ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 1h老婆が言っているのが、現実の音なのか、夢の一形態なのか、私にはまたも判別がつかなかった。 「ヨネお姉さんは強いひとやったで、頼まれれば夢見をしはったけど、あんたは夢の話はしゃんほうがええ」 「どうしてですか?」 「取りこまれてまうに」 「夜の恩寵」三浦しをん #読書 020
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 04/10/2026善性と善行と善人は別だ。世界は複雑だ。そういう複雑なものを複雑なまま捉えて、現実と事実の難解さに傷つきながらも、あのとき言えなかったことを言いたい。彼に掛けたかった言葉を、“そうじゃない”僕のままで。 「笑っちゃいけない人なんて、いない」 「ライク・アウトサイダー」鯨井あめ #読了 041
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 03/10/2026〈水平と垂直〉 と原稿用紙に大きく書いてみた。 じっとそれを眺めていると、季節がめぐるように水平に流れて行く時間と、そこに垂直に積み重なっていく自分や学生たちの記憶、ワークショップでの文章などを交錯させることで一年の物語ができるのではないか、と思えてきた。 「水平と垂直」佐伯一麦 #読了 020
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 02/10/2026俺は微笑んで、 「馬鹿みたいに優しくあれ」と言った。 彼女は黙って聞いていた。 「馬鹿みたいに優しくあれ。お前も俺も消防士だ。俺たちは、決して人を制圧しない。人を救うためだけに鍛え上げられたプロだ。いまこの町に必要なのは、勇気と優しさだ」 「ミサゴの守る町」砥上裕將 #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 01/10/2026波乱の時代を、彼女はこうして乗り越える。わたしはそれを語り、星あかりのひとつとする。 今よりもいい、新しい時代が来ると信じている。このつらい時を、暗い夜を、越えられると信じている。だから人々は、紙に言葉を綴っていく。そうだろう? 「燃える夜空に星散りばめて」実石沙枝子 #読了 080
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 30/09/2026「導かれたのよ、きっと」 「神様に?」 佳和はなにげなく問い返しただけだったが、腑に落ちていないように聞こえたのか、貴子は考え考え言葉を継ぐ。 「神様じゃなくても、そういう大きな力ってあると思わない? 人知を超えた、運命っていうか、縁っていうか」 「我らが音楽に祝福あれ」瀧羽麻子 #読了 080
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 29/09/2026空には月が輝いていて、遠くの夜空に輝く宵の明星を見上げてばかりいた秀一は、その輝く金色の星が自分の上で輝いてくれているのを、ようやく感じていた 。 歩道を下る二人の横を、坂を登って行く車が通り過ぎ。 秀一は少しだけ、「生きていてよかった」と思った。 「輝ける星の下に」橋本治 #読了 080
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 28/09/2026「いくら金なくても、国のために子どもなんか産むか、ボッケエエエエエ!!」 デカい声が鳴り響きビクッとなったけど、ヤジを飛ばしてるのは由依だった。 「私は国に言いたい。出生率を伸ばそうとすんじゃなくて、出生率に合わせた政治をしろ!!!! なにが異次元の少子化対策じゃあ、フツーのことしかしてないくせに、すごいことやってる感をスローガンで出そうとするな!!」 「グレタ・ニンプ」綿矢りさ #読了 0120
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 25/09/2026「私たちは、絶対に間違えちゃいけない仕事をしているんだよ。看護師のミスひとつで、取返しのつかないことが起こる。それって、本当に怖いことだよね。でも、私たちも人間だからひとりで完璧はやっぱり難しい。だから、チームでやることが大切なんだよ。…」 「ナースの卯月に視えるもの2」秋谷りんこ #読了 090
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 24/09/2026コブシやニリンソウの咲く明神から徳沢への道。横尾から屏風岩を見上げながらの、涸沢へのゴロゴロした岩の道。穂高に登るのは亡くなった友に会いに行くことであり 、もう一度自分を奮い立たせる原動力でもある。 「ジジイ、ふたたび山へ」沢野ひとし #読了 070
