」
 グルーミングされていた事を思い出し、アーサーは思わずオズから視線を外すように蹲る。
「嫌だったか? 猫はああいう行動を良くすると思うが」
 不思議そうに首を傾げるオズに、アーサーは一瞬だけオズの方をちらりと見て、再度視線を外した。
「嫌ではありませんが……その……少し恥ずかしかったです」
 猫の世界ではグルーミングは親愛の証である事が多く、常識なのだろうが、アーサーは先ほどのグルーミングを無意識に人の姿で想像してしまっていた。
 それがとても恥ずかしくて――
「……そうか」
「オズ様?」
 小さくオズが笑うと、オズは再度猫の姿に変身し、アーサーの鼻に自分の鼻をくっつけていた。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 23/02/2026
(1/2)1日遅れましたが猫の日のオズアサ小話を書きました。Xにも同じ内容を投稿しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「猫の日オズアサ」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

『パルノクタン・ニクスジオ!』
 呪文を唱える声と共に、声の主であるアーサーは人間の姿から猫の姿になっていった。
(うん、成功したな)
 目の前に置かれている鏡で姿を確認して、アーサーはほっとする。
 今日はオズが任務で不在の為、授業は西の魔法使いであるシャイロックが先生役を務めた。そして授業の中で宿題が出した。
 魔法で動物に変化し、その姿でその動物になりきり夜まで過ごすこと――
 しかも、ただ変化するだけではなく、その動物になりきるようにとも指示をされたのだ。
 授業が終わり、オズを除いた中央の魔法使いはお互い何に変化をするか話し合う。その会話の中でカインは犬になって魔法舎の中を散歩、リケは取り合えず仲良しのミチルの元に行って一緒に鳥になってみたいと話をしていた。二人と会話をしている内に、アーサーは取り合えず二人共被らないような動物――と、考えて猫になる事にした。
 猫の姿には魔法使いの家で過ごすなどで慣れている変身ではあるが、夜まで変化をしたままというのは初めてだ。
「犬なら走り回り、鳥なら飛ぶだろうが、猫は……」
 猫の姿のまま、アーサーはぽつりと呟く。と、同時に窓の外からの穏やかなぬくもりに、思わず欠伸をしてしまう。
 昨日は会議が日付が変わる直前まで長引いていたせいか、アーサーは正直眠たかった。
 そして同時に考える。猫といえば眠るのが仕事であると。
 眠っていても変身が解けないようにするのも大事な訓練だ。そう自分に言い聞かせ、アーサーはベッドの上に飛び乗ると、そのまま身体を丸めて日向ぼっこを始めた。

 数時間後――
「……」
「おや、おかえりなさいオズ」
 まだ開店前のシャイロックの酒場に、任務を終えたオズが戻って来た。
「子供達は……?」
 低い声で、オズがシャイロックに尋ねると、シャイロックは優美な笑みを浮かべてオズの前にグラスを差し出す。
「貴方に言われた通り、変化の魔法についての授業を行いました」
「西の魔法使いは……得意だからな」
 出されたグラスを手に取り、オズは少し早い時間の酒を楽しむ。外がまだ明るいからか、そこまで強い酒では無いのだろう。オズは水を飲むかのように一気に飲み干した。
「オズに褒められるのは光栄ですね。子供たちには術に慣れるように宿題を出しておきました。夜まで動物の姿で過ごすようにと。カインは犬になってオーエンに追いかけられて、リケはミチルの肩に乗って過ごしているみたいです」
「アーサーは?」
 オズが尋ねると、シャイロックは苦笑しながら空いたグラスに酒を注ぐ。
「宿題はちゃんとされているみたいですが……お疲れなのでしょうね」
「……?」
 シャイロックの言葉に、オズは不思議そうに首を傾げていた。

「ん……」
 ベッドの上で丸まっているアーサーがぼんやりと目を覚ます。窓の外は茜色になりそうな色をしていた。同時に、アーサーは自分の身体に違和感を覚える。
 猫の姿をして眠ったのは覚えている。しかし、なんか身体中撫でられているような感覚と、背中が妙に温かいような気がした。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 02/02/2026
ブラネロの短いお話を書きました。 Xにも同じ内容のを公開しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「あの日」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「寒いな……」
 珍しく中央の国に雪が積もっていた。窓の外を確認すると晴れていたので、薄手の上着を軽く羽織っただけで出かけたが、油断していた。問題は帰りだった。出先の市場で会計を済ませた途端、雪が降って来たのだ。
 そんな雪の降る市場の中を、ネロは紙袋を抱えて歩いている。防寒魔法でもかけておけば良かったと思ったが、今更大勢の人がいる前で魔法を使うのは避けたい。ネロに出来る事は早歩きで魔法舎に向かう事だけだった。
 早く暖かい魔法舎に帰りたい。そう思っていた瞬間――
「……あ……」
 何かを思い出したかのように、ネロの足が止まる。
 顔を上げると、花が舞い散るように雪が降っていた。
 そしてふと、思い出す。昔の事を。
 魔法も満足に使えなく、野垂れ死にしそうになっていた自分が助かった日の事を――
 あの日、すこし乱暴ではあったが、差し伸べられた手の暖かさは数百年経った今でも鮮明に思い出せる。
「……こんな優しい雪じゃなくて、もっと吹雪いていた気がするけど」
 思わず、ぼそりと独り言を呟いた。
「何が?」
「うわっ!」
 ――つもりだったが、後ろから良く聞き慣れた声が聞こえて、ネロは肩をびくりと跳ねさせて後ろを振り向くと、そこには暖かい恰好をしたブラッドリーが立っていた。
「ぶ、ブラッド……何でお前が市場にいるんだよ」
 ネロが尋ねると、ブラッドリーは身に着けていたマフラーをネロにかけながら、一瞬だけ空を見る。マフラーをつけるブラッドリーの暖かい手が、ネロの顔に僅かに触れ、ふいに昔の思い出が再度蘇っていた。
「任務先から飛んで魔法舎に帰る途中に、ふと下を見たらお前の姿を見かけたからな。薄手の上着だけ着て魔法も使わないで外歩いていたら寒いだろ」
「あー……はい、寒かった。です」
 人混みの多い市場で良く見つけられたなと思いながら、ネロはブラッドリーから僅かに視線を逸らしてしまう。
「他に買い物は?」
 ブラッドリーの問いに、ネロは首を横に振って持っていた紙袋を僅かに持ち上げる。
「大丈夫、今日はこれだけ」
「じゃあとっとと帰るか」
 そう言いながら、ブラッドリーは先に歩き出した。慌ててネロもその後ろをついていく。
「なあ、ブラッド」
「ん?」
 歩きながら、ネロはブラッドリーに声をかけると、ブラッドリーは声だけで返事をした。
「明日は任務無かったよな……?」
 その言葉に、ブラッドリーは立ち止まってネロの方を向く。
「ああ、無いけど。何かあったか?」
 首を傾げるブラッドリーに、ネロは微笑んだ。
「……何でもない」
 明日はフライドチキンにしよう――と、口に出したかったがやめた。
 もう少しだけ、昔の余韻に浸りたかったから。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 19/01/2026
アクスイ時空のオズアサ小話を書きました。 Xにも同じものを投稿しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「寒い日の朝」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「ん……」
 寒い日の朝、カーテンの隙間から差し込む光がやけに白いような気がした。
 光の刺激を受けて、ベッドの中で眠っていたアーサーはゆっくりと目を開ける。
 隣には、家主であるオズが静かな寝息をたてていた。そんな彼を起こさないように、アーサーは静かにベッドから降りると、カーテンを僅かに開ける。
「……雪だ」
 目の前には普段とは違う白い景色。
「アーサー……?」
 ふと、後ろから聞き慣れた声がしてアーサーが声のした方へ振り向くと、そこにはぼんやり目を覚ましたオズがじっとアーサーの顔を眺めていた。
