Sign in

奏🖋️

@knd-tgcf.bsky.social
160 followers 0 following 228 posts

20↑腐|tgcf花怜|文章書き|300字SSS投稿のみ ⚠️ネタバレ注意 別アカ▶︎@knd-tgcf-hl.bsky.social

PostsRepliesMedia
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 22/09/2026
「わあ! すっかり晴れたなあ!」 激しい嵐は夜明けとともにすっかり過ぎ去り、雲ひとつない青天に、眩しいほどの太陽が鎮座している。戸を開けた謝憐は目元に手を翳し、ゆるりと目をすがめた。 「洗濯日和だな。今のうちに、溜まった洗いものを片付けてしまおう。手伝ってくれるか、三ら……」 呼びかけて、ぴたりと止める。隣に立つ彼が、じっと見つめていたから。澄んだ黒い両目に謝憐だけを映して。 「あ……」 「ん? ……ああ、ごめんね。朝日を浴びるあなたがあんまり美しいから、見惚れちゃってた。もちろん手伝うよ」 「……うん」 謝憐はさっと頬先を染め、こくりと頷くことしかできなかった。 眩しいあなた / 花怜
030
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 18/03/2026
空になった袋から慎重にシールを剥がし、ぺたりと台紙に貼る。謝憐は鼻歌まじりで上機嫌だ。一枚貰うのに必要なのは、30点分。皿ならもっと良いものを、何なら一式揃えて買ってあげるのに。けれど年上の愛らしい恋人は、こつこつシールを集めることが楽しいのだと言う。 「二枚貰ってお揃いにしようね!」 嬉しそうな顔で、そんなことを言うものだから。 「……哥哥。そのクリームパン、もう一個ちょうだい」 「はい。……ふふ、三郎は食いしん坊だな!」 二枚で、60点分。朝食とおやつにせっせと食べても、まだまだ先は長い。もそもそしたパンをコーヒーで流し込みながら、三郎もまた上機嫌だった。 春のまつり / 花怜*現代AU
1101
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 02/02/2026
がらくた集めが捗り、謝憐はいつになく上機嫌だ。背負った籠も、両手に提げた袋も、ずしりと重い。同じく籠を背負って隣を歩く小花が、片手を差し出した。彼は荷をひとつ背負っているだけなのだ。 「哥哥、俺が持つよ。片方貸して」 提げた袋を指して言うが、謝憐は困ったように笑い、首を横に振った。 「付き合ってもらったんだ。これ以上は持たせられないよ」 「だーめ。左手は空けといてくれなきゃ」 返事を待たずにさっと片方が取り上げられ、代わりに温かくて大きな手が重なった。 「……ね?」 「三郎……」 繋がれた手は、まるで本来あるべき形だったかのように馴染む。互いの紅糸が、戯れにふわりと揺れた。 你的左手 / 花怜
0172
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 08/01/2026
「俺がやるから置いといて、って言ったのに」 軟膏をたっぷりと。血の滲んでいるあかぎれは避け、かさついた指先にまで丁寧に塗りこんでゆく。寒空の下、冷たい水で洗濯などすれば、こうなるのは必至だ。痛々しい様子に、花城はため息混じりに顔を顰める。 「……わざとだ、って言ったら……怒る?」 「え……?」 手を包んだまま、花城はこくりと首を傾げる。 「君、寒い時期は私にあんまり触れてくれないだろ? それがちょっと……寂しくて」 「っ!」 たまらず、強く抱きしめる。隙間なく、ぴたりとくっついて。 「……ごめん。遠慮なんかしなくてよかったんだね」 ふたりの間で、軟膏の花蜜がふわりと香った。 触れたい / 花怜
0110
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 12/11/2025
「哥哥、朝だよ。起きて」」 こんもりとした布団の山をそっと揺するが、返ってくるのはむずかる声だけ。やがてのそりと顔だけがはみ出て、寝ぼけ眼が三郎を見上げた。 「やだぁ……私は毛布と添い遂げる……」 この温もりを離したくない。ぼそりと呟くと、精悍顔つきが悲しげなそれに取って代わった。 「そっか……俺では哥哥を温めてあげられないんだね……」 その顔を見上げた瞬間、謝憐は慌てて跳ね起きた。 「そんなわけない! 私を熱くしてくれるのは三郎だけだよ!」 だが、思考回路はまだ起動したばかり。自分の発言をじわじわと理解すると共に、頬がのぼせてゆく。対する彼は、満面の笑みで謝憐を見下ろしていた。 暖 / 花怜
030
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 17/09/2025
