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まきの

@makinohanairo.bsky.social
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まきの(牧野)です。しがないペンギン。 20↑ 文字書き  ジャンルいろいろ雑多 あむあず/リョ彩/あべちよ 敢由の沼に落ちた2025 フォローは同志さまのみお願いします potofu.me/makino-hanairo?pub_id=mak…

PostsRepliesMedia
まきの @makinohanairo.bsky.social · 15/08/2026
⚾️見ながらメロンパン焼いた うまうま…
0140
まきの @makinohanairo.bsky.social · 03/08/2026
今日は食パン焼いた🍞美味しくてびびる これからはパン作りを趣味とことにしま
1180
まきの @makinohanairo.bsky.social · 20/07/2026
初めてパン焼いた!うまそう! 原稿もちょろちょろやってコナンパズルも真面目にやってる えらい
2190
まきの @makinohanairo.bsky.social · 17/07/2026
サバエスニック丼 ナンプラーなかったけどぜんぜんおいしい バジルはスーパー行ってもたまにしか出会えない あかりごはんは体にいいもの作って食べた感がすごい、ほんとに
040
まきの @makinohanairo.bsky.social · 14/06/2026
久々にあかりのトマト親子丼 塩しか入れてないのにやはりおいしいね……
0110
まきの @makinohanairo.bsky.social · 26/04/2026
一番好きな🥞🫶 とトリュフポテト
090
まきの @makinohanairo.bsky.social · 08/04/2026
久々の在宅勤務なのであかりオムライスを作ったらこれはハマった 醤油オムライスうま(食べかけでごめん)
1160
まきの @makinohanairo.bsky.social · 20/03/2026
今回の本の装丁は、パチカカバー+特殊紙のジュエルペーパー(白押さえ)です。シンプルな海のデザインのカバーが二人を隔てていた海を表現しており、カバーを外すと出てくる輝く表紙が、6年後の再会した二人が身を置くスポットライトの当たる世界を表しています。パチカカバーの左下の砂浜部分が加熱部分で透けてます。パチカの手触り好き。デザイナーさんとプリントオンさん本当にありがとうございます🙇‍♀️
093
まきの @makinohanairo.bsky.social · 20/03/2026
設営完了ツイートもしてませんでしたが💦 そろそろ撤収準備に入ります! 新刊、とても綺麗に出来てました!パチカカバーです🥰
0101
まきの @makinohanairo.bsky.social · 12/03/2026
3/20 HARU COMIC CITY BURST OUT -お品書き- リョ彩スペースです。 新刊と既刊、リョ彩結婚アンソロ持っていきます! アンソロはこれで最後の頒布になります。 よろしくお願いします。 各サンプルはツリーに繋げます。
152
まきの @makinohanairo.bsky.social · 11/02/2026
今回の本はパチカカバー×特殊紙(ジュエルペーパー)という装丁の予定です。デザインは前回の本と同じ瀬波様(X:#saku_senami )にお願いしました。 表紙は華やかでキラキラした二人の世界を、カバーではそれまで二人を隔てていた海のイメージでデザインしていただきました。パチカの加熱型押し部分がどのようになるのか今から楽しみです☺️
040
まきの @makinohanairo.bsky.social · 26/01/2026
今日はハンバーグ
070
まきの @makinohanairo.bsky.social · 25/01/2026
最近外食続きだったから今日は自炊day🍳 このあかりごはん大好き
4160
まきの @makinohanairo.bsky.social · 01/01/2026
遅れましたがあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします! 今年もお雑煮だけは作った。全然映えないけど
0140
まきの @makinohanairo.bsky.social · 29/12/2025
冬の夜とハンドクリームの話(敢由) (8/8)
 ひととおりの後始末を終えれば、布団などいらないほどに火照った身体も流石に少し冷めたようで。甲斐甲斐しく敢助に身体のいたるところを拭かれて服を着せられ、乱れた髪を撫でつけられた由衣は、くったりと疲れ果てたように敢助の布団の中で丸くなっている。
「かんちゃん……ごめん」
「いや、俺のせいだろ……悪かった」
 久々だったこともあり、性懲りも無く何度も由衣の身体を求めてしまった。互いに警察官であるからそれなりの体力はあるのだが、こうして毎度抱き潰してしまうほどにどうにも歯止めが効かない。
 ふと思いついて、敢助は布団に入る前にベッドボードに置いてあった由衣のハンドクリームを手に取った。ジャータイプのそれの蓋を開いて、適当な量を掬って手のひらに広げる。ひやりとしたそれを手の温度であたためながらベッドに腰をかけると、由衣に「手、出せ」と声をかけた。
 のろのろと布団から出てきた由衣の右手をとり、丁寧に、そのほっそりとした指や手の甲に、ハンドクリームを塗り込んでいった。よほど敢助の手の方が乾燥しているように思うが、由衣はかならずこうして保湿をしている。手に残ったハンドクリームを、今度は左手にも塗り込んでいく。由衣は黙ってされるがままになりながら、くすぐったいのか、時折ぴくりと肩を揺らす。その度に、落ち着いたはずの下半身がまた反応してしまいそうになるが、なんとか堪えた。
 どうやらハンドクリームは取りすぎだったらしい。由衣の手に十分に塗り込んでなおベタついたままの手のひらをどうしようかと思えば、今度は由衣が敢助の手をとって、クリームを擦り込むように指を絡めてきた。その緩慢とした、まるで愛しむような手つきに、また身体が熱を帯びていくような気がした。
 そんな敢助をよそに、由衣は「ふふ」と声を漏らして笑みを浮かべた。
「……なんだよ」
「ううん……なんだか、こうやってると子供の頃を思い出すなって」
 べつに、子供の頃にハンドクリームを塗った記憶などないが……由衣にとって手に触れるということは、子供の頃の戯れと同じようなことらしい。
 ……まったく、人の気も知らないで。
 もう終いだ、と手を離して、敢助はベッドボードに置かれた白い手袋を渡した。明日も仕事だ。これ以上由衣に無理をさせるわけにはいかない。
 なぜか残念そうな顔をする由衣の額に口付けを落としてから、布団の中に潜り込む。ベッドは二つあるけれど、こうして肌を重ねた日は同じベッドで眠るのが常だ。ぴたりと身体をくっつけて頭を撫でてやれば、由衣の顔が漸く嬉しそうに緩んだ。
「……おやすみ、敢ちゃん」
「ああ、おやすみ」
 こうして、二人で一つの布団にくるまって眠れるのだから、長野の寒い冬も悪くない。そんなことを思うようになるなんてことも、こうして由衣と一緒に暮らすまで知らなかった。じっくりとぬくもりを分け合った由衣の手足はもう冷たくはない。二人の体温が溶けあった布団の中で、敢助はすぐに眠りについた。
121
まきの @makinohanairo.bsky.social · 29/12/2025
冬の夜とハンドクリームの話(敢由) ぬくぬくしてほしい。 (4/8)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「ぬくもり」、「まきの」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 由衣のことなら大体のことは知っているつもりでいたが、それはとんだ間違いだったと最近になって気付かされた。同じ家に住むようになってから、知らなかった由衣の生活の一端を知るたびに、人はこれ以上に人を好きになることがあるのかと驚かされる。例えば、家で寝るときにはやたらふわふわと肌触りのいい寝衣を着ているだとか、普段はかっちりとした服に隠されている素肌が細くて白くてまるで雪みたいだとか、起きたときにふと横にある寝顔が子供の頃のようにあどけないことだとか。そういうひとつひとつのことが、たまらなく胸を締め付けるのだということを、敢助は知らなかったのだ。
 
