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Yandexのデータセンター障害についてまとめてみた
2026年10月8日、ロシアIT大手が運営するYandex Cloudはru-central1-bで電源が途絶し、サービスが利用できない状態になっていると告知しました。その後、Yandexはデータセンターがドローン攻撃を受けて火災が起き、稼働が完全に停止したと公表しています。ここでは関連する情報をまとめます。
### ru-central1-b の電源障害
以下、Yandex Cloudの告知の時刻はモスクワ時間。
Yandex Cloudのステータスページには、10月8日1時31分に可用性ゾーンru-central1-bで電源が途絶したと記録されている。重大度は利用不能(Unavailable)で、可能であれば他のゾーンへ負荷を移すよう推奨した(出典: 1)。公式Telegramの「Yandex Cloud Alerts」は1時44分に初報を投稿した(出典: 2)。2時19分の更新では問題の局所化の措置を取ったが状況は安定していないとし、4時16分には復旧時期を確認中と告知した(出典: 1)。
4時55分、他のゾーンでも新規の仮想マシン、Kubernetesクラスタ、データベースの作成に問題が出る可能性があると告知。8時26分には他のゾーンへの負荷切替に必要な作業を完了し、他のゾーンのサービスは通常稼働、ru-central1-bは利用不能が続くと更新した。新規リソースの作成は制限されうるとしている(出典: 1)。
### 原因はサソヴォのデータセンターで起きた火災
Yandex Cloudの初報は電源の途絶とのみ告知しており、15時19分の更新で原因を説明した。リャザン州サソヴォのデータセンターへのドローン攻撃で起きた火災がYandex Cloudの基盤の一部に影響したとし、データセンターの稼働は完全に停止していると伝えた(出典: 1, 3, 12)。
Yandex広報は報道各社に、サービスの一部が利用できない場合があり、負傷者はいないと回答した(出典: 11, 12)。10月8日9時30分、リャザン州知事は州上空で夜間に無人機2機を撃墜し、サソヴォ地区の企業の屋根が出火したと発表したが、企業名には触れていない(出典: 11, 12)。
### カルーガのデータセンターも損傷
Yandexは10月9日の公式声明で、サソヴォのデータセンターが7日から8日の夜に損傷したこと、9日朝にカルーガのデータセンターも攻撃を受けてインフラの一部が使用不能になったことを明らかにした。どちらも従業員に被害はなく、現地で緊急サービスと専門家が作業していると説明している(出典: 4)。
カルーガについて広報は、複数のモジュールが完全に使用不能になり、Yandexのサービスの一部が不安定になりうる、被害の全体規模は評価中と回答した*1。(出典: 15)
サソヴォの設備について広報は、復旧が可能かを現時点で確認できないと回答している(出典: 12, 15)。公式声明は、設備の復旧時期を現時点では示すのが非常に難しいとしている*2。(出典: 4)
攻撃主体について、Yandexの発信は「ドローン攻撃」にとどまる(出典: 3, 4)。ウクライナ大統領は10月8日、Yandexのデータセンターへの攻撃を問われ、「彼らは我々のデータセンターを攻撃してきたし、今も攻撃している。我々は応じた」と述べ、詳細のすべては明かせないとした(出典: 16)。10月9日にはカルーガへの攻撃をウクライナのドローンによるものと認め、報復措置だとXへの投稿で表明した(出典: 19, 20)。
### ru-central1-b の利用不能
ゾーンの利用不能は、10月10日9時の更新時点でも続いている。ステータスページの更新のうち節目は次のとおり(出典: 1, 3)。
* 8日18時25分: ゾーンを近いうちに再開することはできないとの見立てを示し、可能であれば代替の復旧計画を使うよう従来どおり推奨。23時5分の更新では、専用物理サーバー(Bare Metal)を含む代替の手段を可能であれば使うよう推奨
* 9日15時42分: Managed Kubernetesで地域クラスタの管理コンポーネントをru-central1-bから他のゾーンへ移せるようになり、Managed Databasesは耐障害クラスタでru-central1-bのホストを削除できるようになった
* 10日9時: 利用不能のまま。週末はコンピュート資源とディスクのクォータを完全手動で管理し、一部の顧客が必要に応じてバックアップから復元したり他の基盤へ移したりできるようにするため、全ユーザーに現状に加えて少量の追加資源を提供する。上限を超える新規作成は制限し、拡張は重要なサービスが未復旧の顧客を優先
### 他社クラウドへの顧客受け入れで合意
Yandex Cloudは10月9日10時38分の更新で、Selectel、К2Cloud、VK Cloudと、顧客のリソースの迅速な受け入れと確保で合意したと告知した。合言葉「CloudBro」を伝えると、各社が申し込みを優先して処理するという(出典: 1, 3, 15)。