「戻ったよ。……何してるの?」 小花が村人たちの手伝いから戻ってくると、菩薺観の軒先で、座った謝憐が子どもたちに囲まれていた。 「おかえり。甘栗を貰ったんだけど、この子たちは自分で剥けないからね」 硬い殻を器用に剥いて、せがむ子どもたちに順に手渡してゆく。微笑ましいはずの光景を、しかし複雑な気持ちで眺めていると、謝憐が手招きした。 「三郎。口開けて」 「……ん、」 素直に開けた口の中に放り込まれたのは、剥いたばかりの栗だった。ほっこりと柔らかく、ほんのり甘い。 「それが一番大きかったんだ。……美味しいだろ?」 悪戯っぽく耳元で囁き、謝憐は笑う。いとおしげに目を細めながら。 とっておき / 花怜
0122
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 17/09/2025
「哥哥、焼けたよ」 焼き上がった芋を火挟みで取り出した。皮には程よく焦げ目が付いて、香ばしい。 「ありがと……三郎?」 だが彼は、謝憐にそれを渡そうとはしない。こくりと首を傾げると、彼は手拭いで包んだ芋を半分に割り、少しだけ皮を剥いた。黄金色の身が現れ、ほわりと柔らかな湯気が上がり、甘い匂いが立ち込める。 「はい。熱いから気をつけて」 「えっと……」 「はい」 微笑みながら差し出されたら、従うしかない。それに彼の手の中にあると、何だかものすごく美味しそうに見えるのだ。 「……好」 恥ずかしいやら、むず痒いやら。思いきって大きく頬張った焼き芋は、ほっこり甘い、幸せの味がした。 幸福一半 / 花怜
081
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 13/09/2025
小さな丸い果実を、ぱくり。瑞々しくて、甘くて、思わず頬が緩む。――ああ、もうすぐ三郎が帰ってくるから、残しておかなきゃ。けれど、果実を摘む手は止められない。とうとう最後のひと粒を口に放り込み、そして、 「哥哥、ただいま!」 「んっ……!」 驚いて丸呑みしてしまった。咳き込む背を、大きな手がそっとさする。 「大丈夫? 何を食べ……葡萄?」 「……ごめん。貰ったんだけど、美味しくてつい……」 涙目で、心底申し訳なさそうに言うものだから。小花はくすりと笑い、濡れた唇をそっと塞いだ。 「んっ」 触れるだけですぐに離れ、小花は自分の唇をぺろりと舐めた。 「俺はこれで十分。……ん、甘いね」 初物 / 花怜
0132
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 12/07/2025
「哥哥、今日は涼しげな格好だね」 連日の暑さは、神の身にも堪えるのだ。長い髪を一つに纏め上げ、いつもの道袍の襟を少し緩め、袖を捲って紐で括っている。 「こう暑いとね……だらしない、なんて言わないでくれよ?」 「言わないよ。でも……」 火照った白い肌は、高い体温のせいで透き通るように美しく、まるで匂い立つようだ。首元をゆっくりと伝い落ちる雫から、一瞬も目が離せない。甘い香りに誘われるように唇を寄せ、そして―― 「んっ」 「あんまり無防備だと、蝶に蜜を吸われちゃうかも。気をつけて」 「……」 (そんな不埒な“蝶”は君だけだろ……) 暑さからではなく頬を染め、謝憐は襟をそっと直した。 花香 / 花怜
0181
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 11/07/2025
「わ、珍しい」 「たまにはね。……どうかな?」 淡い色合いの衣を纏い、長い髪を高くひとつに結った伴侶の姿に、謝憐は目を丸くした。真夏の折、鬼は暑さを感じないが、人の身には随分と堪えるのだ。いつもの紅衣と濡れ羽色の髪を下ろした格好では、見ているだけで暑苦しいだろう。見目だけでも涼やかにと、そう考えたのだが。 謝憐はしげしげと全身を眺めたあと、「素敵だ。よく似合ってる」と褒めた。そして―― 「んっ、」 首元におもむろに近づき、唇で触れる。ちくりと感じた、微かに甘い痛み。 「でも……あんまり可愛いことされると、心配になっちゃうな」 触れた箇所を指差し、にこりと微笑む。 「気をつけて」 虫除け/ 花怜
0101
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 06/07/2025
「三郎……」 伴侶に後ろから抱きつき、広い背にぴたりと頬をくっつける。身の内にこもっていた熱気が瞬く間に霧散してゆき、ほうと息をついた。 「どうしたの?」 「……ん」 ひややかに乾いた手が、上から重なる。花城は伴侶の手を捕らえたまま、顔だけを後ろに向けた。 「哥哥」 「ん? ……っ」 唇を塞がれ、口内に冷たい舌が這わされる。熱い吐息ごと食むような深い口づけ。唇までひんやりとする頃、ようやく解放された謝憐は、耳まで真っ赤に染めてくたりともたれ掛かった。 「どう? これで涼しくなった?」 「……うん」 口実がなければねだれない、恥ずかしがりな伴侶に、花城は艶やかに微笑みかけた。 おねだり / 花怜
060
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 24/06/2025