 久々にゆっくりと過ごせる二人の夜。由衣は先に寝支度を終えて寝室に入っていた。敢助も後を追うように由衣の元へと向かうと、寝室は既に照明が落とされ、ベットサイドに置かれたライトのオレンジ色の灯りが由衣の白い頬を照らしていた。
 仕事で寝る時間がズレることも多々あるため、二人の寝室には二つのベッドがごく近い距離で並べられている。奥側のベッドで布団に潜り込んでいる彼女は、まだ眠っていないようだ。
「……敢ちゃん、もう寝るの?」
「ああ。疲れたしな」
 嘘だ。まだ眠るつもりなどさらさらないけれど、なんでもないようにそう答えて自身のベッドにごろりと横になる。手を伸ばして、スマートフォンをサイドボードの充電器に繋いでいると、由衣の身体がもぞりとこちらを向いた。そのまま、布団の中から腕が伸ばされて、ひやりとした由衣の指が敢助の頬をそろりと撫でた。
 ああ――彼女もきっと、そのつもりだ。
 にやりと口角が上がりそうになるのをぐっと堪える。
 伸びかけの髭をなぞるように往復するその手を掴んで指を絡めてやる。布団の中にあったはずなのに、それはひんやりとしていた。滑らかな手の甲を指でそろりと撫でてやると、「……敢ちゃん」と声が上がる。その声音に否定の色はない。
 冬になると、由衣が寝る前にハンドクリームを念入りに両手に塗りこんで、手袋をはめてから眠りにつくのだということも、由衣と暮らすようになってから知ったことだった。
 そうして、敢助が寝室に来るまでにその工程を終えずにいる彼女が何を期待しているのかなんて明白で。そんな今までは知らなかったいじらしさが、わかりやすく敢助の欲を煽るのだった。
「……来いよ」
 ぐいと繋がった手を引いて、ごく小さな、囁くような声で言えば、由衣は頬を赤く染めながらも自分のベッドを降り敢助の布団の中に潜り込んできた。冷えた足が敢助の足へと甘えるように絡みつくと、ずくりと腰が重たくなった。
 ぐるりと体勢を入れ替えて、由衣の身体の上に覆い被さる。布団が浮いて、冷たい空気が二人の間に入り込んできた。両手をベッドに縫い付けるように合わせて見下ろすと、由衣は物欲しそうな顔でこちらを見上げていた。
「な、俺が来るの、待ってたのか?」
「……もう……いじわる」
 寒いから、早くぎゅってして。
 消え入りそうな声で呟いたお姫様の言うとおり、隙間なく体をくっつけて口付けを落とせば、素直に敢助の動きに応えてくる。ああ、早くこの冷えて乾燥した身体に体温を分けて、奥深くまであたためてとろとろにほぐしてやりたい――
 夜はまだ、始まったばかりだ。
161
まきの @makinohanairo.bsky.social · 22/11/2025
今日は夫の👵が遊びにきたので東京観光した!明治神宮紅葉すごかった〜
0151
まきの @makinohanairo.bsky.social · 09/11/2025
ずっと行きたかったお店の🍨
0100
まきの @makinohanairo.bsky.social · 08/11/2025
コンキリエ!
090
まきの @makinohanairo.bsky.social · 07/11/2025
今日は本当にお天気も良くて、紅葉してたりジョイフルメドレーのんだり、焼肉食べたりした良い金曜日でしたな(焼肉は撮り忘れた)
080
まきの @makinohanairo.bsky.social · 06/11/2025
続きです(8/8)
 ただそれは先ほどまでよりも少しだけ高く甘えたような声音で、敢助はほっと胸を撫で下ろした。
「……今帰ったとこだ。それより由衣、お前電話していいのかよ。配信終わったとこじゃねぇのか?」
「えっ、聞いてたの?」
「今帰ったっつったろ? 聞いてねぇ。通知見ただけだ」
「……そっかぁ。もう車だしマネージャーさんしかいないから、電話は大丈夫だよ」
 彼女は安心したように呟いた。
 嘘を吐いたのは、彼女が配信で「Kちゃん」の話題に触れたから。
 下積みの練習生時代、彼女の口からは「幼馴染のKちゃん」の存在がよく飛び出し、昔からのファンにとってはお馴染みの話題だった。彼女がデビューしてからは、流石に「俺のことは話すな、ボロが出たらかなわん」と言い聞かせているのだが、ファンは忘れていない。むしろ喜ぶ始末だ。
 しかし「Kちゃん」がまさか六歳も年上の厳つい男であることも、そして大和由布――本名、上原由衣――の「大和」が、その男の名字からとったものだということも。どれだけ古参だとて、誰一人として知りえないことだった。
「……今日ね、卒論書き終わったの。これで、無事に卒業できるわ」
「おお、よく頑張ったな。それにしても、まさか本当に四年で卒業するとはな」
「ふふ……ありがと。敢ちゃんと同じ大学出るって、約束だもん」
 それは、彼女が一方的に宣言したものであったが。彼女がこれまで敢助との約束を破ったことは一度もない。
「それより……忙しい時は連絡しないでいいっていつも言ってるだろ?」
「なによ……毎日連絡しろって言ったのは敢ちゃんなんだからね」
 敢助の小言のような言葉に、由衣はむくれたような声を出す。
 敢助と、毎日連絡を取ること。
 それこそが、敢助が彼女と交わした「約束」だった。四年前、アイドルのスカウトを受けると決意した彼女に、敢助が条件をつけたのだ。電話でも、メッセージでもなんでもいい。理不尽な目に会ったときには必ず報告すること――その言葉を律儀に守って、どれだけ忙しくともメッセージのやり取りは欠かさず、余裕があれば(いや、あろうがなかろうが)こうして電話や、たまにビデオ通話までしている。
 今思えばなんと過保護で独占欲の滲んだ条件だろうと笑ってしまうが、敢助は心配だったのだ。なによりも大事で、守ってやりたい幼馴染が、芸能界、ましてや異性の目線に常に晒されるアイドルという世界に飛び込んでいくことが。きっとそこは華やかなだけではない。彼女の穢れを知らない透き通った瞳が、声音が、少しでも曇ることがあれば、すぐにでも引き戻してやろうと思っていた――それなのに。
 