「オズ様。起こしてしまいましたか……?」
「……寒さで目が覚めた……」
 ぼそりとオズが呟く。
 同時に、雪が降っていて寒いからか、アーサーの身体がぶるりと震えた。
「雪が降ってるみたいです。温かい飲み物を用意してきますね」
「まだ早い」
 そう言いながらオズは腕を伸ばす。導かれるようにアーサーも手を伸ばすと、そのまま手首を掴まれて、身体を抱き寄せられた。
「お、オズ様……?」
 背中に回された腕は温かくて。
「……今日は仕事が無い。私も、お前も」
「はい」
 抱き締められたまま、アーサーは頷く。
「外は雪が積もっている」
「はい」
「……今日は家にいろ」
 命令口調ではあるが、その声は柔らかかった。
 アーサーはくすりと笑う。
「では今日はオズ様と引きこもりデーですね」
 寒い部屋の中で、甘い雰囲気が僅かに二人を温めていた。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 08/09/2025
(2/2)
冷えてしまう。
 わざわざ届けに来てくれたクロエとラスティカに感謝をするしかない。
「そうだネリー、君の部屋には紅茶を入れる道具はあるかい?」
「一応あるけど……もしかして」
「ささやかだけど、僕からは美味しい紅茶を。クロエからは最近話題になっているお店のお菓子を買って来てくれているからティータイムにしよう」
「それは素敵なプレゼントだな。散らかってる部屋で悪いけど」

 クロエとラスティカによるバースデイティータイムを堪能し、二人を見送って一人になったネリーは、ラスティカから受け取った梱包されているダンボールを丁寧に開けた。
 ダンボール中には緩衝材に包まれた高級そうな箱が入っている。
 ネリーはその箱を取り出して蓋を開けると、中には数種類のスパイスの小瓶が並べられていた。
「これは……」
 思わず、声に出てしまった。
 いつだったか忘れた位に前の話、このブランドのスパイスで料理を作りたいとブラッドリーに語っていた事をふと思い出してしまう。
 自分の事がバレてしまったのではないかという不安は勿論あるが、純粋に嬉しい――
「ブラッド……」
 自分意外誰もいない部屋で、ネリーいや、ネロはかつての相棒の名前を呟いた。

 その日の夜――
「あー……腹へった」
 仕事を終わらせたブラッドリーは自宅でジャケットを脱ぐタイミングでスマホの通知に気が付く。
『ネリーの気まぐれキッチンゲリラ配信』
 通知を見て、ブラッドリーの瞳が驚くほど見開いた。
「は? こんな時間に飯テロか!?」
 慌ててテレビをつけて配信サイトに切り替えて――
「……」
 ブラッドリーは再度目を見開いた。
『今日は配信しないって昨日言っていたけど、やっぱり配信したいなと思って……』
 配信されている台所でぼそぼそと呟く『ネリー』の前には自分が今日送ったスパイスの小瓶が並べられていた。
「……」
 ブラッドリーはクスリと笑うと、ワインセラーから一本のワインを取り出す。
 かつての相棒が好きだったワインを、画面越しの相手に祝いの言葉を送りながら――
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あるさ @arusa623.bsky.social · 08/09/2025
アクスイ時空のブラネロの誕生日ネタを書きました。 (二人の直接的な絡みはありません)切ないよりの甘め。 Xにも同じ内容を投稿しています。 (1/2)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「かつての相棒からの贈り物」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 とある休日。
 久しぶりのオフにネリーはまったりソファーで寛ぎながら料理番組を観ていると、突然ピンポーンと音が響いた。今日は宅配が来る予定は無い。少し警戒しながらネリーはインターフォンのボタンを押す。
「ネリー! お休み中にごめんね。事務所に届いたプレゼント持って来たよ!」
 インターフォンのカメラの向こう側には、同じ事務所のメンバーであるクロエが両手に沢山の紙袋をぶら下げて立っていた。
「え? あ、ちょっと待ってて。すぐ開けるわ」
 予想外の来客に、ネロは慌てて床に散乱している服を適当にまとめて寝室に放り投げると、足早に玄関のオートロックを解除してクロエを迎え入れた。
「どうしたんだよ。突然プレゼントだなんて……」
「だって、今日はネリーの誕生日でしょ? 事務所にも手紙やプレゼントが届いていたから当日中に渡したくって」
「ああ、そういう事か」
 人の気持ちを考えて行動するクロエらしいと思いながら、ネロはクロエが手にしていた大量の紙袋を丁寧に受け取る。どれも華やかな見た目の紙袋ではあるが、持った瞬間ずしりと重い感触がネロの手に伝わった。
「おいクロエ、お前これ一人で持って来たのか?」
 取り敢えずリビングに紙袋を置きながらネリーは玄関に立っているクロエに声をかける。
「ううん、ラスティカと一緒に。今ラスティカも車から荷物を持って来るからロック解除したままにしてもらってもいいかな?」
「あー……いや、俺が行くよ。クロエは中で待っててくれ。テーブルの上にお茶作ってあるから適当に飲んでおいて」
「うん、わかった。あ、紙袋の中はプレゼントの内容ごとに仕分けてあるから!」
「さんきゅ」

 ネリーは慌てて来客用の駐車場に走って向かうと、丁度ラスティカが小さくは無いが大きくも無い箱を手に車から降りた所だった。
「ラスティカ」
 姿を確認するなりネリーが声をかけると、ラスティカはまるで貴族のように微笑んでネリーに笑顔を向ける。
「やあネリー。今日の髪型はいつもと違って情熱的だ」
「情熱的……?」
 一体ラスティカは何を言っているんだと一瞬思ったネリーだったが、それが自分の寝ぐせの事を指している事に気が付くのに時間はかからなかった。今日は自分の誕生日。昨日は仕事や誕生日カウントダウン配信などもあり、今日は一日オフで何の予定も入れずに自宅でダラダラ過ごしていたのだ。
「その箱は俺に?」
 ラスティカが大切そうに抱えている箱を指差してネリーは尋ねる。第一陣のクロエが結構な大荷物だったので、ラスティカも大量の荷物を持って来ると思っていたが、大雑把に見てもラスティカの荷物はクロエが持っていた総量の三分の一程の大きさだ。
「ああ。大事に運ぶようにと言われてね」
「誰に?」
 もしかして事務所の社長からだろうか? と、ネリーは僅かに期待したが――
「フォルモーント・プロダクションのブラッドリーからだよ」
 ラスティカの口から出た人物の名前に、ネリーは倒れてしまいそうになってしまう。
「おや、ネリー?」
「な、なんでフォルモーント・プロダクションのブラッド……リー……から?」
「ああ、単純な事だよ。君の配信をいつも見ているそうだ。ファンなのかな?」
「え」
「仕事で見れない時はアーカイブで見ているそうだよ。実に情熱的な視聴者だね」
 ニコニコと微笑むラスティカに対して、ネリーは驚愕の表情を浮かべていた。
 まさか、自分の正体がバレてしまっているのか……? と、考えてしまう。
「はい、ネリー。誕生日おめでとう」
 いや、それブラッドリーからのプレゼントだろ。と、ツッコミたくなってしまったが、ネリーは素直にラスティカから箱を受け取った。
「配信で使って欲しいそうだよ」
「ブラッド……リーに会ったのか?」
「つい先程、事務所まで来ていたからね」
「ッ」
 本当は今日、仕事はオフだがファンからのプレゼントは届いている事は知っていたので、夕方辺りにでもプレゼントを受け取りに事務所まで行こうとは思っていたネリーだったが、もしかしたらブラッドリーに鉢合わせする可能性があったと考えると背筋が
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あるさ @arusa623.bsky.social · 01/09/2025
来年6月は麻雀の大会とぶつかる事に気付いてしまった……(そもそも2カ月連続イベント参加はしないと決めて5月は大阪参加するのもあるが)
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あるさ @arusa623.bsky.social · 01/09/2025
