『歳月すらも年老いて』
「時間にすら置いて行かれてしまったんだ、果てしないほどに、若さも老いも、その繰り返しを無限に見ては、そのどちらもが自分の中にはないことを嘆いた。永遠に完結しない生命に意味はあると思うかい?」
「…さあ、」
生きて数十年の自分にはわかるはずもない感覚だ。けれどただ一つ、彼が苦しいほどの寂寞を感じていることは伝わってきた。彼の孤独が、わかってしまった。かと言って彼の眷属になろうとも思えない。そもそも眷属になったところで彼の渇きは癒えないだろう。
夜に馴染んだ黒髪はしっとりと濡れたように月の光を受けて光っている。同じように黒く濡れた瞳が、助けを求めて揺れていた。
【財海】