 急に静かになった敢助に向かって、由衣が不安げに声を上げる。
「敢ちゃん、もしかして……電話、迷惑だった?」
「……バーカ、迷惑じゃねぇよ。仕事も終わって帰ったとこだし、もう寝るだけだからな」
「……そっかぁ。敢ちゃん、夕飯は食べたの?」
「コンビニ弁当買ってきた」
「えーっ、もっとちゃんとしたもの食べなきゃダメよ」
「あのなあ、お前は俺の母ちゃんかっての。お前こそ、どうせダイエットとか言ってちょっとしか食ってねぇんだろ?」
 由衣がアイドルとしてどれだけストイックに体重管理や体づくりを行っているか、厳しいレッスンに向き合っているか、敢助が一番よく知っている。それでも、彼女が弱音を吐いたことは一度もない。
 図星だったのか、由衣は急に静かになってしまった。敢助は、幾分柔らかい声が出るように、スマートフォンに向かって呟いた。
「……あんまり、無理すんなよ」
「うん……わかってる。ありがと、敢ちゃん」
 彼女は今、どんな表情をしているのか。ファンに向けたそれじゃなくて、敢助だけに向けた顔が見たい。こんな機械越しではなく、会って話がしたい。そんな思いは胸の内に吸い込まれて言葉になることはない。
 最後に「おやすみ」とだけ言いあって、敢助は電話を切った。
 
 由衣は敢助の心配をものともせずにアイドルとして花開き、ここ半年ほどで警察官の敢助よりもはるかに忙しくなってしまった。こんな約束は、由衣にとってこそ負担なのではないか。いくら遠回しにそう伝えようとも、彼女は約束を反故にはしない。由衣のことが心配な敢助としてはありがたいことで、しかし日に日に自覚する。彼女が、敢助の手の届かない場所へと進み続けていることを。それでも、こうして毎日彼女が「上原由衣」であるということを確認せずにはいられない。とんだエゴだ。
 
 由衣がアイドルであり続ける限り、彼女はみんなの「由布姫」で、だれかのものになることはない。彼女は、ファンを裏切るようなことはしない。律儀で真面目で、アイドルであることに誰よりも誇りを持っている。敢助は、そんな彼女を誰よりも昔から推し続けているのだ。
 
 ――彼女がその実、ただ一人に振り向いてほしくてアイドルになったということを敢助が知るのは、まだ暫く先のことだった。
000
まきの @makinohanairo.bsky.social · 06/11/2025
先日「いい推しの日」だったということで、遅刻ですが敢由アイドルパロです。由さんを推しているknちゃんのはなし。書きたいとこだけ書きました。(4/8)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「まきの」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 大和敢助には、誰にも言えない秘密がある。
 
「大和警部補って、誰か推しいます?」
 長丁場となった捜査会議が終わり会議室を出ると、部下である長峰が唐突につぶやいた。
 脈絡のない発言に、敢助は怪訝な声をあげる。
「はぁ? ……なんだ、その推しってのは」
「知らないんですか? 好きで追いかけてる芸能人とか、キャラクターとかのことですよ。最近、アイドルブームじゃないですか。若い子はみんな推しがいるらしいですよ」
 長峰は、どこか得意げな顔で語った。
 今年から捜査一課に配属となった彼は、最近の流行りに詳しく、その豊富な知識が捜査の役に立つこともある。昨日起きた殺人未遂事件の被害者が、地下アイドルだったことによる発言だろう。
 同世代に比べても芸能関係には疎く、アラサーにして既に長峰からオッサン扱いされている敢助だが、この時ばかりは頭の中に思い浮かべる顔があった。
 しかしそんなことはおくびにも出さずに「聞いた事ねぇな」と答えると、長峰は「ですよねー」と言ってのける。どうやら「推し」がいるようには見えないらしい。
「まあ、俺は推しがファンに刺されるなんて事があったらマジで許せないかもしれないですけど」
「それは……そうだろうな」
 敢助だったら、それはもう許せないどころの話ではない。まあ、そんな事が起こらないように、万事は尽くしているのだが。
 長峰の推しは誰なのか、ということは聞かないでおいた。深掘りされたら厄介だ。
 