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 23/09/2026カイルが笑いながら言った。「意味わかんないんだけど」 手脚が恐ろしく長い典型的なティーンエイジャーであるハキームが進み出て前に立ちはだかると、カイルがたじろいだ。「スーザンはな」ハキームが言った。「おれたちの町の一員なんだよ」 「陽の光が消えた町で」ナオミ・クリッツァー 桐谷知未=訳 #読了 090
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 22/09/2026「……人生で起こるすべてのことに、真面目に向き合う必要はないの。生きていると、それだけで何とかしなくちゃ、と思ってしまいがちでしょう? でも人間なんて、……なんだかうまく言えないけれど、もっと不真面目でいいの。彩音ちゃんはそこにいるだけでいいの」 「君の不在の夜を歩く」窪美澄 #読了 0120
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 21/09/2026すべての思い出に鮮やかな色彩と、僕らの魂が遍在していると真央は感じていた。すべてを吹き飛ばす爆風から、これからも刻々と生まれていく未来の思い出を守らなくては。 真央は誰もいないマウンドを見つめる。 「あの日のつづきを生きている」朝倉宏景 #読了 060
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 20/09/2026田舎で暮らすのは、思った以上に大変なことだと、改めて史緒里は気づかされた。複雑な人間関係の中で、太古の昔から人々は逃げ場のない集落で、大きなストレスを抱えて暮らしてきたのだろうか。 「空き家と移住」垣谷美雨 #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 19/09/2026「Dad, I've married」という明瞭な声に、「エルビスさん」は視線を上向けた。白人の女性に見えた。そう見える日本人だったのかもしれない。そこは問題ではない。彼女はこう続けて、エルビスさんの帽子とおれに、みごと区切りの訪れを告げたのである。「I should be happy」 「烏と孔雀」津原泰水 #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 18/09/2026「全然だよ。親もきょうだいも恋人も、いなくたっていいんだよ。持ってなくたって大丈夫。この世にはさ、特別なものなんて、他にいくらでもある。おまえにだってあるよ。それが特別だと思ってないだけでさ、もうとっくに見えているんだ。すぐそこに、あるはずなんだぜ」 「愛する男」乾ルカ #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 17/09/2026命に限りがあることは知っている。それなら、なぜ死のほうは永遠につづくと信じるのか。 鳥の影がひとつ、丘の斜面を横切っていく。鳥自体は、彼には見えなかった。 いくつかの考えが彼を慰めた。 欲望はあらゆるものに沁みこむ。人間に関わりがあるものからは欲望を洗い落とすことができない。 「抱擁」アン・マイクルズ 黒原敏行=訳 #読了 090
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 16/09/2026「私は英雄にはなれなかったが、まったく無能なわけでもなかった。そういう名だ。ほんとうに無能だったら、いまごろは何の役もない一介の小者で終わっていたはずだ」 われながら、ややこしい自尊心である。控え目なのか尊大なのか。 「ゆうびんの父」門井慶喜 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 15/09/2026「それに」 ルーズなもじゃもじゃ頭を右手でかきむしって、天恵は不貞腐れたような語気で続けた。 「こんな感じで高宮さんがいなくなるの、僕は嫌です 」 なによそれ。いつものように茶化そうとしたが、言葉が出てこなかった。 「高宮麻綾の引継書」城戸川りょう #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 14/09/2026「僕に近づくのは」 小川朔がつぶやいた。下草を踏みしだく青臭い匂いがたつ。音がゆっくりと離れていく。 「暴かれたいという欲望を抱えている人だけだよ」 緑の枝が揺れ、華奢な後ろ姿が消えた。 自分はこの人を待っていたのだと気がついた。 「燻る骨の香り」千早茜 #読了 080
