nou-yunyun.hatenablog.com
26日の日米電話首脳会談が「エアー首脳会談」だったという珍説が流れてた
9月25日(米国24日)にトランプと習近平による米中首脳会談があり、その翌日である26日21時から約20分間、高市早苗とトランプとの間で日米首脳会談(電話)が行われたのだけれど、この電話首脳会談について結構突飛な主張があったのでそれについて記しておく。その内容とは、この日米電話首脳会談は高市の嘘である、というものである。
https://x.com/tweetsoku1/status/2104446001860034761
https://x.com/juri_piyo/status/2104610542061240608
ツイッター速報みたいなまとめサイトが拡散してしまったわけだが、5chのスレタイ詐欺とかではなく、元ネタとなった投稿が存在する。それが次の「りょう@budoudaiji」による投稿だ。
https://x.com/budoudaiji/status/2104042185817792524
これが拡散して、5ch→ツイッタ速報→再拡散という流れになっているわけだが……、正直、「エアー電話会談」を検証とかする必要とかありますか、ぐらいの陰謀論レベルの主張だよと。この説に従えば日本の首相及び政府がアメリカ大統領との電話会談を捏造し、それを記者会見までして大々的に発表したわけだからね。もしそんな捏造を実行したならば大胆というか、無謀というか。
さて、上記投稿の論拠となっているのは「トランプ側は米メディアに聞かれても答えないで沈黙してる状況」とあるが、これはブルームバーグによる次の記事と一文による。
> 高市首相がトランプ氏と電話協議、中国巡る課題で意見交換-連携確認
> 首相は会見で、この点に関するトランプ氏とのやりとりを聞かれると、具体的な話は外交上差し控えるとして言及を避けた。
> (略)
> ホワイトハウスにコメントを求めたが、現時点で返答はない。
ブルームバーグによればホワイトハウスにコメントを求めたが、記事時点で返答はないというものである。この記事は日本語であるが、元の英語記事でも同様の表現はされている。確かに「トランプ側は米メディアに聞かれても答えない」が、それは記事を出すまでの時間に取材に対する返信をしていないだけであろうとってのと、もしも本当にこの電話首脳会談が存在しないというならばブルームバーグに対してその様な出来事自体を否定するだろうと。アメリカ側がエアー首脳会談に乗る意味がない。
この日米電話首脳会談については、英語圏では直接的な記事そのものが少ないのだがTBS記事によるとFOXニュースにおいて、アメリカのウォルツ国連大使が"「トランプ大統領は習氏の訪米前に日本の首相と会談し、訪米直後にも電話で協議を行った。現在、その関係は非常に強固であり極めて重要だ」"と語っていたとある*1。この様にアメリカ側の人間が触れているのは確認できる。それと「沈黙」という観点で語ると、そもそもホワイトハウス公式には9月22日に行われた日米首脳会談についてすら存在しない。
※ホワイトハウス公式HPで「takaichi」で検索
言ってしまえば、ホワイトハウスとしては9月の電話を含む首脳会談はHPで発表するほどの出来事ではないという事だろう。
また「りょう」は次の様は主張もしている。
会談時間の21時00分~20分の間にトランプがトゥルースソーシャルに投稿をしているからおかしい、という主張である。それが次の投稿となる。
https://truthsocial.com/@realDonaldTrump/posts/117337288574793449
なおこの表示時間は日本から見れば日本時間となる仕様となる。確かに投稿時間は21時15分となるが(もう一つは21時18分)であるが、説明しようと思えばいくつか考えられるので、列挙してみよう。
・電話会談は21時15分前に終わった
・電話会談中に投稿を行った
・予約投稿をした
・中の人がトランプではない
・電話会談は行っていない
この中で説得的なものはどれだろうかと。日本側の諸機関が21時20分まで会談をしましたと書いているが、実際のところそのタイムスケジュール通りに20分きっかりに電話会談が終わったと考えるのは杓子定規すぎるといえる。電話が終わってからトランプの日常であるSNS投稿を行ったと考えるのが合理的だろう。確かにあくまでもこれは合理的な説明であって、実際に電話会談が終わった時間は不明だ。しかし「電話会談は行っていない」よりは説得的だろう。なお、トランプがトゥルースソーシャルで26日の高市との電話首脳会談に触れていないという反応もあったが、それをいうと22日のトランプの投稿を見ても高市の会談については一切触れてない。トランプにとって、高市との会談はトゥルースソーシャルでアピールするほどの出来事ではなかったのだろう。これはアメリカメディアにも言えて、この電話による日米首脳会談はブルームバーグ以外には日本メディアによる英語記事以外にはあまり見当たらない。つまるところ、アメリカメディアにとってみればこの電話首脳会談はそこまで大きなニュースバリューはないという判断なのだろう。これはトランプ、ホワイトハウスを含めてだろうが。他方で日本へは高市が会見をすることによってニュースとしてのバリューが必然的に生まれたわけだが、ただ電話会談の内容の詳細が不明とはいえ、新たに何かが決まったというわけでもなさそうである事を考えると、ニュースバリューそのものは米中首脳会談後に日米首脳会談(電話)をしたという行為とそれによる親密さのアピールが主だろう。それと高市の投稿ではトランプから"電話をいただき"と書いてあったが、電話会談前の時事通信の記事では"トランプ氏と電話し、会談内容について直接報告を受ける方向で調整"とあり、トランプが主体となって電話をかけてきたというよりも、当選、事前の調整があっての電話だろう。
この珍説ともえいる陰謀論の発端となった「りょう」はれいわ新選組の支持者だと窺わせ、陰謀論的なものへの近づきとしてはムサシ陰謀論、昆虫食(コオロギ)バッシングへの傾倒が過去に見られる。ただその陰謀論に足を突っ込んだ人間個人の話ではなく今回の説はその突飛さにも拘わらずそれなりに拡散したわけである。その前提として反高市の中で高市は嘘つきであるという認識、そして日本政府に対する不信感がそこには存在するので、そういった人間にとっては相手の悪癖が露呈した「スキャンダル」かのように広まってしまったのだろうと。デマが問題だ、陰謀論が云々という話は昨今見るけれど、デマも陰謀論も左右は関係ないのだよね。
追記
> Make no mistake, the U.S.-Japan partnership has never been stronger! Immediately after the U.S.-China Summit, @POTUS @realDonaldTrump and Prime Minister @takaichi_sanae spoke on the phone. Two great leaders keeping our incredible 🇺🇸🇯🇵 Alliance unshakable and focused on the… pic.twitter.com/IXRVjRKj9C
>
> — ジョージ・グラス駐日米国大使 (@USAmbJapan) 2026年9月30日
ちょうどこの記事を書いてる最中に駐日大使による投稿が行われてた。もう少し早ければ。
■投げ銭用ページ
note.com
「いいね!」の裏側で ソーシャルメディアの無責任が生んだ暴力と混沌
* 作者:マックス・フィッシャー,秋山勝
* 白揚社
Amazon
*1:FOXニュースの動画自体は公式に上がっているので、直に見たい方はコチラ。