Yandex広報は、被害を受けた顧客のデータとサービスの迅速な移行について、専門家チームを追加で配置し、柔軟な金銭面の条件を提示し、接続の手続きを簡素化したと説明している(出典: 17)。
### Yandexの自社サービスにも不調
Yandex 360の広報は10月8日13時27分、一部の利用者でメールの利用に一時的な支障があったが、すぐに解消して現在は通常どおりと回答した(出典: 12)。
Yandexは、チャットボットでのアリス(Алиса) AIの一部機能が一時的に使えず、回答が通常より遅れることがある、スマートスピーカーのСтанцияの応答に間が空くことがあり、スマートホームのデバイスも不安定になりうると説明した。原因はサソヴォとカルーガのデータセンターの重大な損傷としている(出典: 18)。
### アストラルの電子報告サービスが中断
アストラル(ГК Астрал)は、電子報告、電子文書交換(ЭДО)、電子運送書類(ЭПД)のサービスをYandex Cloudの基盤に置いており、10月8日に一時中断した(出典: 5, 7)。利用者はその間、電子文書を送れず、運送状などを国の情報システムへ送ることも、監督官庁への報告を提出することもできなかった(出典: 7)。
12時の更新でアストラルは、Yandexの情報として原因はドローン攻撃による火災と説明し、監督官庁向けの公式レターを用意したと告知した(出典: 5)。電子報告サービスの1つ(1С-Отчетность)のページは、中断の原因をサソヴォのYandexのデータセンターでのインシデントと明記している(出典: 9)。
アストラルは10月8日付の告知(9日に更新)でサービスの提供を再開したとし、電子報告サービスの1つは部分復旧としている。処理待ちの滞留により一部の操作で待ち時間が延びる可能性があるとも告知した(出典: 6)。10月9日10時の時点では、電子文書交換は通常稼働で待ちはなく、電子運送書類は稼働しているが滞留で大きな待ちが残り、電子報告サービスの1つは部分復旧だった(出典: 8)。10月10日10時の更新で、サービスは通常稼働、滞留していた文書の処理は完了し、送信の遅延はないと告知した(出典: 10)。
アストラルは総括レターで、Yandex Cloudへの公式照会(原因、影響、解消時期)と、国家コンピュータインシデント調整センター(НКЦКИ)への障害情報の通報を行ったと記している。障害の原因は同社の管理の範囲外にあり、不可抗力の事情の特徴を備えるとも評価している*3。(出典: 7)
アストラル以外では、不動産情報サイトやバス乗車券のオンライン購入、銀行やEC事業者の社内システムでも障害があったとの報道がある*4。(出典: 12, 13)
データセンター障害発生の流れ
### 同じ日に起きた別原因の障害
10月8日15時32分から16時4分ごろ、DDoS防御事業者のCuratorで、内部のネットワーク設定の誤りによりトラフィックを受け付けない状態が起きた(出典: 14, 16)。
10月8日の日中にあったメディアのサイトの障害は、この事業者自身が自社の技術的な誤りによるものと説明しており、データセンターの損傷とは別の出来事(出典: 16)。
### 関連タイムライン
日時 | 出来事
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10月7日から8日の夜 | サソヴォのデータセンターがドローン攻撃を受けて損傷(Yandexの説明)
10月8日 1時31分 | ru-central1-bで電源が途絶(ステータスページの記録)
同日 1時44分 | Yandex Cloud AlertsがTelegramで初報を投稿
同日 4時55分 | 他のゾーンでも新規リソースの作成に問題が出る可能性を告知
同日 8時26分 | 他のゾーンへの負荷切替を完了、ru-central1-bは利用不能が続く
同日 12時 | アストラルがサービスの一時中断の原因を説明
同日 15時19分 | Yandex Cloudがサソヴォのデータセンターへのドローン攻撃による火災を原因として告知
同日 18時25分 | ゾーンを近いうちに再開することはできないとの見立てを告知
同日(時刻の記載なし) | アストラルがサービスの提供再開を告知
10月9日 | Yandexが公式声明でサソヴォの損傷とカルーガのデータセンターへの攻撃を公表
同日 10時38分 | Selectel、К2Cloud、VK Cloudと顧客の迅速な受け入れで合意
同日 15時42分 | Managed Kubernetesの地域クラスタで管理コンポーネントを他のゾーンへ移せるようになり、Managed Databasesの耐障害クラスタでru-central1-bのホストを削除できるようになった
10月10日 9時 | ru-central1-bは利用不能のまま、週末はクォータを完全手動で管理
同日 10時 | アストラルが通常稼働を告知
