「なあ、最近タクブクンと何かあったのか?」
観音廟での惨事からちょうど半年という節目を迎えたのが、数ヵ月前のこと。雲夢の民を始めとする多くの人が、あの夜の記憶を薄れさせていた。雲夢を統べる宗主にとって、それは決して悪いことではなかった。しかし当の澄の眉間には深々とシワが刻まれている。理由は2つ。
1つは今澄の前で蓮の実を夫から食べさせて貰っている、恥知らずのウェイインだ。この男が日の出よりコソより夫の剣で現れた時、澄は忘れたくとも忘れられないあの夜の苦い記憶をまた鮮明に思い出したのだ。連絡無しの早朝の訪問。そしてあの夜の記憶と共に来た現仙督に激しい憤りを感じている。
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