【光+ラハ】
シャーレアン行きの船の中、決して短くはない航海の途上。乗客の喧騒に紛れ込ませた細やかなお願いが耳を打つ。
「なあ、あんたのこれまでの旅の話を聞かせてくれないか」
ピン、と耳を立たせて隣に座る男の紅い瞳が期待で輝いている。そういえば、未来の話ばかりをして彼が大好きな英雄の冒険譚は何一つ話してはいなかった。さて、どのような話がいいだろうか。
竜詩戦争もドマ、アラミゴ解放も、今更語ることは多くない。せっかくのお願い事なのだから、もっと別の話が良いだろう。例えば、彼にも少しばかり関係があるような。そうだ、それが良い。
「これは、竜詩戦争後のイデルシャイアでの話だ」