アクスイ時空のオズアサ小話を書きました。 Xにも同じ内容を投稿しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「香水」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「あ……」
「どうした?」
 いつものリビング。後は仕事に出かけるだけというタイミングで、アーサーの困ったような声がオズの耳に入って来た。
「オズ様。実は、香水が切れて買い足すのを忘れてしまいまして」
 空になってしまった香水の小瓶を手に、苦笑いを浮かべながらアーサーが答える。
「確か……お前には気に入っていた香水があったな」
 オズが顎に手を当ててアーサーが手にしていた小瓶をじっと眺めた。
「ええ、気に入っていたので早めに買い足しておこうとは思っていたのですが……ここ暫く仕事が忙しくて失念しておりました。仕事があるという事には、感謝をしなくてはいけないのですが……少し、悔しいですね」
「……」
 落ち込んでいる様子のアーサーを見て、オズはここ暫くのアーサーのスケジュールを思い返していた。ここ数か月は普段の学業の他に、殆ど映画の撮影でまともな休暇は無かった筈だ。学校が無ければ撮影、撮影が無ければ学校が当たり前であり、どちらも休みの日があったとしても、体力を回復する為に家から出ずに身体を休めていたのをオズは良く覚えている。
「通販は……無かったのか?」
 オズが尋ねると、アーサーは首を左右に振った。
「お店自体が通販をしていないそうなのです。もう撮影は終わりましたし、今度買いに行って来ようと思います」
「そうか……アーサー」
「はい」
「少し待っていろ」
 そう言い残して、オズは自室に一瞬戻ると、すぐアーサーのいるリビングに戻って来た。手に見慣れた小瓶を持って。
「オズ様?」
「新しいのを買うまで、私のを使うといい」
「え……」
 オズの言葉に、アーサーの青い瞳が丸くなる。
「……苦手な香りだったか?」
 驚いた様子のアーサーに、オズは手にしていた小瓶を自室に戻そうとするが、アーサーは慌てて引き留めた。
「いえ、そんな事は! 寧ろ、オズ様の香水は大好きな香りです!」
「そうか」
 必死な様子のアーサーにオズは僅かに微笑むと、手にしていた小瓶をアーサーに渡して彼の頬にそっと手を触れた。
「それはお前にやろう。私はまだいくつか持っているからな」
「あ、ありがとうございますオズ様!」
 オズに礼を告げ、アーサーは軽やかな足取りで自室に入ると、服を軽く捲ってオズから受け取った香水を腹部に軽くつけた。やや重い香りがアーサーの鼻腔を通っていく。
 思えば、自分が香水をつけ始めたきっかけはオズから良い香りがした事からだった。
 その時感じた香りと同じ香り――
 まるでオズに抱き締められているような――
 大切な人と同じ香りを纏っている事実に、アーサーは自分の鼓動が速くなっていくのを感じていた。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 18/08/2025
アクスイ時空の暑い日に休憩しているブラネロ小話を書きました。Xにも同じ内容を投稿しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「休憩時間」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 真夏の午後――
 撮影と撮影の合間に与えられた短い休憩時間。エアコンの効いた控室には、どこか気だるい空気が漂っていた。
 ソファにだらりと横になっているブラッドリーは、タンクトップ姿で凍らせたペットボトルを顔に押し当てている。冷たさが心地よくて、思わずため息が漏れた。
「ったく……夏は役者殺しだな。汗だくでスーツなんて誰が得するんだよ……」
 その隣ではネロが台本をめくりながら、くすっと笑う。
「確かにメイクとかこまめに直さないといけないけど……ブラッドはスーツ似合うし、スタッフさんも喜んでるだろ?」
「お前は人ごとだから気楽に言えんだよ」
 文句をこぼすブラッドリーに、ネロは「はい、これ」と、ペットボトルを差し出した。中身は冷えたスポーツドリンクだ。ブラッドリーの持っているペットボトルは凍っていて飲むにはまだ少しかかるのを見て寄越したのだろう。
「水分ちゃんと取れよ。熱中症になったら困るんだから」
「……ほんっとお前は世話焼きだな」
 そう言いながらもブラッドリーはネロからスポーツドリンクを受け取って一口飲む。甘さが喉に染みて、体に力が抜けていった。
 気づけば、ネロも隣に腰を下ろしてソファの背にもたれている。長時間で疲れているのか、うつらうつらと瞬きを繰り返していた。
「……眠いのか?」
「んー……ちょっと」
 ブラッドリーは口角を上げると、手を伸ばしてネロの頭を自分の膝にぐいっと引き寄せた。
「おいっ……!」
 突然の事に、ネロは眠気が飛んだのではないかという位に、琥珀色の瞳を見開く。
「寝ちまえ。俺様の太ももは枕代わりに最高だぜ」
「はあ……? 何言っているんだよ……」
 口では抵抗しながらも、ネロの体はそのまま預けられていた。その様子に、ブラッドリーの胸に満足感が広がる。
 ゆるやかな空調と外から僅かに聞こえる蝉の声に包まれて、やがてネロの呼吸が落ち着いていく。ブラッドリーは空色の髪をそっと撫でながら、声を潜めた。
「……暑い日の昼寝も悪くねぇな。ずっとこうしてられりゃいい」
 その言葉に対して、ネロの寝息だけが返ってきた。
 それを合図に、ブラッドリーもゆっくりと瞼を閉じる。
 二人の時間を邪魔するものは何もなく、控室のソファには夏の午後の少し暑いが、甘い静寂が流れていた。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 04/08/2025
オズアサの小話を書きました。Xにも同じ内容を投稿しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「夏でもあなたと」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 太陽が遠慮なく照りつける昼下がり。虫の鳴き声がそこかしこで響く中、魔法舎の中庭を歩くふたりの姿は、少しだけ――いや、相当季節に逆らっていた。
「……アーサー。暑くないのか」
 呆れたように言うオズではあるが、そんな事を言いながら自身もいつも通りのロングコートを羽織っている。オズに指摘されたアーサーもまた、長袖にベスト、肩を覆う短いマントという〝真夏を無視した〟いでたちだった。
「一応、魔法を使って暑くないようにはしております。オズ様と身に着けている物の雰囲気を少しでも合わせたいと思いまして」
「今日は暑い……無理して合わせなくていい」
 ぼそりと言われて、アーサーは少し悲しそうな表情を浮かべていた。
「でしたら……オズ様も魔法を使わないで少し軽装にすれば宜しいのではないでしょうか? オズ様は暑くないのですか?」
「今日は……魔法を使っていない……故に暑い。だが、我慢している」
「えっ?」
 オズの言葉に、アーサーは青い目を丸くさせる。良く見れば、オズの顔が僅かに汗ばんでるように思えた。
「……理由があるのですか?」
 問いかけるアーサーの顔は驚きつつも、どうしてオズがそんな事をしているのか気になるのだろう。どこか嬉しそうだ。オズは少し目を伏せると、ため息をついた。
「夜が暑かった時の為だ」
 その言葉を聞いて、アーサーは合点がいった。オズは『傷』の影響で夜は魔法を使うと眠ってしまう。簡単な魔法なら使っても問題は無いと聞いてはいるが、簡単だとしても身体の体温を快適に保つ魔法を長時間使うとなるといずれ眠ってしまうのは明らかだ。
「成程、鍛錬のようなものでしたか」
 アーサーは納得して頷いた。
「でも、今日はかなり暑いので……このままですといくらオズ様でも身体がまいってしまうかもしれません」
「そう……かもしれない」
 我慢していたのだろう。オズはアーサーの視線を避けながらぼそりと答えた。
「ですので、魔法を使わなくても涼しくなれるようにかき氷というものを食べましょう!」
「……あの氷の山みたいなやつか」
 かき氷が気になったのか、オズの視線がアーサーの方へ戻る。
「はい! ネロが作るようなふわふわのは難しいかもしれませんが、私でも何とか形に出来るんですよ。丁度おやつの時間ですし、アーサーにお任せくださいオズ様!」
「では、お前の言葉に甘えるか」
