「怪我や病気ってんなら、まずご家族にご連絡が行くでしょう。家出って感じもなさそうだ。後は…名家のご子息となれば、拉致誘拐なんかも視野に入りますかね」
「先輩…!」
「…僕達もその線は真っ先に考えました。ですがここまで何の連絡も無いのは…」
「不自然ですよねぇ。身代金を要求するにしろ、そちらさんにコンタクトを取らなきゃ始まらない。攫うだけ攫って放置なんざ現実的とは思えませんからね。怨恨目的なら話は変わってきますが…お兄さん、恨みを買いやすいお人でした?」
「そうでないような…あるような…」
言葉を濁すシ‘’ョンの顔は、今日いちばんの複雑な模様を浮かべている。いろいろあるらしい。深入りは禁物だ。