――からん。 小さく軽やかな音を聴きつけて、花城は伴侶の背に歩み寄った。 「哥哥。何食べてるの?」 「飴、君もひとつどうだ?」 包みの中には、琥珀色の小さな塊が入っている。彼の瞳のようだと思いながら、飴を差し出す手をそっと包んだ。 「うん。……じゃあ、貰おうかな」 言うがいなや、ほんのり湿った朱唇を塞ぐ。塊を舌で転がして、甘い唾液を吸って飲み下し、溶けかかったそれを器用に舌で掬い取ると、自分の口内に納めてしまった。 「……ぁ、」 唇を離す。ぽかりと開いた唇に、新しい飴をひとつ、そっと差し入れる。 「……ん。甘いね」 艶やかに濡れた唇を引き上げ、貰い受けた飴を、ころんと鳴らした。 糖果 / 花怜
0192
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 24/05/2025
「哥哥,我回来了」 外の気配を纏ったまま、頬に口づけをひとつ。 「……晚安,哥哥」 遠のく意識の中、額に唇が触れたのを感じて。 「哥哥,走吧」 繋いだ指先に吸い付かれ、離れた唇が笑みを刷く。 頬に、額に、指先に。 触れる唇は溢れんばかりの愛に満ちているのに、彼はなぜか核心に触れようとはしない。 (……もしや、試されてる?) 乾いて、寂しいままの唇をなぞり、悩ましげなため息をつく。 「哥哥,晚安」 「三郎」 頬を引き寄せ、唇を塞ぐ。深く触れ合わせ、舌を絡め、強く吸い上げて。 「……私にできないとでも思ってた?」 濡れた唇をぺろりと舐め、ぽかんとする伴侶に艶やかに笑いかけた。 亲亲我吧 / 花怜
0141
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 06/05/2025
「……熱っ!」 熱々の肉まんに齧り付き、謝憐はびく、と肩を跳ねさせた。 「見せて」 赤くなった舌先を見るなり、小花はすかさず口づける。そっと舌を絡めて具合を確かめながら、癒すように舐める。重ねた唇はすぐに離れていった。 「……ありがとう。もう大丈夫」 「気をつけて」 ふたりは近い距離で囁き、微笑み合う。そのやり取りの傍で、南風は顔を背け、扶揺は白目を剥いた。 「……あのねえ、すぐにいちゃつかないで。見せつけられるこっちの身にもなってくださいよ!」 「なら見るな。失せろ」 「三郎。……もういいから」 困り笑いで嗜める。肉まんを割って彼に手渡し、少し冷めた片割れに大きく齧り付いた。 治癒 / 花怜
091
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 23/04/2025
「だめ。触らないで」 伴侶の胸元に手を伸ばすと、持ち主はさっと身を引いた。 「あげたのは俺なのに?」 「そうだけど、今は私のものだ」 私のもの――その甘美な響きに胸が打ち震えると同時に、こみ上げたのは幼い悪戯心だった。 「だめって言われたら、逆に触りたくなるな。三郎は悪い子だし?」 細い鎖に指先を引っ掛け、持ち上げる。心許なく揺れる指輪を、謝憐は慌てて取り返した。 「悪戯するなら……こうだ!」 言うが否や、指輪を口の中へ入れてしまった。 「これでもう触れな……三郎?」 顔を覆い、俯いてしまった伴侶を、謝憐は不思議そうに覗き込んだ。髪の合間に見える、ぎらついた瞳に気付くことなく。 戒指 / 花怜
0100
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 14/04/2025
目覚めると、身体が全く動かせなかった。原因は言うまでもない。背後から腹に回された長い腕を、とんと叩く。 「……三郎、これじゃ動けない」 しかし腕は緩むどころか、ますます強くなるばかり。思わず苦笑が漏れる。 「……もう少しだけ」 「君の顔が見たいんだけど」 その途端に、頑なな腕はあっけなく緩み、謝憐はようやく身体の向きを変えた。乱れた黒髪をさらりと撫で、額に、頬に、鼻先に、緩く閉じた右瞼の上に軽く口づけ、微笑む。 「早,三郎」 不意を打たれた花城はぱちりと左目を瞬かせ、ゆるりと細めた。 「早,……哥哥」 溢れんばかりの笑みを湛えた、艶やかな唇が向かう先はもちろん、伴侶の唇だ。 早上的吻 / 花怜
080
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 27/03/2025
(……珍しい) 牀榻に横たわり、目を伏せる伴侶を見下ろして、謝憐はほうとため息をついた。彼は呼吸をせず、休む時もぴくりともしない。今も、本当に眠っているのか定かではないが、こちらに視線を向けていない彼は、美しさよりも凍りつくような冷たさが先立つ。けれど、その危うい美しさに惹かれずにはいられない。息を殺し、そっと近づいて――伸びてきた腕の中に、あっという間に抱き込まれてしまった。 「……三郎」 びくともしない腕の中で、謝憐はむすりと唇を尖らせる。 「襲ってくれると思ったのに。……待ちくたびれちゃった」 そう楽しげに笑う伴侶の顔に、先ほどまでの冷たさは微塵も残ってはいなかった。 氷中花 / 花怜
080
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 17/03/2025