### 関連公表
#### Yandex、Yandex Cloud
* [1] 2026年10月8日 Yandex Cloud「Нарушение электропитания в зоне доступности ru-central-b」(ステータスページ、インシデント2092)
* [2] 2026年10月8日 Yandex Cloud Alerts「公式Telegramの投稿(初報から10時1分まで)」
* [3] Yandex Cloud Alerts「公式Telegramの投稿」
* [4] 2026年10月9日 Яндекс「«Железное сердце» Яндекса — что происходит с нашими дата-центрами」
#### ГК Астрал
* [5] 2026年10月8日 ГК Астрал「Временные перебои в работе сервисов ГК «Астрал»」
* [6] 2026年10月8日 ГК Астрал「Работа сервисов ГК «Астрал» возобновлена」
* [7] 2026年10月8日 АО Калуга Астрал「Об инциденте в ООО «Яндекс.Облако», принятых мерах и правовых последствиях для пользователей сервисов」(総括レター、PDF)
* [8] 2026年10月9日 ГК Астрал「Статус по работе сервисов ГК «Астрал» на 09.10.2026 10:00」
* [9] 2026年10月9日 ГК Астрал「Статус работы сервиса 1С-Отчетность」
* [10] ГК Астрал「Информационные письма по инциденту」(10月10日10時の更新)
#### 報道
* [11] 2026年10月8日 BBC News Русская служба「Украинские беспилотники атаковали дата-центр «Яндекса» в Рязанской области」
* [12] 2026年10月8日 Коммерсантъ「Атака БПЛА остановила дата-центр Яндекса в Сасово」
* [13] 2026年10月8日 Новая газета Европа「Атака на дата-центр «Яндекса» нарушила работу корпоративных систем Т-Банка, Ozon, Wildberries и других российских компаний」
* [14] 2026年10月8日 Код.ру「После атаки на дата-центр Яндекса в Рунете начались массовые сбои」
* [15] 2026年10月9日 Интерфакс「Часть инфраструктуры дата-центра "Яндекса" в Калуге пострадала из-за атаки БПЛА」
* [16] 2026年10月9日 BBC News Русская служба「Украинские беспилотники второй день атакуют дата-центры «Яндекса». В московском офисе прошла учебная тревога」
* [17] 2026年10月9日 Код.ру「Клиентов Yandex Cloud переведут к другим провайдерам」
* [18] 2026年10月9日 vc.ru「«Яндекс»: часть функций чат-бота «Алиса AI» временно недоступна, «Станции» могут отвечать с задержкой」
* [19] 2026年10月9日 ロイター(ニューズウィーク日本版掲載)「ウクライナ、ロシア主要データセンター連日攻撃 市民生活に影響」
* [20] 2026年10月10日 共同通信(産経ニュース掲載)「ロシアのデータセンター連日攻撃 ウクライナ軍の無人機、双方の応酬激化」
### 更新履歴
* 2026年10月11日 新規作成
*1:公表されているのは被害の程度までで、カルーガのデータセンターがYandex Cloudのどの可用性ゾーンに当たるかは示されていない。
*2:公表されているのは復旧時期を示すのが難しいという認識までで、顧客データの消失の有無にYandexの公表は触れていない。
*3:原文: "обладают признаками обстоятельств непреодолимой силы"(民法401条3項を引用)
*4:報道が引く各社の告知や匿名の情報源の話に基づく。原因としてYandexを名指ししていない告知も含まれる。