「光を見つめる先輩の瞳は、まるで垂れ下がった帳を全て引き剝いだかのように透き通っていて、夕日の紅が微かに混じっている。まるで雲に覆われた夜空の、はるか天上に輝く月を眺めるように。」
『ひかりかげのあはひ』第4話掲載しました。プリーズエンジョイ。
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第4話 帳を捲る|霜月えん
校庭の西側に佇む、本校舎よりふたまわり小さい煉瓦の建物の前に、鞄を肩から下げて立っていた。 昭陽棟。光は小さく呟いた。 正面に植えられた梨の木々は、光をそそのかすようにたゆたう。赤みがかった金色の陽光が一筋、真っ暗な昇降口に差し込んで、彼女を奥へと誘う。 誰かから隠れるわけでもないのに、自然と歩みがゆっくりになる。まるでリコーダーの中を歩いているかのように、開放された窓から風が吹き込み...