小花が観に戻ると、謝憐が茣蓙に横になっていた。入口に向けた背が微かに上下している。春めいてきたとはいえ、室内は肌寒い。起こさないよう気配を消し、上掛けを取って振り向き――ぴたりと動きを止める。 ぞっとする程の殺気。眠っていたはずの謝憐が小花の真後ろで、首筋に刃を当てていた。 「……哥哥」 呼びかけると、謝憐ははっと我に返った。 「ごめん、つい癖で! ……ふあ、あと一時辰だけ、君も一緒に……」 欠伸をして剣を放る。屈んだまま固まる小花を抱き込んで、再び茣蓙に寝転がった。すぐに寝息を立て始めるが、小花は身じろぎすらできないまま。 だが今はこの、栄誉ある抱き枕の役目を全うしなければ。 気配 / 花怜
0133
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 15/03/2025
三郎バージョンもあります🌸🤧
010
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 15/03/2025
「くしゅん!」 「大丈夫?」 「……あんまり」 すかさずティッシュを差し出す。ありがとう、の声は鼻に掛かって、気怠げだ。風邪さえ滅多に引かない謝憐も、花粉の猛威には勝てないらしく、春は毎年こうだ。恋人を苦しめる忌々しい木を、何度燃やして根絶やしにしたいと歯噛みしたことか。だが――赤く腫れて潤んだ目と、舌足らずな鼻声、ぼんやりした受け答えは夜を想起させ、妙に色っぽくて…… ぐい、と袖を引かれ、我に返る。 「三郎、早く家に帰ろう? ……もう我慢できない……」 涙目で訴えられ、こくりと喉が鳴った。 ……前言撤回。春だけならば、猛威を振るうことを許してやろう。仕方なく、だけど。 杉 / 花怜*現代AU
071
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 08/03/2025
身支度の仕上げにひと吹き。背後から顔を覗かせた謝憐が、恋人の手にある瓶をひょいと取り上げた。 「君の匂いの正体はこれかい? ……華やかで、色っぽくて、ちょっとピリッとする。うん、いい香りだ」 首元に顔を寄せ、香りを吸い込むようにすんと鼻を鳴らす。花城はくすりと笑って身を捩った。 「興味あるなら付けてみる? ……でも、哥哥の方が体温高いから、同じように付けたら香りが強すぎるかも」 謝憐を包み込むように、ぎゅっと抱きしめる。 「ん、これくらいで丁度いい。……あまり三郎を誘惑しすぎないで?」 花城は艶やかに微笑む。抱き合うふたりの間から、妖艶な香りがふわりと立ちのぼった。 夜来香 / 花怜*現代AU
1132
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 05/03/2025
ベッドが僅かに沈む感覚とコーヒーの香りで、謝憐は目を覚ました。霞む視界に入るのは、スウェットのパンツだけを穿いた、広くて白い背中だ。そこには、赤い掻き傷と痣が一面に広がっている。考えるまでもない。それは昨夜謝憐が付けたものだ。 「……早,哥哥」 湯気の上がるマグを片手に、恋人の目覚めに気づいた三郎が振り向いた。 「ごめん、私また君に……」 「いいよ。そうさせたのは俺だし。それに……」 起き上がった謝憐のぶかぶかのスウェットの襟口を少し引き下げ、艶やかに笑う。 「俺こそごめん。我慢できなかった。今日はハイネック着た方がいいね」 首元をちょんと指先で撫でられ、謝憐は頬を赤らめてそこを押さえた。 ↓
150
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 23/02/2025
「喵」 かすかな鳴き声を聞きつけて裏手に回ると、そこにいたのは一匹の黒猫だった。大きくてしなやかな身体に、艶のある毛並み。小さな顔に収まる両眼は、右が紅で、左が黒の、稀有な异色瞳だ。長い尾を揺らめかせ、瞬きもせずじっと謝憐を見つめている。まるで誘っているかのように。 「……もしかして、三郎?」 驚かせないようそっと抱き上げると、肯定のつもりかざらついた舌先で頬を舐める。擽ったさに笑いながら、喵と鳴く猫に、同じように返す。 「ふふ、可愛いね。喵、――」 「……喵」 背後から聞こえてきた、艶やかで甘い、少年の声。 謝憐はぎこちない動きで振り向き、赤らんだ頬を恥ずかしげに掻いた。 一模一样 / 花怜
1152
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 10/02/2025
広い背に顔を埋め、深呼吸をひとつ。胸を満たすのは深く、甘く、冷たい香りだ。 「君、いつもいい匂いだけど、君自身の香り?」 「いや、薫き染めた香がそのまま香ってる」 体臭はなく、体温で香りが立ち昇ることもないのだ。彼がとうに死しているという事実をふいに突き付けられ、謝憐はぐっと押し黙る。 「でも俺は、哥哥の香りの方が好きだな」 「……そうか?」 「あなた自身の匂いと花の香りが混じって、甘くて涼やかな香りがするんだ。ねえ、三郎にも移してよ」 隙間なく抱きつき、首筋に頬を擦り付ける。 「あっ! ……んもう」 苦笑し、ふっと力を抜く。脈動に合わせて、立ち昇る香りはいっそう濃くなった。 做标记 / 花怜