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 13/09/2026「……心強いです」 「いつでも一人じゃないからね」 堤さんがにっこりと微笑む。その笑顔に背中を押されるように、坂道を下っていく。 今夜は歩いて帰ろうと決めていた。どこまでも歩いていけそうな気分だった 。 「キッチン常夜灯 満月のキッシュロレーヌ」長月天音 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 12/09/2026「ああ、いよいよ釣り三昧ということでございますね。先般ご一緒に海に出かけられて、日々が思うがままの山上様が、羨ましくなったということですね」 いいながら、もう明江は目も向けない。 「そんだ嫌そうな顔するな」 「しておりません。もう、とっくにあきらめております」 「釣り侍」佐藤賢一 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 11/09/2026もう、だいぶ、色が剥げ落ちてきた。ありとあらゆるものを打ち捨ててここまで来たが、なぜか、この箸だけは捨てることができない。ワカモレもセビーチェも、トルティーヤチップスもわたしは箸で食べる。 なにか、やけにでもなっているかのように空が青い。 「海辺の独裁者」松尾スズキ #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 10/09/2026うちはどうしようもなくおもちゃの指輪がほしいと思いました。でもただほしいわけじゃないことに気がついた時、もうその欲望を消し去ることはできひんようになっていました。 この指輪をあなたと同じように、万引きしてみたいのです。 「おもちゃの指輪がほしいねん」ピンク地底人3号 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 09/09/2026親しい編集者が来ても、嫁や義弟が来ても、孤独が和らいだとか、その前後の孤独の時間が強調されたとは思わない。大多数の過去の友人がいなくなった今、記憶の中の知り合いはますます増え、夢で逢う彼らへの対応に忙しい。 「筒井康隆、九十歳のあとさき 老耄美食日記」筒井康隆 #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 08/09/2026「だが、汚れた手でも命を救える。ここで諦めたら、春子さんは死ぬぞ。それでもいいのか?」 福来、と片桐がつぶやいた。 「俺は……やり直せるのか?」 何度でも、と福来はうなずいた。 「人生に遅すぎることはない。百回打ちのめされても、百一回立ち上がればいい」 「魔心」五十嵐貴久 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 07/09/2026「時代の趨勢はかりは誰にも止められませんからね」 奉介おじさんは達観を口にしたが、お蔦さんだけは、この常識の外にいる。 「世の流れなんざ、知ったことかい。誰が何と言おうと、あたしはあたしだ。自分の本音だけは、曲げるつもりはないね」 「二月に憂鬱な君へ お蔦さんの神楽坂日記」 #読了 010
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 06/09/2026百瀬は、「D-I」ロケットの最高到達点あたりをまぶしそうに見上げ、言った。 「ですから、宇宙へ出ていかないという選択肢は、我々にはありません。そして、未知の世界への旅立ちはいつだって、希望です」 「コズミック・ガール 宙わたる教室」伊与原新 #読了 040
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 05/09/2026〈一生ってきっと籤引きの連続なのよ。籤引きに始まり籤引きに終わる、それがひとの一生なの〉 ふゆは口を押さえた。ほのだ。ほのが直にふゆに話しかけている 。 〈我が身に起こるのは、みいんな、この手で選み取ったものなのよ〉 ほのの声は、ふゆの耳の奥から聞こえてきた。 「けんぐゎい」朝倉かすみ #読了 020
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 04/09/2026おそらく――。 「皆、忘れているんだと思います。わざとではなく、実際に」 噂は軽薄な娯楽だ。一時興じて、あとは忘れる。消費して捨てる。その時にどれだけ熱くなったとしても意図的に責任から逃げるよりも、ある意味では罪深く、だからこそ恐ろしい。 「ファイア・ドーム」辻村深月 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 03/09/2026その瞬間、雨粒が発光した。歓喜がりんりんとこだまする。 ――きれい、きれい、きれい、きらきら、しずく、ひかる、きれい、せかい、きれい…… 言葉と世界が輝いていた。知らない感情が流れ込んでくる。雨足と心臓の音が速くなる。 青いワンピースの裾が揺れた。 「眠れない夜のために」千早茜 #読了 040