 太陽のように満面の笑みを浮かべるアーサーに、オズもアーサーに微笑みを向けた。
 偶には暑い日も悪くないと思いながら――
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あるさ @arusa623.bsky.social · 07/07/2025
アクスイ時空で七夕なブラネロ小話を書きました。Xにも同じ内容を投稿しています。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「七夕」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 七月七日――
 都内某所の撮影スタジオの屋上。
 今日はスタッフさんが気を利かせてくれて、スタジオの資材置き場にスペースを用意して笹と短冊が用意されていた。
「へえ、今年もやってんのか」
 自身の撮影が終わったブラッドリーは缶ビール片手に、ちらほらと短冊の結ばれた笹を眺める。ドラマの撮影中は現実の季節と演技の中での季節は違う事が多い。撮影終わりの開放感も手伝ってか、偶にはこういう季節を感じるイベントも悪くないと思えた。
「……やっぱり七夕ってちょっとわくわくするよな」
 後ろからやや遠慮がちに声をかけたのはネロだった。ロケ終わりで少し髪の毛が乱れているのも、なんだか妙に可愛く見える。
「お前は? 何か書いたのか?」
「ああ。撮影終わったらこれ渡されて……今吊るすところ」
 ネロは指先で小さな短冊をひらひらさせる。そこには【撮影が無事に終わりますように。そしてブラッドも体壊さないように】と、見慣れた文字で書かれていた。
「ほんと、お前は……てめぇの事を書けっての」
 ブラッドリーは思わず缶ビールを持ってない方の手で、ネロの頭をくしゃっと撫でた。
「わっ、ちょ……髪、崩れるって!」
「いいだろ、もう今日の仕事は終わってんだし。てか、さっきからひでぇ髪型になってたぞ?」
「え? そういや鏡見て無かった……」
 ネロはくすぐったそうに笑っていた。屋上には夜風が吹いていて、夏の湿った空気も少しだけ和らいでいる。
「そういやブラッドは書かないのか?」
「いや、俺様の願いなんてな……」
「言ってみろよ」
 ネロが珍しくぐいっと迫るようにブラッドリーの顔を覗き込んでくる。その距離の近さに、ブラッドリーは思わず口をすぼめる。
「……ずっと、お前が……」
「……ん? 何?」
 珍しく小さく呟くブラッドリーに、ネロの琥珀色の目がぱちぱちと瞬いて聞き返した。
「あ、いや……フライドチキンが食いてえなって」
「相変わらずだな」
 言い直したブラッドリーの言葉に、ネロは声を上げて笑っていた。
「じゃあ今日は遅いけど……明日は撮影も時間に余裕があるから作っておくよ。フライドチキン」
「よっしゃ!」
 ずっと隣にいてほしい――そう願いたかったが、照れが入ってしまって言えなかった。だが、言い直してある意味いつも願っている事が叶ったのでブラッドリーは思わずガッツポーズをしていた。


 あれから暫くの時が流れて――



 ~♪

 アラームの音がブラッドリーの目を覚ましていく。眠そうな手つきでアラームを止めて身体を起こすと、スマホに表示されている日付を見てブラッドリーは深いため息をついた。
「……正直に願い事を言っていたらお前はいなくならなかったのか……?」
 思わず、独り言を呟いてしまう。
 と、同時にスマホに通知音が鳴った。
『ネリーの気まぐれキッチン 今夜の配信で作るメニューはフライドチキン』
「……」
 通知を見たブラッドリーは一瞬目を見開き、そして笑っていた。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 12/05/2025
アクスイ時空だけどほんのり何かを思い出してるブラネロ話を書きました。Xにも同じ内容を投稿予定です。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「帰り道」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「送っていく」
 日付が変わる頃――
 長引いていた撮影がやっと終わり、他の役者やスタッフが全員帰った後の人気のないスタジオ前で、ブラッドリーが当然のように帰り支度を終らせたネロに言って来た。
「平気だって。俺の家すぐそこだし」
 少し申し訳なさそうにネロが断る。
「暗いし危ないだろ」
 それに対してブラッドリーは全く引く様子が無かった。
「俺、男だけど……?」
「知ってるよ。だから余計心配なんだって」
(男だから余計心配ってどういう事なんだ……?)
 ブラッドリーの言葉に、ネロは琥珀色の目を一瞬見開いた後、思わず吹き出してしまった。彼の言葉はいつも真っ直ぐで、時々びっくりするほど甘い。嬉しいが、どこかむず痒くなってしまう。
 結局断りきれず、二人は夜道を歩くことになった。秋の深夜、独特のひんやりとした空気にネロは肩をすくめる。隣を歩くブラッドリーの手の甲がふと触れて、ネロの心臓がドキリと跳ねた。
「……寒くなってきたよな……ネロは寒くないのか?」
 ブラッドリーが僅かに肩を震わせてネロに尋ねる。今日の日中は暖かったので、二人共薄手の上着でスタジオに来てしまったのだ。
「平気……だけど」
 言いかけて、ネロは少しだけ躊躇う。でも、目の前にいる男ははっきり言わないと伝わらない相手だってことも、よく知っていた。
「手」
 たった一文字。だが、その一文字にブラッドリーは一瞬考え、すぐ照れたように笑ってネロの手を取った。大きくて、温かくて、昔と変わらない手がネロの手を包む。胸の奥がじんわり熱くなっていくのがわかった。
「こうしてると、昔思い出すな」
「……昔?」
 ネロが首を傾げると、ブラッドリーは笑っていた。
「そう。初めてお前が俺に手を伸ばしてくれた、あの日」
 あの日も今日みたい――いや、凍え死ぬ位に寒くて、暗くて。でも手を繋いだだけで、世界がすこしだけ柔らかくなったのを、世界が広くなったのを覚えている。
 幼い自分の手を握ってくれたあの日を――
「ん?」
 歩きながらネロはブラッドリーの顔をじっと見た。
「どうしたんだよ」
 視線に気が付いて、ブラッドリーもネロの方を向いた。ネロが複雑な表情を浮かべているので思わず尋ねてしまう。ネロも唸りながら「いや……」と、困ったように言葉を続けた。
「なんだろう……なんか猛吹雪の中でブラッドに手を握られてるのが頭の中に浮かんだんだけど……何でだ?」
 ネロの言葉を聞いて、ブラッドリーは眉間に皺を寄せる。
「はあ? そんな撮影はやってないだろ」
「だよなあ……」
「いや、でも言われてみるとそんな事もあったような……ガキのお前が……いや、でも俺様とそんなに歳離れてねえしなあ……でも何で俺もお前が手を伸ばしてくれたとか言っておきながらいつの事か全く覚えてねえ……」
「ごめん、変な事言っちまったな……撮影で疲れてるのかも」
「俺様もお前も、心当たりの無い昔を思い出してるしなあ……相当疲れてるかもな……明日も撮影あるし、疲れてるなら家帰ったらとっとと寝ろよ? それとも一緒に暮らすか?」
「……ばかな事言うなよ」
 握った手を離さずに、二人は歩いていた。
000
あるさ @arusa623.bsky.social · 28/04/2025
1日遅れましたが誕生日なオズアサの小話を書きました。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「誕生日」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「――そしたらミチル、すごく驚いていたのですけど、同じくらいに喜んでくれて」
 昼下がりの魔法舎。食堂でリケがニコニコと期限良く同じ中央の魔法使いであるアーサーとカインに先日あった出来事を話していた。仲良しのミチルの誕生日に日付が変わる瞬間、一番に祝いの言葉を送ったらしい。
「へえ、でもお前もだけど、ミチルも良く起きていたな」
 リケの話を聞いてカインが珈琲を飲みながらリケに尋ねる。リケもミチルも、賢者の魔法使いの中では年少だ。遅い時間まで起きている事はあまり無いと思ったのだろう。カインの疑問に対し、リケは手にネロが作ってくれたクッキーを手にしながら「それはですね」と、言葉を続けた。
