「もう春ですね」
雪が溶けかかっている窓の外を見つつ、神琳は湯呑みを置いてそう呟く。
「そうだね。外気も暖かくなるし、過ごしやすくなるかも」
水槽の亀に餌をあげ終わった雨嘉、は神琳の正面に座った。
神琳は柔らかな表情を浮かべ、雨嘉を見据える。
「私達ももうすぐ進級し、後輩を迎えることになります」
「もう先輩になるんだね」
新しい春を迎えるということは、二人が生き残り進級し二年生になると言うことでもある。
「雨嘉さん」
何を思ったか、神琳は右手を雨嘉に向け差し出した。
「またよろしくお願いしますね」
「うん、こちらこそ」
前は取れなかった手を、雨嘉は迷いなく手に取り、握手を交わす。