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 02/09/2026「すまない……、切るぞ」 「まだ、話は終わってないぞ」 「俺もまだ――、を生きているのかもしれない」 「まだ何? 聞こえなかった」 「何が起きるかわからん日々を送っているってことさ」 「ホルモー燦燦」万城目学 #読了 060
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 01/09/2026「お気持ちってずいぶん軽く扱われるなあって思ってるんだよ。だってね、人間の幸福とか不幸とかはみんなこのお気持ちなわけでさ。物質的に存在するわけじゃないんだよ。人間が生きてる理由の一つなのにさ。でもね、いま、いまだよ。 わたしは、そのないがしろにされてきた気持ちにこそ、勝機があると思うんだ」 「せどりの女王」高殿円 #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 31/08/2026「光一郎。人にはそれぞれ歩むべき道があるのだろう。きっとこの世の人の数だけな。己の信じる方へ進め。しかし、違えたと思うたら、すぐに引き返すのだ。それは恥にはならぬ。恥ずべきは違えたことを知りながら、闇の中を進むことだ」 声にならないまま光一郎は頷いた。 「みちのく忠臣蔵」梶よう子 #読了 020
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 28/08/2026「やはり腹を切らねばなりませんか」 一瞬、苦悶が浮かんだが、すぐにまた表情が穏やかになった。 「どのような仕置きでもお受けいたしまする」 「二言はないな」 「はっ」 「よし。切腹など生ぬるい。お主にはもう一度、釣り勝負を命ずる」 「えっ……釣りですか?」 「天保釣り合戦顚末記」土橋章宏 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 27/08/2026妻はベランダの窓にはまった鉄格子に向かってひざまずいたまま、万歳を叫ぶように両腕を上げていた。彼女の体は濃い緑色だった。青ざめていた顔は常緑広葉樹の葉のように艶々と光っていた。干した菜っ葉のようだった髪の毛には、新鮮な野草の茎のような潤いが漲っていた。 「私の女の実」ハン・ガン #読了 040
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 26/08/2026「勇気ですか?」 「そう。わかりやすく言うと、自分をごまかさずに生きるということ。そのためには、自分が傷つくことだってあるし、だれかを傷つけることもある。避けて通ることもできるけど、そうしたら、どんな可能性も生まれてこない。すべては勇気次第」 「しらんけどな」村上しいこ #読了 040
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 25/08/2026太子の耳に二人の誓いが響く。 「我、朱瞻基、この香炉に誓う。劫難いくえたりとも断じて諦めぬ。京城に帰還し、奸賊どもを成敗する。神人ともに鑑みよ」 「我、呉定縁、血をもって香に代え、ここに誓う。我が父のために仇を討つ」 「両京十五日」馬伯庸 齊藤正高・泊功=訳 #読了 010
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 24/08/2026気まぐれに笑った彼女は、そのままきっぱりと言った。 「大丈夫」 その瞬間、世界が逆転した。 ずっと、盾を持っているのは自分で、襲いかかる脅威から由芽を守ってやるのだと思っていた。 でも、違う。 盾を持っていたのは由芽で、守られていたのは自分だった。 「僕たちの青春と君だけが見た謎」雨井湖音 #読了 030
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 23/08/2026「あたしには、因果の巡りはおどろおどろしたものには見えない。まるで雨上がりの蜘蛛の巣のように、清く光る糸がある」 それはたぶん、人との縁だ。誰かとの出会い、誰かの一言。 運命は時々、偶然みたいな顔つきをして違う糸をひょいと手繰り寄せる。 「豆は煮えたか」朝井まかて #読了 070