 会議室から捜査一課の執務室へと戻る途中で、ポケットに入れていた敢助の私用のスマートフォンが震えた。時刻は十七時。業務終了時間であるが、まだまだ仕事は終わらない。敢助は「わりぃ、便所行くから先戻っとけ」と長峰に言って足早に男子トイレへと駆け込んだ。
 スマートフォンのロックを解除し、通知をタップすると、開かれたSNSの画面には「本日二十一時より、大和由布がCheerライブ配信を行います!」という知らせとともに、配信サイトへのリンクが貼り付けられている。
 敢助は、「昨日はそんなこと言ってなかったじゃねぇか」と独りごちながら、スマートフォンをポケットにしまう。事件の捜査が本格的に動き始めるのは明日からだ。敢助は、配信までに帰宅する算段を立てながら、捜査一課の執務室へと戻る。その足取りは、先ほどまでより僅かに軽い。
 
 長野県警捜査一課、最短ルートで警部補へと昇進した強面軍師が、アイドル「大和由布」のファンであることは、同僚の(ただ一人、同じく軍師と呼ばれる同期を除いて)誰にも知られていないことであった。
 
 ◇
 
 なんとか帰宅する頃には、二十一時を少し回ってしまっていた。
 敢助は足早に一人暮らしの部屋に入りベッドに腰掛けると、ライブ配信アプリを開く。しばしの読み込み時間のあと、スマートフォンの画面に表示されたのは、「推し」の笑顔であった。
 それまで険しかった敢助の表情が、自然と弛む。
 配信は始まったばかりで、視聴者のコメントを読み上げているところのようだ。
 
『姫、今日はなにしてたの? ……えっとね、今日は午前中に大学に行って、夕方からレッスンでした! 卒論? そうそう、卒論、やっと書き終わったの! 今日はそれで配信することにしたんだ』
 
 ファンに向かって嬉しそうに語る彼女の笑顔は可憐そのものだ。レッスン後らしい練習着とポニーテール姿は爽やかで、忙しい一日をこなした後とは思えない。彼女は春先から取り掛かっていた卒論をようやく書き終えたらしい。提出期限よりもかなり早いだろう。喜ぶべきところだが、敢助は若干むっとしながら画面越しの笑顔を眺める。書き終えたなんて、聞いていなかったからだ。
 可愛い系というよりも美人とよく形容される彼女だが、ファンからは「由布姫」「姫」などと呼ばれている。そう呼ばれ始めたころは「姫はやめて!」と照れていたが、今となっては何も気にしていない様子だ。
 
 配信画面は、ファンからの「卒論お疲れ様!」「もう終わったの?!」「長距離移動ももうすぐ終わりだね」などとねぎらいの言葉で溢れていく。
 彼女は現役大学生で、地元である長野県の大学へと通っている。アイドルとしては遅咲きの部類らしいが、長い下積みを経てついに開花し、昨年デビューしたアイドルグループの一員として飛ぶ鳥を落とす勢いで知名度を上げ続けている。多忙なスケジュールの中で、長野と東京の往復をして大学を卒業するという無謀だと思われていたことを、驚くほどの根性で成し遂げようとしていた。それもこれも、すべては――
「Kちゃんとの約束、だもんね……って、もうみんなそれは忘れてって言ってるのに!」
 ファンの一人が投稿したコメントを小声で読み上げ、彼女は頬をぷくりと膨らませる。大人へと成長していく狭間の、しかしまだ子供のようなあどけなさも残るその顔が見たくてわざと言っているのだということを、彼女はいまだに理解していない。
 彼女が発した「約束」の言葉に、抗えない優越感と、ある種の罪悪感が綯い交ぜになって敢助に襲いかかる。複雑な感情を心の中に押し留めながら、敢助は画面の脇にあるハートマークのボタンを一度だけタップした。
 
 その後もコメントを読んだり、新曲のレッスンについて語った後、お決まりのスクショタイムを終えて配信は終了となった。彼女は、毎週土曜日に個人配信を行う事が多いが、今日は金曜日。果たして、今日の「日課」はどうなるか――
 
 敢助は配信を見終えると、烏の行水のごとくシャワーを浴びる。風呂場を出たタイミングでちょうど敢助のスマートフォンが震えた。画面には着信を知らせる画面と「由衣」の文字。通話ボタンをスライドすると、配信で聞いていたそれと同じ声が、耳に流れ込んできた。
「敢ちゃん! お仕事は終わったの?」
100
まきの @makinohanairo.bsky.social · 02/11/2025
なんかいい感じにできた🎃🧀 オーブンで焼かなくても上手くできるんだな〜〜
040
まきの @makinohanairo.bsky.social · 09/10/2025
これは好きな写真
080
まきの @makinohanairo.bsky.social · 09/10/2025
「句碑だ……」と黒田ボイスで言いながら歩いた文学の小道
020
まきの @makinohanairo.bsky.social · 09/10/2025
尾道がすてきな街すぎて、なんなら聖地巡礼のつもりだったのに純粋に好きになってしまった これは遥も居心地が良かったに違いない これは如くっぽい写真です
140
まきの @makinohanairo.bsky.social · 09/10/2025
尾道でふらりと見つけた活版印刷のお店がすてきすぎて、色々買ってしまったんだ 活版印刷いいな……御本も素敵なものを見たばかりで……次の本に……
050
まきの @makinohanairo.bsky.social · 05/10/2025
そんなことになると思わず昨日合成して遊んでたやつ(その場で撮る勇気がなかった……) 街歩きアクスタ、やっぱり何でも似合うね……
020
まきの @makinohanairo.bsky.social · 03/10/2025
デートしてくれ敢由
040
まきの @makinohanairo.bsky.social · 27/09/2025
つづきです(6/6)