1152
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 02/02/2025
「違うよ。ここはね……」 身を乗り出し、花城の手を取って導く。美しい顔が真横に迫り、真剣に半紙を見つめている。耳に心地よい声を聞きながら、花城はそっと朱唇に触れた。 「っ、三郎!」 「ふふっ」 頬を赤らめ口元を覆う謝憐に対し、花城は悪びれもしない。そこに唇があったのだから、触れて当然だろう、と言わんばかりだ。謝憐はぐ、と言葉を飲み込み、黙って半紙を追加した。 「……ごめんなさい。もうしません」 ……怒らせてしまったか。しおらしく答えて筆を持つと、温かな手がそっと重なった。 「違う。……ちゃんと口づけしたいから、早く終わらせて」 花城は目を見開き、しかし真剣に筆を動かしてゆく。 手習い / 花怜
0203
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 31/01/2025
繋いだ手は柔らかく、謝憐の手にすっぽり収まるほどに小さい。だが、合わせてゆっくり歩くこと、気遣うように時折様子を伺うこと。当然のように謝憐がする子ども扱いが、どうやら不服らしい。……大きい姿の時こそ「年下の特権」で甘えたがるくせに、本当に子どもの姿の時は寧ろそれが嫌だなんて、子ども心は複雑だ。ぷくりとむくれる白い頬をつんとつつき、苦笑する。 「私だって男だし、神だ。君がそうしたいように、私も君を守りたいんだ。……なあ、愛しい三郎。私に守らせて?」 「……その言い方はずるいよ」 小花花は唇を尖らせ、めいっぱい背伸びをして短い腕を伸ばした。 「哥哥、抱っこ」 「うん。……おいで」 想保护 / 花怜
0273
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 25/01/2025
わずかな重みを感じて、謝憐は目を覚ました。見下ろす先には艶やかな黒髪。隣で眠っていたはずの伴侶が、今は胸元にぴたりと頬を寄せている。まるで、縋り付くような体勢だ。謝憐は黒髪を梳き、冷え切った大きな手を握り込んだ。 「……よしよし、大丈夫だよ」 「哥哥……?」 幼子をあやす手つきに、花城は困惑の表情を浮かべて伴侶を見上げる。 「君、不安なときはそうやってくっ付いてくるだろ? ……怖い夢でも見た?」 顔を布越しの胸に埋め、吐息を震わせる。くすり、と頭上で笑う声がした。 ――没事、没事。穏やかな声と、鼓動。頭を撫でる優しい手のぬくもりが、悍ましい悪夢の記憶をたちまちかき消してゆく。 大丈夫 / 花怜
0232
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 22/01/2025
美しい細工物に、蜜がけの菓子。事あるごとに花城は、伴侶へ贈り物をする。そしてそのどれもが、負担にならない心ばかりの品だ。 「ありがとう。でも私が貰ってばかりだな」 いつもの困り笑い。だが、ちゃんと喜んでくれていることを、花城は知っている。 「俺が贈りたいだけだから。なら……お返しをねだってもいい?」 冷たい指先で唇に触れると、ぽっと頬が染まる。 額か、それとも頬か。 だが予想に反して、温かい唇は花城のそれに重なった。 「んっ!」 深い口づけに思わず目を丸くする。たっぷり時間をかけたあと、ぽかんとする伴侶に、謝憐は艶やかに微笑んでみせた。 「ん、足りなかった?」 「……十分だよ」 返礼 / 花怜
0132
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 06/01/2025
同時にお神籤を引くと、謝憐は大凶、花城は大吉だった。何百回と繰り返してきた、新年恒例の光景である。 「……私はいつになったら運気が上がるのかな」 ため息混じりに肩を落とす謝憐の手からさっと取り上げ、花城はくすりと笑う。 「上昇しかない、って考えれば大凶も悪くないけどね。気になるなら、こうやって……」 “凶”を塗り潰し、隣に“吉”を書き足してみせる。謝憐は目を瞬かせ、柔らかく微笑んだ。 「……そうだね。君と一緒なら、私はいつだって大吉だ」 蒼生を救う神の幸いを願うのは、傍らに寄り添う鬼だ。昔も今もこの先も、それは変わらない。 ――そして、一向に上達の兆しを見せない、鬼の悪筆も。 運試し / 花怜
0181
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 24/12/2024
「三郎、起きてる?」 寝室のドアを少し開けると、暗闇に一筋の光が差す。返ってきたのは苦しげな咳だった。明かりを付け、上体を起こす三郎を手伝うと、彼は申し訳なさそうに眉を下げた。 「……ごめん、こんな日に寝込むなんて」 「謝らないで。君があんまりにも頑張り屋さんだから、たまには休みなさいってことなんだよ」 「三郎はいい子?」 「勿論」 頭を撫でると、熱で潤む目がうっとりと細まった。 「少しでも食べて、早く治そう? そうしたら、サンタがプレゼントをくれるかもよ?」 具の溶けた粥と、プリンの上に乗ったチョコプレート。達筆の“圣诞节快乐”の文字が、泣きたくなるほど温かかった。 静夜*現代AU / 花怜