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 22/08/2026「なんなら、持参金もおつけして」 金の話まで持ち出され、こめかみがずくんと疼く。気がつけば、伝法口調が飛び出していた。 「いい加減にしな。ちったぁ、人の話を聞きゃあがれ!」 聞き慣れない江戸言葉で罵られ、蘇芳がぽかんと口を開ける。 「星合いの空 江戸彩り見立て帖」坂井希久子 #読了 040
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 21/08/2026空襲被害者の女の人らの思いは同じやった。 まだ戦争の話しとるのと言われるけど、わたしらかてしたくてしとるわけやない。 もう戦争の話なんかせんでええようになってほしいんや。 わたしらかて一人の人間やいうことを認めてほしいんや。 「愛子さん」中脇初枝 #読了 051
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 20/08/2026女王の瞳に、光が宿る。 「結芽、大丈夫。あなたはあなたが思うほど弱くない。無力でもない。悩んで、迷って、ここまで来た。それが証拠だよ」 そう言って、魔法女王がイズミ・リラが立ち上がる。 「あなたが導いた答えが、あなたの物語になるんだ」 「物語を継ぐ者は」実石沙枝子 #読了 081
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 19/08/2026「僕は」 「何?」 「自分をいいやつだとは思ってないけど、別にいやなやつだとも思ってないよ。そんな自覚はないよ」 わたしは笑って言う。 「だからさ、あんた、そういうとこなのよ。そういうとこがさ、何ていうか、もう、あんたなのよ。徳弥は徳弥、みたいに、あんたはあんた、なのよ」 「片見里足立アフェクション」小野寺史宜 #読了 050
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 18/08/2026「ひとがひとに何かしてやれる、などと考えるのは傲慢かと思うことがございます」 咲乃のことばを反芻するようにうなずきながら、五郎兵衛は唇をひらく。 「たしかに、その通りと存ずるが」 義妹の目を見つめ、しずかに告げた。「してやりたい、と思う心もちは、また別のものでござろう」 「星月夜 藩邸差配役日日控」砂原浩太朗 #読了 040
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 17/08/2026「もうよい、これ以上申すな!」 「いいえ、やつがれははっきりと申し上げねばなりません。そうでなければ右相はなおもその中に浸り、その理を悟られぬ!」 李善徳は身をかがめ、二十年近く抑え込んできた力をその痩せ細った身から爆発させた。 「長安のライチ」馬伯庸 池田智恵=訳 立原透耶=監訳 #読了 060
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 16/08/2026伯父さんは言った。 「頑張りました。一生懸命、頑張って生きました。色々なことを考えたり感じたりして、迷ったり困ったりしながら生きました。胡桃くんも今、そうやって、生きています。それはね、すごく、すごいことですよ」 伯父さんは胡桃を見て、大きく頷いた。 「山田太郎の話」水沢秋生 #読了 010
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 15/08/2026大切なひとがしあわせになれる日が来たことがただただ嬉しい。そして、その手伝いをさせてもらえることが、しあわせだった。 わたしはちゃんと、このひとを守る力を身に付けている。 「レルファン様」 顔を見上げ、しっかりと見つめると、何故だか泣きたくなった。 「ハヤディール戀記」町田そのこ #読了 070
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 14/08/2026嫌いになったものをもう一度受け入れることはできなくても、嫌いなものを他の嫌いなもので薄めたり、好きなもので和らげたりしながら生きていくことはできるかもしれない。 雪を道の脇に押しやって、いつか溶ける日を待つように。 「オーロラが見られなくても」近藤史恵 #読了 0100
ノンマルトの末裔@読書 @nonmart.bsky.social · 13/08/2026「なあ美禰ちゃん。雨は降るねん。ぜったい降る。そのために傘がある。長靴も、レインコートもある」 「意味がわからへん」 「でも、晴れてる日に傘握りしめて雨におびえるのって、無意味やと思わへん?」 「雨が降ったら」寺地はるな #読了 090