「ルチルからミチルが夜更かしをする予定があると聞きましたから。賢者様が新しい年を迎える時に遅くまで起きている話を聞いて、それを真似てみようと思ったそうです」
「ああ、あの話か! 夜中なのにお祈りに行く人がいるとか、お祭り騒ぎみたいでいいよな」
 続く話を聞いて、カインがうんうんと頷いた。先日、何かの雑談の中で賢者がいた世界での新年の過ごし方を賢者の魔法使い達は聞いていたのだ。リケもカインと同じように頷く。
「新年の挨拶を神に祈るのはとても良い事だと思います。あとは王族にご挨拶に行かれる方も中にはいるそうですよ」
「へえ、うちだとアーサーに挨拶に行くようなものか。ん? アーサー?」
 カインがアーサーの方を向くと、アーサーは何か考え込んでいる様子だった。すぐ、カインの視線に気が付いて、アーサーは困ったような笑顔を浮かべる。
「あ、すまない。少し考え事をしてしまっていて……」
「執務の事か?」
 それまでの陽気な表情とはうって変わってカインが真剣な表情でアーサーに尋ねるが、アーサーは「いや」と、否定して微笑んだ。
「そうじゃないんだ。リケの話を聞いて個人的に思いついた事があっただけなんだ」

 数か月後――

 夜も更けた頃、アーサーは魔法舎の自室で腕を組みながら部屋の中を歩き回っていた。
 明日は――いや、あと一時間程でオズの誕生日である。
 日付が変わった瞬間ミチルのお祝いに行ったというリケの話を聞いて、自分も同じ事をオズにしたいと思った――いや、正確には『思い出した』のだ。
 北の国でオズと共に暮らしていた頃、アーサーはオズの誕生日を祝おうと頑張って起きていたのだが、気が付いたら朝になっていたのだ。それが幼いアーサーにはとても悔しくて。
 成長した自分なら、夜更かしは問題ない。日付が変わった瞬間にオズの事を祝えると思ったのだが、果たしてオズは喜んでくれるだろうかと、アーサーは不安になってしまっていた。
 しかし、今日を逃すと次は一年後。大いなる厄災の事を考えると来年生きているという保証が無い――特に、自分は――そう思うと、どうしても今年のオズの誕生日を祝いたかったのだ。
 自分が生きている時にどうしても――

 気が付いたら、魔法舎の五階にあるオズの部屋の前にいた。
 無意識にオズの部屋の前にいた自分に苦笑しながらも、時計を見ると丁度日付が変わる頃。深呼吸をして、アーサーは日付が変わった瞬間、オズの部屋の扉を遠慮がちにノックした。
「オズ様、アーサーです。お部屋に入ってもよろしいでしょうか?」
「……アーサー?」
 扉の奥から少し驚いたようなオズの声。僅かな時間の後「入れ」と返事が聞こえ、アーサーはオズの部屋の中へ入っていった。
「こんな時間にどうした」
 長い髪の毛を下したオズが、無表情のままアーサーに尋ねる。
「夜分に申し訳ございません。アーサーはどうしてもオズ様の誕生日を一番にお祝いしたくて参りました」
 少しだけ悩んだが、アーサーは正直にオズに答えた。
「……そうか。ありがとうアーサー」
 アーサーの言葉を聞いて、オズは僅かに目を見開き、そして微笑む。オズの笑顔を見たアーサーは、自分の心が満たされる気分になっていた。
「だが、もう遅い。部屋まで送るから休みなさい」
「オズ様……」
 出来たら、もう少し一緒にいたい。アーサーは思ったが、口に出す事は出来なかった。城の執務で忙しい自分の事を労わって言っているのだろうから。だが明日、いや今日は――
「ヴォクスノ……」
「あ……!」
 呪文を唱えたオズが、倒れそうになるのを、アーサーは慌てて支えた。厄災の傷で夜中に魔法を使うと眠ってしまうのを、オズは忘れてしまっていたらしい。
「オズ様……」
 恐らく無意識なのだろうが、傷の事を忘れて自分の事を思って魔法を使おうとしたオズに、アーサーはたまらなく嬉しくなった。

「……?」
 人の気配がして、オズが目を覚ます。少しぼーっとする頭で横を見ると、そこにはアーサーが静かな寝息を立てて眠っていた。
「……休み……?」
 ふと、昨夜の事をオズは思い出す。夜中にアーサーが自分の誕生日を祝いにやって来てくれた事、その時のアーサーは普段着ではなく、寝間着を身に着けていた。彼が魔法舎で寝間着を着ている時は魔法舎に泊まる時であり、その時は大体次の日は執務が少ないか休みの可能性が多い。
「……」
 それなら城ではなく、歩いて魔法舎の二階に送れば良かったかもしれないと思いながらも、オズはアーサーの寝顔を見て微笑んでいた。
「……ありがとう」
 軽くアーサーの頭を撫でる。
 自分にとって一番大切な守りたい者。
 この子は絶対に死なせないと思いながら――
110
あるさ @arusa623.bsky.social · 21/04/2025
続き(2/2) Xにも同じのアップしています。
010
あるさ @arusa623.bsky.social · 21/04/2025
アクスイ時空の直接絡んでいないブラネロ小話を書きました。(1/2)
110
あるさ @arusa623.bsky.social · 07/04/2025
ブラネロ小話を書きました。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「種まき」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 ぽかぽかとした春の陽気が、魔法舎の庭を優しく包む。
 ネロはスコップを手に持ち、しゃがみこんで土を耕していた。隣には小さな鉢植えと、種の袋が数種類並んでいる。どれもネロが料理に使うお気に入りのハーブたちだ。
「やっぱり春はいいな……。土もいい感じにやわらかくなってきたし、ちゃんと根付いてくれるはず……」
 ご機嫌な声でブツブツと呟きながら、ネロは丁寧に、そして慣れた手つきで土をならす。今日は暖かいからか、柔らかな頬をほんのり染めてつつも、楽しそうに小麦色の瞳を細めていた。
「……おい、本気でやんのかよ、それ」
 その時低く、聞きなれた声が頭上から降ってくる。
 ネロが声のした方へ顔を向けると、そこにはブラッドリーが立っていた。暑いからか、いつも身に着けているコートを腕にひっかけ、どこか不機嫌そうに眉をひそめている。
「当たり前だろ? 暖かい今の時期が植え時だからな。大体のハーブは春に植えれば、夏にはいっぱい収穫できるし、魔法舎での食事も彩り豊かになるってもんだよ」
 普段のネロからは中々聞けない気合の入った回答。ブラッドリーがその熱意にどう返事をしようか悩んでいる間に、ネロは鉢植えと向き直っていた。
「東の国でも勿論ハーブは育てる予定だけど……同じ種でも気候の違いなのか微妙に味が変わるんだよなあ……おこちゃま達に味比べしてもらうのも面白いかも」
 ぶつぶつと呟きながら手際よく作業を進めていくネロ。その様子を、ブラッドリーは少し距離を取って見つめていたが、やがてネロが作業しやすいように、道具を取りやすい所に置いたり土の入った袋を魔法で開封したりと、気が付いた時には何故か手伝いを始めていた。
「ん? ああ、助かる。今日はこれに肥料と水を入れたら終わりだから、昼はブラッドの好きなの作ったやるよ」
 肥料を鉢植えに撒きながらにっこりと微笑みを向けるネロと昼食のリクエスト権をもらえた事で、ブラッドリブラッドリーは一瞬喜んだが、ネロの言葉の一部に引っかかりを覚えた。
「今日は……ってことは、まだやるのか?」
 ボソリと呟く。
「ああ、そうだけど? 流石に料理の時間を削ってまではやれないからな。それとも明日も手伝ってくれるとか?」
「いや、肉ならいいけど野菜だろコレ」
「肉の実る木とかあったら喜んで手伝いそうだよな、ブラッドは」
 ネロはニコニコしながら、手についた土を叩いてその場から立ち上がった。
「あとは軽く水をかけておわりだな」
「ほらよ」
 手を軽く振って、ブラッドリーは魔法で水の入っていたジョウロをネロの前に運んでいく。
「さんきゅー」
 ジョウロを受け取りながら、ネロはブラッドリーに再び笑顔を向けた。
「早く飯が食いたいからな」
 思わずネロから視線を逸らしてしまうブラッドリーに、ネロは不思議そうに首を傾げていた。
「そんなに腹が減っていたのか? まあ今日は俺もお腹空いてはいるけど」
「……明日も手伝ったら昼飯好きなの作ってくれんのか?」
 ブラッドリーの言葉に、ネロは琥珀色の瞳を一瞬丸くすると、軽く拭き出してしまう。
「そんな事言うと色々と頼みそうなんだけど。正直一人じゃ時間かかるからさ」
「じゃあ、明日も俺様のリクエストで決まりだな」
「それはブラッドリー君の働き次第という事で」