 金木犀の香りだ。
 馬小屋へと向かう道すがら、ふわりと由衣の鼻腔をくすぐった、秋のはじまりの匂い。
 ほのかなその香りを辿ると、馬小屋の裏側に小ぶりな金木犀の木を見つけた。ここ数日は一気に空気が秋めいて、朝晩は特に冷え込んでいたので、花が開いたのだろう。

 虎田家に嫁いできたのは夏の初めのころだった。
 急に秋が近づいてきて、由衣は慌てて秋服を買った。これまで持っていた服は、一着も持ってこなかったので。
 上原由衣を構成するものは、すべて置いてきた。ただ一枚の写真を除いては。夫は服を買ってくれると言ったが、由衣は自分の貯金でそれらを買った。どうか来年は、これを着ることがないことを願って。
 
 季節が移り変われば、少しずつ屋敷の様相も変わり。蝉の鳴き声が鳴りを顰めて、代わりにコオロギがせつなく声を響かせるようになった。秋の花々が、涼やかな空気を歓迎するように森を彩る。

 慎ましく香りを放っている金木犀の木を見上げると、たまらず、思い出すのは敢助のことだった。

 由衣は花が好きだった。敢助の家に植えられていた、梅だとか、紫陽花だとか、金木犀だとか。そういう、季節の移ろいを感じさせるものが。
 だから金木犀の時期になれば、由衣は必ず敢助の実家へと赴いた。立派な金木犀の木のむせ返るほどの香りを嗅いではじめて、秋が来たという感じがするのだ。
 去年までは、当たり前のようにあったその日々も。
 今はもうない。捨てたのは由衣自身だ。
 
 そんなことを思えば、ごく自然に、ぽろぽろと涙がこぼれていって、由衣は馬小屋に身を隠す。
 ふとした瞬間、敢助のことを思い出す。覚悟を決めて、ひとつの目的のためこの虎田家にきたというのに。どこからともなく彼の記憶が浮かんでは由衣の心を締め付ける。
 故人を想うのは自然なことだろう。
 けれど、敢助は、生きていた。
 一ヶ月ほど前、県警にいる高明から告げられたとき、言い表せないほどの安堵と、それから絶望が綯い交ぜになって大波のように由衣を揺さぶった。涙が溢れて、今みたいに馬小屋に逃げ込んで泣いた。
 高明は、敢助は大怪我を負って片眼を失い、それでも命に別状はないと言った。
 それから敢助がどうしているかは、聞いていない。聞けなかった。もう敢助に会うことはできない。虎田家の嫁になった、この姿では。甲斐の死の謎を明らかにするまで、由衣が敢助に会う資格はない。

 静かに流れる涙は程なくして止まった。由衣は馬に餌をやり、ブラッシングをする。
 この雄の黒鹿毛(くろかげ)は、いっとう由衣になついていた。由衣が頭を撫でると、よりそうように鼻を擦り寄せてくる。
 その雄々しく輝く毛並みが、敢助の姿を彷彿とさせるのは、由衣がたった今彼のことを思い出していたからだろうか。

 忘れることなど初めから無理だったのだ。
 物心ついた頃から敢助はそばにいた。由衣を形作るすべてのものに、ひとつひとつ、敢助の記憶があるのだから。

 この記憶があれば、それだけでいいと思っていた。
 けれど、敢助は生きていた。
 本懐を遂げた後、由衣はどこへ行くのだろう。
 敢助がいなくなった世界で、そんなことを考えたことはなかった。
 
 敢助は、もう金木犀の香りを嗅いだだろうか。
 秋は少しずつ深まり、木々は色を変えていく。

 再会の時は近かった。
000
まきの @makinohanairo.bsky.social · 27/09/2025
秋の香りと敢由。目を覚ました後の敢ととらだ家にいる由さんの再会前の話。 涼やかな話にしたかったのに、仄暗いポエムみたいになりました… (3/6)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「まきの」と記載されています。
以下は本文の内容です。

季節は君の記憶であふれている


 敢助は足を止め、杖で身体を支えて顔を上げた。
 視線の先には、実家の庭に植えられた大きな金木犀の木。山吹色の花がちらほらと開き始めている。ふわりと漂う芳香が、秋の訪れを告げていた。

 猛暑と言われる年だった。避暑地と呼ばれる長野県だが、県警がある長野の市街地はそれなりに暑い。暑いとはいえ、リハビリを怠るわけにはいかなかった。なるべく涼しいうちにと、退院してからは早朝に散歩をしていたが、このところ徐々に朝晩の気温が下がり、少し肌寒いくらいだった。

 その存在を主張する香りは、敢助の心を強く揺さぶった。

『敢ちゃんちの金木犀、今年も咲いたかなぁ』

 耳の奥で、鈴をころがすような声が聞こえた。
 幼い頃から共に育ってきた由衣は、昔から敢助の家に植えられたさまざまな花が好きだった。季節が移ろうたびに、あれが咲いた、これが咲いたと顔を綻ばせる。
 普段は庭になど目もくれない敢助だが、その香りは、由衣のそんな姿を思い出させるには十分だった。

(……幻聴だ)

 わかっている。彼女がもうここを訪れることはない。
 ――なぜ、ずっとそこにいると思っていたんだろう。

 敢助は再び足を進めて家を出た。この頃、漸く杖をついてそれなりの速度で歩行できるようになった。片目が見えないことにも慣れ、距離感も掴めるようになってきた。もう少しすれば、捜査一課にも復帰できるだろう。
 そう思っていれば、杖がずるりと土を滑って転びそうになり、敢助はすんでのところで体勢を立て直す。

