今日の一冊
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『なにかが首のまわりに』
表題作は「きみ」という二人称で語られる物語だ。一人称でもなく三人称でもない、二人称という語りを選んでいるという時点で耳元で語られているかのような錯覚を覚える語りだが、ナイジェリアからアメリカにやってきた女性の物語、そして様々な人との出会いがありながらも孤独であるという事実が浮き彫りになる構図がより痛ましく感じられる。
どこの国でもありうる普遍的な悩みの語りの隙間にナイジェリアという国が抱え持つ問題が挟み込まれる。どの話も、ここではないどこかを求める物語だ。そして登場人物たちはそのどこかにたどり着くことはない。