「言うじゃねえか。完璧な手伝いをしてやるぜ」
 鉢植えに水を与えているネロを眺めているブラッドリーの表情は、ほんの少しだけ柔らかくなっていた。
110
あるさ @arusa623.bsky.social · 18/03/2025
本当は年明けにアップしようと思っていたのに出来なかったレノファウ年越しな小話です。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「新年のはじまり」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「ほら、あと五分だぞ」
 夜の魔法舎――
 ファウストはレノックスの部屋のベッドに腰掛けながら、隣に座って羊のクッションの形を整えているレノックスの肩を軽く突いた。魔法で作られた簡易的な時計が静かに色の変わる針で時間を刻んでいく。
「今年も……もう終わりですね」
 レノックスは低く静かな声で言葉を呟きながら、ファウストの方へ顔を向けた。
「終わりと言うより、来年の始まりだろ? 新年と言うのだから」
 そう言いながらファウストは「しまった」と、でも言いそうな顔をして口元を手で覆った。
 今の言葉は東の魔法使いらしくない。寧ろ中央の魔法使いのようではないかと慌ててしまったのだ。
 一度口に出した言葉は取り戻せない。だが今、目の前にいるのは昔から自分の事を知っており、自分と同じ中央の国出身でありながら、今は南の魔法使いであるレノックスだ。
 彼の前でならまあ、大丈夫だろう――
 少し照れたように笑いながら、ファウストは手に持っていたホットココアを一口飲んだ。彼につられて、レノックスも思わず口元を緩める。
「確かにそうですね。……今年は貴方のおかげで、とてよ良い一年でした」
 その言葉に、ファウストは一瞬驚いたように目を見開き、次の瞬間には眉間にしわを寄せた。
「そんなわけないだろ。呪い屋の僕のおかげで良い一年になったとか……」
「本当のことを言っただけです」
 レノックスは真面目な顔で言い切る。何を言ってもレノックスは自分の意志を貫くだろう。ファウストは「もう……」と、小さく呟きながら、時計に視線を戻した。カウントダウンはあと三十秒。
「……君にとって、今年一番良かったことって何だ?」
 ファウストはふと、レノックスに問いかけた。
「一番……」
 レノックスは少し考え込みながら答えた。
「貴方が俺との会話でしか癒やせない事があるとおっしゃった時でしょうか」
「そ……そんな事もあったな」
 ファウストはわざと呆れたようにため息をつきつつ、耳まで赤く染めていた。
「では、ファウスト様は?」
 レノックスがファウストに質問を返す。
「……特にないけど」
 ファウストはレノックスの視線から顔を逸らして素っ気なく答えるが、その視線は微妙に泳いでいた。
 レノックスの答えと同じ場所、同じ時間、彼が一番の思い出と言った場面の少し前――自分に対して身勝手な祈りを抱いていたというレノックスの話を聞いた時。と、答えたら彼は一体どんな表情をするのだろう――
「……」
「ふふ」
 レノックスはその様子を見て笑った。
「何を笑っているんだレノックス」
「いえ、何でも。……じゃあ、来年は少しでも良い事を増やせるようにしましょう」
「……そうだな。少し位なら許容範囲かもしれない……あ」
 ファウストが間の抜けた声を上げる。折角新年を迎える為に時計を用意していたというのに、針は既に新年を迎えていたのだ。
「……明けましておめでとうございます」
 いくらか時間は過ぎてしまったが、レノックスは気にしない様子でファウストに自然な笑顔を向けていた。
「ああ、おめでとう。今年も……その、よろしく」
 ファウストは視線を外しながら、僅かに頬を染めた。笑顔を作ろうとすると、怖い顔になりがちなレノックスが、自分には自然な笑顔を向けてくれる事が嬉しくて。
 新年早々、二人の間には変わらない温かい空気が漂っていた。その時間こそが、二人にとって一番の宝物であるかのように。
010
あるさ @arusa623.bsky.social · 27/12/2024
先日webイベントにて公開したレノファウ小話の再掲その8です
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「帰り道」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「レノ、今回は助かったよ。君のおかげで無事に任務が終わった」
 夜の街道を歩きながら、ファウストがレノックスに微笑んだ。賢者の魔法使いとしての任務を無事終えての魔法舎への帰り道。穏やかで、そして恐ろしい月明かりが二人を照らしている。
「いえ、ファウスト様のお役に立てたのなら何よりです」
 レノックスが静かに返事をする。今回の任務は本来ファウストだけの予定だったが、場所が炭鉱だった事もあり、急遽炭鉱に詳しいレノックスも同行する事になった。二人きりの任務は滅多に無い事もあり、その帰り道は普段の任務とは違う心地よさがあった。
「それにしても、今日の任務は意外と大変だったな。依頼書を見た時は、呪いの類だと思っていたから解呪だけなら僕一人でも大丈夫だと思っていたのだけど」
「そうですね。まさか討伐もあるとは思いませんでした。ファウスト様を無事お守り出来て良かったです」
 ファウストが肩をすくめると、レノックスも小さく頷いた。街の灯りが遠ざかり、魔法舎に着くまで、二人だけの時間が深まっていく。ふと、ファウストは立ち止まり、夜空を見上げた。
「レノ、少し休んでいかないか?」
「え……?」
 レノックスが不思議そうにファウストを見つめると、ファウストは微笑んで地面に腰を下ろした。月明かりに照らされたその姿が、どこか昔の姿を思い出させる。
「ここで……ですか?」
「そうだ。夜風が気持ちいいし、少し位いいだろう?」
 レノックスは少し戸惑いながらも、ファウストの隣に座る。ささやかな風の音が、耳を掠めたた。二人は並んで座り、しばらく言葉を交わさなかったが、それでも十分心地の良い時間だった。
「昔から……君と一緒にいると、不思議と落ち着くな」
 ファウストの言葉に、レノックスは驚いたように彼を見つめた。
「え……?」
「昔も。そして今も。何故落ち着くのかずっと疑問だったけど……『君』だからなんだろうな」
 ファウストが苦笑するが、その瞳には優しい月の光が宿っている。レノックスも、心の奥で同じことを感じていた。ファウストといると安らぐ。それはレノックスも同じだった。
「……俺も、同じです。ファウスト様と一緒だと、落ち着きます」
 レノックスも静かに告げる。その言葉に、ファウストは少し驚いたような顔をしたが、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「そうか」
 短く呟いた後、優しい沈黙が訪れた。言葉を発する事は無くても、互いの存在を感じながら静かに夜の時間が流れていく。やがて、ファウストが立ち上がると、レノックスに手を差し出した。
「そろそろ帰ろうか、レノ」
 その手を見つめたレノックスは、普段なら逆なのにと、少し躊躇したが、そっとファウストの手を取った。温かく、安心感を与えるその手に、自然と微笑みがこぼれる。
「はい」
 立ち上がり、二人は再び魔法舎へと歩き始めた。月明かりの下、寄り添うようにして歩いていく。二人だけの特別な時間は、言葉が少なくても心が通い合うひとときだった。
000
あるさ @arusa623.bsky.social · 20/12/2024
先日webイベントにて公開したレノファウ小話の再掲その7です
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「荷造り」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 夜も更けた頃、レノックスの部屋でファウストとレノックスの二人は寝間着姿で荷造りをしていた。明日からレノックスは任務で魔法舎を留守にする。その準備をファウストに手伝ってもらっていたのだ。
「ありがとうございますファウスト様。助かりました」
 座り込んで荷造りを終えたレノックスがファウストに礼を告げて立ち上がると、ファウストも立ち上がりながら微笑んで頷いた。
「これで大体は大丈夫だろう。今回の任務はオズもいるから問題は無いと思うけど、気を付けて」
「はい」
「……」