(こんな体たらく、アイツにゃ見せらんねぇな)

 このままではいけない。こんな身体ではいけない。落ちた筋力を少しでも元に戻して。片目でも捜査に支障がないくらいに勘をとりもどして。そうして、馬鹿なことを考える彼女の元へ向かわなければ。

 ゆっくりと、足を進めて千曲川まで辿り着く。
 ひとけのない早朝の河川敷の空気は澄んでいて、それがなかなか気に入っていた。
 昔から変わらない流れをながめていれば、河川敷に秋桜(コスモス)が咲いているのが目についた。
 その名のとおり、秋の花。
 これも、由衣が好きな花だ。

『秋桜の花言葉は、乙女の純潔っていうのよ』

 また、由衣の声が聞こえた、気がした。
 それは彼女に相応しい言葉だと思った。幼い頃から警察官を志し、一度も曲げることなく、馬鹿正直に生きてきた。上司と部下の関係になってからは、脇目も振らず敢助の後をついてきた。
 そんな彼女が警察を辞め、他の男のもとへ行くことがあるなどと、疑ったことはなかった。
 ――失って初めて気がつくなんて、馬鹿だ。

 敢助がやるべきことは、ひとつだった。
 一歩一歩、踏み締めながら、この言うことを聞かない脚を動かしていく。大きな橋を渡り切ると、また少しずつ足を進めた。

 ふわり。またどこかから、金木犀の香りが漂ってきた気がする。
 季節の移り変わりは、由衣が教えてくれるものだったけれど。
 たとえ彼女がいなくなっても、由衣は敢助の記憶のなかにいて、いつも変わらずそこにあった。

 
110
まきの @makinohanairo.bsky.social · 23/09/2025
ラスト登頂!!
030
まきの @makinohanairo.bsky.social · 19/09/2025
敢由無配あります お酒の勢いに任せるyiさんと、据え膳で揺れるknちゃんの話。yiさんの勘違いでこじれかけますがハッピーエンド。 ※無くなり次第終了。お取り置きの方には勝手に付けます。 ※全年齢ですが全体的にテーマが大人向けなのでご注意ください。 ※イベント後にWEBで公開予定
000
まきの @makinohanairo.bsky.social · 18/09/2025
悪くない ちょっぴりだけ敢ちゃんもいる
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 15/09/2025
【9/21 お品書き】 戦国八陣虎之巻2 東7ホールP33a hanairo 敢由小説サークルです 敢由新刊2冊とあむあず既刊もあります。 年齢制限作品は、顔写真付き身分証明書を確認させていただきます。よろしくお願いいたします。 詳細はとお取り置きについてはツリーへ
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 07/09/2025
サンプル(2/2) なお通販の予定はありませんが、書き下ろしは11月のWEBオンリーで全文公開予定です
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 07/09/2025
【新刊サンプル】 9/21の戦国八陣虎之巻2にて発行予定の敢由本2冊目です ※全年齢、SSまとめ本です。Xでアップしたもの4本と、書き下ろし3本。画像は書き下ろし分のサンプル(1/2)です ◎詳細 www.pixiv.net/novel/show.p... ◎仕様 文庫/96ページ/600円予定
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 28/08/2025
幸せ空間すぎる…………ありがとう世界
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 27/08/2025
今年も親戚から(実家に)届いた長野の桃を送ってもらった 毎年食べてるはずなのに、すごく尊いものを食べてる気がする(重症) そしてツルヤもたくさん入ってた 多分これいつもngn組が食べてるやつね
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 21/08/2025
【サンプル・部数アンケ】 9/21の戦国八陣虎之巻2にて発行予定の敢由本サンプルです ※成人向けです ※部数アンケート行ってます。ご協力お願いします。なお通販の予定はありませんが、11月のWEBオンリーで全文WEB公開予定です ◎サンプル www.pixiv.net/novel/show.p... ◎仕様 カバー付き文庫/94ページ/800円前後 ◎アンケート(8/24まで) forms.gle/ts2Tt8JFqinB...
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 19/08/2025
キターー結構席近いですが!!
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 13/08/2025
続きです
 *

 その日の午後は、他班の応援の呼び出しがかかったが、非番の敢助を呼び出すほどでもなく。現場からそのまま帰宅すると、ちょうどお腹も減る頃だった。疲れ切ってご飯を作る気にもなれず、コンビニに立ち寄って帰宅する。
 昼間、高明に気持ちを吐き出したものの。結局、自分の中でどうしたいのか、考える余裕もなかった。もやもやとしたまま一人暮らしのアパートへと帰宅すると、由衣の部屋の前に人影があった。
「……敢ちゃん?」
「おう、お疲れさん」
 座り込んで待っていたらしい敢助は、手提げ袋を持っている。
「どうして……」
「高明にお前が帰るって連絡もらった」
「えっ? なんで、諸伏警部が」
「……そんなことよりよ、ほら、半殺し作ったから一緒に食わねぇか」
 敢助の半殺し、と言われれば空腹の由衣のお腹がくぅ、と音を立てる。敢助はくつくつと笑ったけれど由衣の胸中は穏やかじゃない。そりゃあ、家に招いたことだってあるけれど。高明に聞いてまで、こんな時間に半殺しを持って来るなんて、おかしい。絶対に口実だ――そして敢助は、そんなことを隠そうともしない。由衣の顔が真っ赤に染まり、生ぬるい空気が二人の間に流れる。ああもう、どうしたらいいのだろう! 由衣は絞り出すようにして言った。
「た、ただの同僚は、家に来たりしないのよ……」
「あのなぁ……ただの同僚じゃないっつったのはそっちだろ?」
「そ、そうだけど! 敢ちゃん、本当にちゃんと意味わかってる?!」
 由衣が必死でそう言うと、敢助は由衣が手に持っていた鍵を奪い取って扉を開け、由衣を玄関に引き込んだ。あっという間の出来事に言葉も出せぬまま、由衣は敢助の胸の内に閉じ込められていた。
 ばくばくと、心臓が鼓動を刻んでどうにかなってしまいそうだ。
「わかってるから困ってんだろ……押すか、引くかどっちかにしろ」
「か、かんちゃ」
「頼むから、優しい男でいさせてくれよ」
 切羽詰まったような声で言われれば、由衣は意味のある言葉を紡げなくなる。だって、そんなこと言ったって。敢助は、いつだって優しくて……今だってそう。由衣を抱きしめる力はひどく甘やかで。でも、いつもとは違うその眼差しに胸を焼かれる。何を今まで恐れていたんだろう。こんなにも大好きな人の腕の中にいる。それだけで、幸せで、どうにかなってしまいそうだった。
「ねぇ、敢ちゃん。私――」
「待て」
 無意識のうちにこぼれそうになったそれを、敢助が手で唇を覆って静止した。射抜くような眼差しに、目を、逸らせない。