1153
Reposted by 奏🖋️
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 11/12/2024
「ねえ、もし三郎が猫だったら……可愛がってくれる?」 謝憐は大きな瞳をぱちりと瞬かせ、困ったときの笑みを伴侶に向けた。 窮鼠、猫を噛む おっきな黒猫🐈‍⬛と殿下の、夜のにゃんにゃん 300字SSSから選んでいただいたこちらのお題を、長尺で書かせていただきました。 ありがとうございました🙌 bsky.app/profile/knd-... #天官赐福 #天官賜福 #TGCF #花怜
1274
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 11/12/2024
「ねえ、もし三郎が猫だったら……可愛がってくれる?」 謝憐は大きな瞳をぱちりと瞬かせ、困ったときの笑みを伴侶に向けた。 窮鼠、猫を噛む おっきな黒猫🐈‍⬛と殿下の、夜のにゃんにゃん 300字SSSから選んでいただいたこちらのお題を、長尺で書かせていただきました。 ありがとうございました🙌 bsky.app/profile/knd-... #天官赐福 #天官賜福 #TGCF #花怜
1274
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 29/11/2024
乱れた髪を直そうと、青白い指先がふと謝憐の首筋に触れた。 「ひゃっ」 「っ、ごめん……!」 温かい肌に触れた氷のような冷たさに、思わず首を竦める。しまった、と思ったけれど、花城はしゅんとしてすぐに手を引いてしまった。 「……ごめんなさい。冷たかったよね」 「違うよ、待って!」 その手を追いかけ、包みこむ。 「そんなことしても三郎の手は温かくならないよ」 元より熱を宿さない身なのだから。だが謝憐は首を横に振り、熱い息を吐きかける。 「でも、ほら。こうすると、あったかくならないか?」 肌は冷たいまま。しかし胸の奥には確かに、ぬくもりが宿った気がした。 「……本当だね。あったかい」 好温 / 花怜
1191
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 21/11/2024
(寒……) 連日の暖かさが一転して、今日は一段と冷え込む。薄い道袍の前を合わせ、夕闇の道を急ぐ。寒いし、腹は減っているし、なんだか惨めな気分だ。 (……あ) 沈んだ気持ちで見上げた菩薺観から、僅かに明かりが漏れていた。まさかと思い、つい駆け足になる。 「哥哥。おかえりなさい、寒かったでしょう。すぐ食事にしよう」 室内は暖かく、食欲をそそる匂いと、柔らかな灯りがひどく沁みる。そして、出迎えてくれる優しい笑顔も。 「……三郎」 「え……泣くほど寒かったの?」 支えられて長椅子の端に座ると、彼は当たり前のように隣に腰かける。目尻を濡らした雫は、零れ落ちる前に温かい手にそっと拭われた。 暖灯 / 花怜
1283
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 18/11/2024
「あっ」 座った拍子に転がり落ちた饅頭を拾い、適当に払って口に運ぶ。元従者ならその行いを咎めるだろうが、空腹が満たされるなら何でもよかった。……けれど。 (……冷たい。硬い……) ずっと、何を口にしても気にならなかったのに、今はひどく味気ない。 『哥哥、それはもういいからこっちを食べて』 ふかふかで温かい饅頭を差し出す手は、饅頭よりもなお白く、大きくて。 「三郎! ……あ、」 いつの間にか、ひとり分開けて座る癖が染み付いてしまった。だが今は、その隙間が寒くて仕方がない。 (寂しいよ、三郎……) 口の中のものを、無理やり飲み込む。拾い上げた饅頭の代わりに、ぽつりと雫が零れ落ちた。 寂寥 / 花怜
0130
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 13/11/2024
「ん、いい匂いだね」 厨に立つ謝憐の手元を覗き込み、小花は背後からそっと腕を回した。 「君と出会って百年経った。ささやかだけどお祝いしよう」 “三郎”として楓林で再会した日のことは、鮮明に覚えている。あれから目まぐるしく日々は過ぎて、もう百年だ。 「……八度、百年を重ねてきたけど、君と過ごしたこの百年は別格だった。今が一番幸せだよ」 「僕もだよ。……それで、百年好合羹?」 不思議な色の汁物を、目を細めて見つめる。 「これ好きだろう?」 「うん。でも……あなたのことが一番好き」 煮込まれた具材よりもなお蕩けた微笑みを浮かべ、甘える伴侶の頭をくしゃりと撫でた。 「ふふ。……知ってる」 百 / 花怜
2264