「ファウスト様?」
 突然、ファウストが黙り込んだので、レノックスは首を傾げて名前を呼んだ。その声にファウストは戸惑ったような表情で顔上げ、首を振る。
「いや、寂しくなると思ってしまって。任務に出かけるなんていつもの事なのに」
「……え?」
 意外な言葉に、レノックスは驚いた。まさか、ファウストからそんな言葉が聞けるとは思っていなかったからだ。
「荷造りを手伝っていると、出かけるという実感が増すというか……」
 続く言葉を聞き、レノックスは「ああ」と、納得したように頷く。
「確かにそれはあるかもしれません。俺もファウスト様の荷造りを手伝っていた時に同じ事を思っていましたから」
「そうか。それを聞いて少し、安心したかな」
 相手も同じ事を考えていたと聞き、ファウストは安堵の表情を浮かべた。
「任務の期間がはっきりしていれば、まだ気持ちが楽なのかもな」
 魔法使いの任務は祭事の手伝いなど期間がはっきりしているものもあるが、大体は終わるのにどれくらい時間がかかるかわからず、今回の任務もどれくらいかかるかわからないのだ。
「レノックス」
「はい。……わっ!」
 名前を呼び、レノックスが返事をしようとした瞬間、レノックスの胸に寂し気な表情を浮かべたファウストが飛び込んで来た。そのまま、後ろにあった寝台に倒れこむ。
「ど、どうされました……?」
 さりげなく抱き着いて来たファウストの背中に腕を回しながら、レノックスが尋ねると、ファウストは何も言わずにレノックスの胸板に自分の顔を埋めていた。
「……暫く、このままで」
 胸に顔を埋めながら、ファウストが呟く。
「わかりました」
 ファウストの願いを素直に聞き入れ、レノックスは暫く、ファウストを抱きしめていた。
「……」
「……」
 お互いに何も言わず、二人の間に流れる沈黙の時間。
「ん……」
 やがて、ファウストが顔を上げて、レノックスと視線を合わせた。
「ありがとうレノ」
 恥ずかしかったのか、少し気まずそうに身体を起こそうとするファウストの腕を、レノックスは離すまいと掴み、自分に引き寄せた。
「レノ?」
「まだもう少しだけ、このままでいいですか?」
 レノックスの言葉に、ファウストは一気に顔を紅くした。
「あ……うん、別に、構わないけど……」
「ありがとうございます」
 にっこりと微笑み、レノックスはぎゅうとファウストを抱きしめる。
 レノは明日何時に出発だったか――
 時間を気にしつつも、ファウストはレノックスに抱かれて笑顔を浮かべていた。
000
あるさ @arusa623.bsky.social · 15/12/2024
先日webイベントにて公開したレノファウ小話の再掲その6です
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「マッサージ」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「ふう……」
 今日の授業が無事終わり、講師であるファウストが軽く肩を回している姿を、生徒であるヒースクリフが見かけて声をかけた。
「ファウスト先生、肩が凝っているのですか?」
「ああ。昨日ずっと同じ姿勢だったからかもしれない」
「先生が良かったら肩を揉みましょうか?」
 突然の申し出に、ファウストが少し驚いたような、嬉しそうな顔を浮かべる。
「それは助かるけど……いいのかい?」
「ファウスト先生の為ですから」
 屈託のないヒースクリフの笑顔に、ファウストもつられて微笑んだ。
「じゃあ、お願いしようかな」
「では、そちらの椅子に座ってくださいファウスト先生」
 ヒースクリフが指示した通り、ファウストが椅子に座ると、ヒースクリフの手がファウストの肩にそっと触れた。
「じゃあ、いきますね」
「んっ」
 ファウストが声を漏らす。普段から機械いじりが趣味で手先が器用だからだろうか。彼の揉み方は非常に心地が良く、気持ちが良かった。
「痛くは無いですか?」
 強度を尋ねられ、ファウストはこくりと頷く。本当なら声を出して返事をしたかったのだが、出来なかった。
(変な声が出てしまいそうだ……)
 ただのマッサージなのに、上手すぎるのだ。彼は純粋な気持ちで肩を揉んでくれているというのに。
「ッ……」
 ファウストは必死に堪えていた。しかし、表情に出てしまってはいないかも不安になってくる。
(きっと、変な顔になっているのだろうな……)
「ンッ」
「あ、痛かったですか?」
 ファウストは首を左右に振った。
「いや、気持ちが良くてつい声が出てしまったんだ。痛くはないよ」
「そうでしたか。良かったです」
 気持ちが良いのは本当だ。問題は自分の漏れてしまう声なわけで。
「すまないヒース、気持ちが良すぎて……変な声が出てしまうかもしれないのだが……」
 ファウストは正直にヒースクリフに告げた。どんな反応をされるか気になったが、ヒースクリフは笑顔を浮かべていた。
「気にしないでください。ファウスト先生が癒されてくれれば俺も嬉しいですから」
「いい子だな、君は……ではヒース、もっとしてくれないか?」
「任せてください!」
「ファウスト様!」
 突然、声が聞こえたのと同時に扉が開かれる。二人が驚いて扉の方を向くと、そこにはレノックスが顔を赤らめ、慌てた様子で立っていた。
「……ん?」
 レノックスは二人を見て、首を傾げる。そして、突然気まずそうに礼をした。
「すいません、勘違いをしてしまいました」
「え? レノックスどうしたの?」
 ヒースクリフはきょとんとしているが、それに対してファウストは困惑した表情を浮かべていた。
「レノ。どういう勘違いをしたのか、後で教えてくれないか?」
 レノックスの様子を見て、ファウストは彼が結構前から部屋の前にいたのが想像ついた。
「いえ、それは……」
「ああ、子供の前だからか? じゃあ二人の時なら教えてくれるのか?」
 ファウストとレノックスの様子を不思議そうに眺めながら、ヒースクリフはただ目を丸くしているだけだった。
000
あるさ @arusa623.bsky.social · 15/12/2024
先日webイベントにて公開したレノファウ小話の再掲その6です
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「マッサージ」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

「ふう……」
 今日の授業が無事終わり、講師であるファウストが軽く肩を回している姿を、生徒であるヒースクリフが見かけて声をかけた。
「ファウスト先生、肩が凝っているのですか?」
「ああ。昨日ずっと同じ姿勢だったからかもしれない」
「先生が良かったら肩を揉みましょうか?」
 突然の申し出に、ファウストが少し驚いたような、嬉しそうな顔を浮かべる。
「それは助かるけど……いいのかい?」
「ファウスト先生の為ですから」
 屈託のないヒースクリフの笑顔に、ファウストもつられて微笑んだ。
「じゃあ、お願いしようかな」
「では、そちらの椅子に座ってくださいファウスト先生」
 ヒースクリフが指示した通り、ファウストが椅子に座ると、ヒースクリフの手がファウストの肩にそっと触れた。
「じゃあ、いきますね」
「んっ」
 ファウストが声を漏らす。普段から機械いじりが趣味で手先が器用だからだろうか。彼の揉み方は非常に心地が良く、気持ちが良かった。
「痛くは無いですか?」
 強度を尋ねられ、ファウストはこくりと頷く。本当なら声を出して返事をしたかったのだが、出来なかった。
(変な声が出てしまいそうだ……)
 ただのマッサージなのに、上手すぎるのだ。彼は純粋な気持ちで肩を揉んでくれているというのに。
「ッ……」
 ファウストは必死に堪えていた。しかし、表情に出てしまってはいないかも不安になってくる。
(きっと、変な顔になっているのだろうな……)
「ンッ」
「あ、痛かったですか?」
 ファウストは首を左右に振った。
「いや、気持ちが良くてつい声が出てしまったんだ。痛くはないよ」
「そうでしたか。良かったです」
 気持ちが良いのは本当だ。問題は自分の漏れてしまう声なわけで。
「すまないヒース、気持ちが良すぎて……変な声が出てしまうかもしれないのだが……」
 ファウストは正直にヒースクリフに告げた。どんな反応をされるか気になったが、ヒースクリフは笑顔を浮かべていた。
「気にしないでください。ファウスト先生が癒されてくれれば俺も嬉しいですから」