「……好きだ、由衣」

 ずっと欲しかった言葉は、音のない玄関にこだまして鼓膜を振るわせる。由衣は観念して、敢助の背中に手を回した。
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 13/08/2025
Xの企画に参加させていただいた敢由の小話 お題の台詞3つ入れたら、押せ押せなかんちゃんと戸惑うゆいさんと見守るこうめいさんの話になりました。(全6枚)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「知らないあなた」、「まきの」と記載されています。
以下は本文の内容です。


『ただの同僚……じゃないとしたら?』

 由衣は確かにそう尋ねた。ほんの少しだけでもいいから。ただの同僚じゃなくて、ただの幼馴染でもなくて。由衣にとってはそれ以上の、特別なひとなのだと伝わってほしい。あわよくば、同じように意識してほしい。そう思って、鈍感な敢助に向かって投げかけた言葉。

 でも、敢助がその「正しい意味」に気が付いたらどうなるのか――由衣は微塵も心の準備ができていなかったのだ。

 *

 長野県警を大いに揺るがせたあの野辺山での事件から一ヶ月ほどが経ち、ようやく後処理も落ち着いてきたこの頃。捜査一課は、束の間の落ち着きを見せていた。
 定時を過ぎて程なくして、報告書の作成を終えパソコンをシャットダウンさせる。由衣は真っ暗になった画面を見ながらため息を吐いた。
 由衣の頭を悩ませているもの、それは――
「上原、帰るぞ」
 由衣の仕事が落ち着いた頃を見計らって、敢助が声をかけてくる。いまだ足の怪我が治りきらない敢助は車の運転ができない。捜査中は由衣が代わりに運転することが多いが、あの事件が終わってから、こうして毎日由衣とともに帰っていた。
「……はい、大和警部」
 もう退勤のタイムカードを切った後だが、由衣はあえてそう呼び、頷いて立ち上がった。
 別に、一緒に帰宅すること自体はよくあることなのだ。ただ、野辺山での事件で由衣は頭部に怪我を負った。幸い数針縫うほどで済んだし、なんなら入院すらしなかったのだが。「心配だから」と言って、敢助は由衣の様子を逐一気にしては、毎日帰り際まで声をかけてくる。
 由衣だって捜査一課の刑事なのだ。今までも怪我をしたことなんてたくさんあるけれど、こんなに過保護にされた記憶はなかった。
 きっとそれは、あの試すような言葉に起因するのではないか、と由衣はほぼ確信している。あの場では、全く由衣の意図が伝わっていない様子に誤魔化してしまったが、流石の敢助にも思うところがあったのだ。あれから、由衣をみつめる眼差しが、声音が――側から見たら分からないような差異だろうが――明らかに違う。言葉よりも、雄弁に語りかけてくる眼差し。それが、由衣が期待するような感情に起因するものなのか――はっきりとわからなくて、でも、そうとしか考えられなくて。由衣は非常に戸惑っていた。

 あっという間に車は敢助の家へ辿り着く。敢助はシートベルトを外すと、ドアに手をかけた。そして。
「……ありがとな、毎回」
 そっと、遠慮がちに由衣の頭に手を置いた。
 真っ直ぐに見つめてくる眼差しにどきどきして、どうにかなりそうなのだ。いつも優しい敢助だが、絶対におかしい。もし恋人になったら、ずっとこうなのだろうか。そうして、これ以上の触れ合いをしたら、由衣はどうなってしまうだろう――
 動揺しながら、何か言わなければと由衣は慌てた。
「ううん、いいのよ……でも、もうすぐ敢ちゃん、運転できるようになるって言ってたわよね」
「ああ。医者にも次の診察では大丈夫だろって言われてる。早いとこ免許センターいかねぇとな」
「……そうしたら、送り迎えもいらなくなるわね」
 そう言ってから、はっとして敢助の顔を見る。
 ただの同僚以上の感情が、その声に滲んでしまっていた気がして――
 敢助が、由衣のことをじっと見つめる。それから、しばらく言い淀むようにして口を開いた。
「……なあ、由衣、」
「わ、私これから家に宅急便届くんだったわ! 早く行かなきゃ」
「あ。ああ……すまん」
 急に慌てるような由衣の言葉に驚いて、敢助は車のドアを開いた。
「おやすみ、由衣」
「お、おやすみなさい……」
 バタンとドアを閉じた敢助は、ひらひらと手を振って家に入っていった。
 ――ああ、何やってるんだろう!
 敢助は恋愛方面に関してだけは鈍くて不器用だ……と思っていたが。これじゃどちらが初心者だか。そりゃあ、そうだ。由衣に恋愛の経験なんてない。あの結婚は、恋愛の経験ではないし……ずっと、敢助だけを見てきた。埋まらない年の差をずっと追いかけて。妹として、部下としての振る舞いしか知らない。敢助に……大好きな人に、女として扱われた記憶なんて一度もないのだから。