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 10/11/2024
「東瀛では、長い年月を経た道具には魂が宿ると言われてるらしいんだ」 謝憐の目線の先には、楽しげにじゃれあっているような若邪と厄命、傍で微動だにしない芳心の姿があった。喩えるなら、幼い孫二人を見守る爺といったところだろうか。 「なら、俺たちは親? まるで家族だ」 「そうだな。我が子みたいなものだから」 目を細める横顔は、父のようでもあり、母のようでもある。……けれど。 「でも哥哥、家族みたいだからって、あいつらを寝室には入れないでね? あなたは親である前に……三郎の夫なんだから」 耳元で低く囁かれ、謝憐は頬を赤らめて俯いた。不思議そうに首を傾げる様相の若邪には、気付くことなく。 九十九 / 花怜
1100
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 02/11/2024
「哥哥、何してるの?」 背後にぴたりとくっつき、腹の上に手を重ねる。想い合う者同士の軽い戯れ。だが、謝憐はびくりと肩を跳ねさせ、触れられた腹を大きく波打たせた。 「あっ!」 「……哥哥?」 口を閉ざしてももう遅い。花城は途端に眉をひそめ、後ろから顔を覗き込んだ。 「痛むの?」 「ち……違う、その……」 しかし、花城は表情を曇らせるばかり。謝憐は溜息をつき、伴侶の手を撫でた。 「君、最中によくここを撫でるだろう? だからかな、何気なく触れるだけで思い出しちゃって、その……」 見下ろす白い耳が、鮮やかに色づいてゆく。花城は抱く手にますます力を込めた。 「あっ……だから駄目だって!」 疼き / 花怜
1193
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 29/10/2024
すり、と広い背に頬を寄せ、腰に手を回す。背後にぴたりとくっ付いた伴侶を、花城は書物から顔を上げて肩越しに見遣った。 「どうしたの?」 「ん、くっつきたくなっただけ。読んでていいよ」 再び頁を捲るけれど、謝憐は上体にゆっくりと手のひらを這わせ、背に流れる黒髪を弄んで、首元に顔を寄せてすんすんと鼻を鳴らしている。この状態で「読んでていい」と言われても、到底無理な話である。花城は書を寝台の隅に追いやり、悪戯な手を捕らえて、引っぱった。 「あ」 倒れてきた身体を抱きとめ、口づけをひとつ。 「っ、……なに?」 「ん、したくなっただけ」 なら仕方ないか。謝憐は困ったようにくすりと微笑んだ。 恣情 / 花怜
0212
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 25/10/2024
ふかふかの肉まんに、思いきり齧りつく。ぎっしり詰まった肉餡から熱い汁がじゅわりと溢れ、はふはふと湯気を逃しながら咀嚼して、飲み込んだ。 「おいしい?」 隣から覗き込まれ、謝憐は脂で光る唇を綻ばせた。 「うん。食べるか?」 「いいの?」 美味しいものは、共有すれば美味しさは倍になる。柔らかな白い塊を半分に割って、差し出した。 「ありがとう。でも……俺はこっちがいいな」 「あ!」 白い手がひと口齧った方をひょいと取り上げ、それは瞬く間に薄い唇の中に消えてしまった。 「ん、おいし」 艶やかに光る唇が、楽しげに微笑む。謝憐はさっと頬先を染め、その様相から目を逸らした。 「……顽皮」 一人一半 / 花怜
0142
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 23/10/2024
紅の衣を着て、紅の傘を携え、一房編んだ髪の先には赤珊瑚の珠をあしらい、右手には紅い糸を結ぶ。 血雨探花の“紅”は、覚悟と、決意と、執着の表れだ。この身は既に死して、鬼に堕ちた。けれど、愛するひとの傍らにいたくて、身を挺してでもすべての災厄から守りたくて、とっくに体内を巡らなくなった血の色を全身に纏い、あさましくも現世にしがみ付くのだ。 「なあ三郎。それ……私にやらせて?」 「喜んで」 鮮やかな紅と小筆を手渡し、座って僅かに上を向く。 最後の紅は、愛するひとの手で。 ひんやりとした白い肌に、温かな手が触れ、ゆっくりと筆が這う。目の覚めるような紅い目尻が、嬉しそうに細められた。 紅の理由 / 花怜
1272
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 22/10/2024
ふと会話が途切れたとか、目が合ったとか、指先が触れ合ったとか。些細なきっかけで、その衝動は生まれる。 「……」 少し目を伏せ、顎を上げて。すぐにやってくるはずの冷たいぬくもりを待ちわびる。わずかな衣擦れと、いっそう濃くなる花の香り。ひやりとした呼気を感じて、きゅっと目を閉じる。 「……で、その後どうなったの?」 「え?」 ぱちりと目を開く。間近にあったはずの薄い唇は、笑みを湛えていた。――それはそれは、意地の悪い。 「三郎……」 空振りした唇を尖らせて睨むけれど、意地悪な鬼はくすくすと笑うばかり。 「ごめん。愛らしくて、つい」 それからようやく、愛しい人の望む温度を捧げるのだ。 合図 / 花怜
