「哥哥、朝だよ。起きて」」
こんもりとした布団の山をそっと揺するが、返ってくるのはむずかる声だけ。やがてのそりと顔だけがはみ出て、寝ぼけ眼が三郎を見上げた。
「やだぁ……私は毛布と添い遂げる……」
この温もりを離したくない。ぼそりと呟くと、精悍顔つきが悲しげなそれに取って代わった。
「そっか……俺では哥哥を温めてあげられないんだね……」
その顔を見上げた瞬間、謝憐は慌てて跳ね起きた。
「そんなわけない! 私を熱くしてくれるのは三郎だけだよ!」
だが、思考回路はまだ起動したばかり。自分の発言をじわじわと理解すると共に、頬がのぼせてゆく。対する彼は、満面の笑みで謝憐を見下ろしていた。
暖 / 花怜