「いい子だな、君は……ではヒース、もっとしてくれないか?」
「任せてください!」
「ファウスト様!」
 突然、声が聞こえたのと同時に扉が開かれる。二人が驚いて扉の方を向くと、そこにはレノックスが顔を赤らめ、慌てた様子で立っていた。
「……ん?」
 レノックスは二人を見て、首を傾げる。そして、突然気まずそうに礼をした。
「すいません、勘違いをしてしまいました」
「え? レノックスどうしたの?」
 ヒースクリフはきょとんとしているが、それに対してファウストは困惑した表情を浮かべていた。
「レノ。どういう勘違いをしたのか、後で教えてくれないか?」
 レノックスの様子を見て、ファウストは彼が結構前から部屋の前にいたのが想像ついた。
「いえ、それは……」
「ああ、子供の前だからか? じゃあ二人の時なら教えてくれるのか?」
 ファウストとレノックスの様子を不思議そうに眺めながら、ヒースクリフはただ目を丸くしているだけだった。
000
あるさ @arusa623.bsky.social · 01/12/2024
先日webイベントにて公開したレノファウ小話の再掲その5です。
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「煙と酒と」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 暗い部屋の中に、薄く煙が舞う。寝台の上でだらしなく横になっているファウストはその煙――香を楽しんでいた。
 深く呼吸をする度に、心が解れていくような感覚になっていく。香は一瞬で部屋の空気を変えてくれるのが、良い気分転換になっていた。
「……会いたいな」
 無意識に、ぽつりと呟く自分がいた。
 会いたいと思った相手――レノックスは任務の為に魔法舎を留守にしている。任務で会わなくなる事は少なくないが、何となく、寂しく思ってしまったのだ。
 コンコン――
 扉がノックされる音がファウストの耳に入った。ヒースかシノだろうか。寝そべっていたファウストは少し怠そうに身体を起こして扉の方を向く。
「誰?」
「私だ」
「!」
 ヒースかシノかと思っていたら、聞こえて来た声は彼らより遥かに低い声に驚く。
「オズ……?」
 中央の国の魔法使いであり、世界最強の魔法使いが自分に何の用事かと思いながら、気持ち早歩きで扉を開けに行く。
「珍しいな。何かあったのか?」
 オズが自分に用事があるとしたら、各国の魔法使いの先生としての用事位しか心当たりが無い。目の前にいるオズは赤い瞳でファウストを見下ろしていた。
 レノックスと同じ、赤い瞳で――
「あ……」
 同じ色の瞳だという事に気が付き、思わず声を上げてしまう。
「私の顔に何かついているか?」
 軽く首を傾げてオズが尋ねる。ファウストは慌てて首を振った。
「いや、何でも無い」
「そうか」
「で、用件は?」
「これを」
 そう言いながらオズはファウストに酒瓶を渡してきた。
「……これが何か?」
 何故、オズから酒を持って来たのか、ファウストには何が何だかわからない。オズは暫くファウストの顔をじっと見て、やっと口を開いた。
「レノックスからだ」
「レノから?」
 オズが頷く。
「ファウストの事を頼むと言われた」
「ええ……」
 普段、ファウストの身の回りの世話をしているレノックスではあるが、まさかその代わりを大体の魔法使いが恐れるオズに頼むとは。いくら魔法舎で共に暮らす期間が長いとはいえ、自分では到底考えられなかった。もし自分がネロだったら卒倒している可能性がある。
「その酒は……レノックスが以前飲んでファウストが好きそうだと思ったらしい」
「……」
 オズの言葉を聞いて、ファウストは酒瓶を眺める。
「私も好みの味だ。ただ、シャイロックに頼んで取り寄せてもらうのに時間がかかったそうだが」
「そうだったのか……なら、有難く頂こう。すまないなオズ。レノックスに付き合ってもらって」
「いや……あの者には良く酒に付き合ってもらっているからな」
 オズとレノックスが、シャイロックのバーで良く並んで飲んでいる姿を思い出し、ファウストは笑みを零した。口数少ない二人ではあるが、楽しい時間を過ごしているのは良くわかっていた。
「そうだったな」
 オズに礼を告げ、ファウストは扉を閉めると受け取った酒瓶をじっと眺める。
「会いたいな……レノックス」
 再び、ぽつりと呟いた。
 会って、この酒を二人で飲みたい――
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あるさ @arusa623.bsky.social · 24/11/2024
青空投稿テストも兼ねたレノファウ小話 sscard.monokakitools.net/pagemakers…
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「紅茶」、「AINA-YANK」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 夜も更けた頃。誰もいない魔法舎の廊下に足音が響く。ファウストはややご機嫌な面持ちで歩いていた。
 ラスティカが、任務で西の国に行った時に茶葉を大量に買ってお土産にと持ち帰って来て食堂に置いてあると、彼の弟子であるクロエが数時間前伝えに来た。丁度茶葉が無くなりそうになっていた事もあり、ありがたく取りに来たというわけだ。
 食堂のテーブルの内の一つに、紅茶の缶が大量に置いてあった。テーブルに近寄ると、様々な種類の紅茶があるのがわかり、感嘆の声を漏らす。
「迷うな……」
 貴族であり、紅茶を愛しているラスティカが選んだ物だ。味が保証されているからこそ、悩んでしまう。何人かの魔法使いは既に紅茶の缶を持って行っている筈だが、それでも大量の缶が残っていた。
「うーん」
「ファウスト様?」
 突然、背後から名前を呼ばれ、ファウストは驚きながら振り返ると、そこには後は寝るだけの姿になったレノックスが立っていた。
「レノックス。君がこんな時間に起きているなんて珍しいな」
 早朝から鍛錬をするレノックスは、もう寝ていてもおかしくない時間だ。
「寝ようとしたらルチルがクロエからの伝言を聞いたので」
「ああ、ラスティカからのお土産の事か」
「はい」
「僕もそれで食堂に来たんだ」
 レノックスはテーブルの上に並べられている紅茶の缶を眺めて「これは……」と、小さく呟いた。
「迷いますね」
「そうだろう? レノックスは好きな味の紅茶はあるのかい?」
 ファウストが尋ねると、レノックスは軽く頷き二つの缶を手に取った。
「これですね」
「二つ?」
 どちらも好きな味なのだろうか? と、ファウストが更に尋ねようとするとレノックスが持っていた二つの内の一つの缶をファウストに差し出した。
「こちらは、ファウスト様に」
「え? 何で?」
 思わず、間の抜けた声を上げてしまう。
「悩んでいたようでしたので」
「確かに悩んではいたけど……」
 押し付けられた紅茶の缶を両手で受け取り、缶を眺める。
「何でこの種類なんだ?」
「ファウスト様には覚醒効果の無い安眠効果の高いお茶が良いと思いまして」
 レノックスの言葉にファウストは図星だったのか、むっとした表情を向けた。
「別に眠れているけど?」
「眠れていらっしゃるならこの時間はもう眠っているでしょう」
 抗議しようとするが、即言われてしまう。
「呪い屋なんだから僕の活動時間は夜なんだよ」
 紅茶の缶を突っ返すのは何となく買って来てくれたラスティカに申し訳ないと思ってしまったのか、ファウストは手にしたまま食堂を後にしようとする。
「お待ちくださいファウスト様」
 レノックスが呼び止めると同時に、ファウストの手首を掴んだ。ファウストはドキリとしながらレノックスの方を向き直す。
「離してくれ。もし僕が本当に眠れないとして、子守歌でも歌ってくれるのか?」
「勿論です。ファウスト様が眠るまでお傍にいます」
 レノックスの真っ直ぐな言葉に、ファウストは俯いた。
「余計眠れなくなりそうだよ……」
 苦笑するファウストに、レノックスの頬は僅かに赤く染まった。
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あるさ @arusa623.bsky.social · 19/11/2024
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