 *

「――それで、敢助君がわかりやすすぎるので、由衣さんが避けている、と」
「さ、避けてる訳じゃないのよ……でも、いざ敢ちゃんが私の気持ちに気づいたのかもしれないって思ったら……ちょっと、怖気づいちゃっただけなの」

 あれから三日後。二人の微妙な空気感に気付いたのだろう。敢助が非番の日、昼休憩でイタリアンに連れ出され。高明が至極真剣な顔で「敢助君に嫌がらせでもされましたか」と尋ねるので、由衣は慌てて否定して、渋々と一部始終を話した。
「私があんなこと言っちゃったから……敢ちゃんも、応えようとしてくれてるのかな、とか。やっぱり、私なんかに敢ちゃんは勿体無い。こんなバツイチより、もっと素敵な女性が居るんじゃないかって……」
 自分で言っておいて、悲しくなってくる。敢助は、優しいから。由衣の気持ちを無碍にできないのではないか。本当に、由衣のことを恋愛対象にすることなんてあるのだろうか――そんな弱気なことばかりが頭の中を占めてしまう。 
 運ばれてきたパスタを咀嚼しつつ、高明は真顔で言う。
「……誰に聞いても、勿体無いのは由衣さんの方だと答えますよ」
「そ、そんなことないわよ」
「千里の馬は常に有れども伯楽は常には有らず……どれだけ素晴らしい女性が側にいようとも、何十年とその魅力に気がつかないようであれば意味がありません……そろそろ目を覚ましてもらわないと、僕も幼馴染として恥ずかしい限りですよ」
 高明は、冗談めかしてそう言うと、にこりと微笑んだ。これ以上ないくらい美丈夫な高明にそう言われれば、由衣の心が少しだけ緩む。
 一度はもう会えないと諦めた人。他の人に嫁いでも、やっぱり諦められなかった人。そんな相手に気持ちが通じようとしているのに、私は何を恐れているのだろう。
「本当に……こんなの、あの頃と比べれば、贅沢な悩みよね」
 由衣が自嘲するようにぽつりと言うと、高明はフ、と口元を緩めた。
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 11/08/2025
近所のケーキ屋さんのかき氷。もうかき氷全部ここでいい……遠くまで行かなくてもいい……ありがたい……
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 05/08/2025
wip(そしてサビ・性癖)
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 02/08/2025
好きなセリフ(書き下ろしの一部)
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 01/08/2025
燃えるような空に月が浮かんでた
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 30/07/2025
短いふるあず(あむあず)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「未来」、「まきの」と記載されています。
以下は本文の内容です。



 仄暗い寝室の中に、ひとすじの淡い光が差し込んでいた。

 触れるか触れないかの距離で、しずかな寝息を感じる。ゆっくりと瞼をひらくと、梓の世界に淡い金糸が飛び込んだ。瞼はまだ、閉じられている。
 梓の目が覚めて、彼がまだ眠っているのは、初めてのことだった。

 スキンケアもほとんどしてないのに、陶器みたいな肌は、すこしだけカサついている。少し硬い、美しい色の髪と、長いまつ毛。通った鼻筋と、薄い唇。じっと見つめては、嘘みたいだと思う。

 半年前まで、ポアロの同僚だった人。
 急に店を辞めて、音信不通になったと思えば。その半年後、見慣れないスーツでやってきて、別の名前を名乗った人。

 一緒に働いていた時は、近くて、でもどこか遠かった。なんでも完璧にできて、女性客を虜にして、探偵とかいう謎めいた肩書きで、プライベートな面はひとつも見せない。不思議な人。
 平凡な梓には、眩しすぎる人。

 その後に出会った、降谷零っていう名前の、これまた美しい人。警察官だと言って、まじめくさった顔つきで。それでも同じ声で「梓さん」と名前を呼んで。
 安室さんみたいに、キラキラしてるわけじゃいけど。スーツが似合ってまっすぐな彼は、やっぱりかっこよくて。潜入捜査だなんて、梓のことなんて目もくれないような、そんな世界の人なのに。
 
 なぜか梓は、そんな特別を詰め込んだみたいな人と、片手の指じゃ足りないくらい、同じ夜を過ごしている。
 平穏な、これといった取り柄もない、梓のことを。好きだと言って、綺麗だと言って、手を取って。そして、朝まで過ごして。
 梓は、いまだに「嘘みたいだ」と思っている。
 嘘でもいい。ただこうして、隣で穏やかに眠る、今だけは梓のものでしかない彼を見ることができるなら。もうすこしだけ、この微睡の中にいたい。
 
 淡い光が、彼の色素の薄い髪を照らして。空気中のちいさな粒子といっしょにきらきら光っているみたいだ。
 まもなく、夜が明けて、朝がやってくる。
 どうか、この夢みたいな時間が、もう少しだけ、続いて。もう少しだけ、ここにいて。それだけで、梓は満たされるから。

 閉ざされた、瞼が開く。ぱちぱちと瞬きをした、その瞳に梓がうつっている。

「――おはよう、梓さん」
「おはようございます……よく寝てましたね」

 梓が微笑むと、透き通った、ブルーグレーの瞳が細められて――

「ねぇ……結婚しよう」

 そして、呟くみたいに言ったから。
 今だけじゃなくて。彼との未来があるのかもしれない。なんて思って。
 信じられないような気分で、梓は頷いた。
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 27/07/2025
スコーン焼いてみた
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まきの @makinohanairo.bsky.social · 19/07/2025
7/20おおふりWEBオンリー参加します。既刊通販のみですがよろしくお願いします! #夏空の約束2025 イベントこちら→ pictsquare.net/awkeuspja0ds...
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