0182
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 16/10/2024
【お知らせ】 X(knd_tgcf)と同じ投稿をする🦋アカウントを別で作りました。 @knd-tgcf-hl ひとまず賑やかしに、7月の殿下誕辺りから最新までの、Xに投稿した小話を載せています。 ・この300字SSSアカは今まで通りの運用です(小話投稿+リプライ) ・別アカ作成に伴って、そちらのアカウントから改めてフォローさせていただきました。フォロバ等どうぞお気遣いなく。 あくまでXがメインで、完全移行などの予定はありませんが、🦋は人が少ないぶん、気楽な投稿もしようかなと思っています。Xではだいぶ猫かぶってるので……
030
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 11/10/2024
▶︎1〜30本目の詰め合わせ www.pixiv.net/novel/show.p... ▶︎31〜60本目の詰め合わせ www.pixiv.net/novel/show.p... ▶︎61作目は「一朵花」からですが、支部にはまとめてないので、私のTLを辿って頂ければと…… 現時点で、全94本あります 募集は14日(月)までとします ぜひお題をください🙏
120
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 06/10/2024
今までに書いてきた300字SSSを、加筆修正して長尺で書きたいので、ロングver.で読みたい!とか、この話が好き!というものがありましたら、ぜひリプライでお知らせください🙏 ちなみに、今まで300字→長尺にリライトしたのは、「一朵花」という小話です(✖️にあります)
120
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 05/10/2024
「……」 伴侶が僅かに身体を震わせたのを、花城は見逃さなかった。紅衣の上に羽織っている外袍を脱ぎ、謝憐の肩にそっと掛ける。 「着てて」 彼の纏う、花のような深い香りを微かに感じる。脱いだばかりの外袍にぬくもりは残っていなくとも、上等な生地で仕立てたそれは温かい。……だけど。 「……三郎」 羽織った外袍をかき抱き、斜め後ろに立つ伴侶をじっと見上げる。 「ん、まだ寒い?」 何も言わず、謝憐は冷えた指先で紅衣の袖をつまむ。くいと引っ張られて、花城はようやく察して苦笑した。 「ごめんね」 背後から外袍ごと、包み込むように抱きしめる。望むものを得られた謝憐は、鼻先を赤らめ、くふんと笑った。 抱抱/ 花怜
1162
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 28/09/2024
「くしゅん!」 ぐす、と鼻を啜った謝憐の背を、花城はそっとさすった。まだ初秋とはいえ、陽が落ちれば気温は一気に下がる。屋外であれば尚更だ。 「ごめんなさい、気が利かなくて」 体温のない鬼の身は、どうにも気温の変化に疎いらしい。羽織るものを持っていないのだと、申し訳なさそう顔をする花城の前に回ると、背後から彼の両腕を持ってきて胸の前で交差させた。花城が後ろから謝憐を抱き込む格好だ。 「……三郎は風避け?」 「違うよ。触れ合ってるとあったかいんだ」 元より冷たい手の甲に謝憐の冷えた手が重ねられ、優しい温かさがじわりと広がってゆく。花城はぴたりと、隙間など無くなるほどに強く抱きしめた。 熱 / 花怜
0142
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 22/09/2024
「三郎、お待たせ」 何度も作り直し、ようやく完成した手製の月餅。大きなそれを半分に割って、謝憐は伴侶に手渡した。 「谢谢、哥哥」 「家族円満の象徴だ。中秋節には欠かせないだろ?」 家族。遠い昔に失ったはずのもの。けれど八百年の時を経て、今ふたりは再び得ることができたのだ。片割れを頬張る伴侶の横顔を、花城は目を細めて見つめる。口元に妖艶な笑みを浮かべて。 「そうだね。でも俺たちの場合は“夫婦円満”かな。ねえ、秋は夜が長いんだ。この後……もっと仲を深めたいんだけど……いい?」 「っもう、三郎!」 頬を赤くして肩を叩き、花城はからりと笑う。仲睦まじい家族の姿を、丸い月だけが見ていた。 円満 / 花怜
1222
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 17/09/2024
スケ(べ)フィから生まれた小話の一場面を描いてくださいました♡ ちょっとだけ監修もさせて頂きましたので、こちらは公認絵です(?) もし小話の方にも興味を持っていただけたら、✖️を見ていただけると嬉しいです!
130
奏🖋️ @knd-tgcf.bsky.social · 07/09/2024
花怜300字SSSのメイキングみたいなものを✖️に上げたので、こちらでも共有します こんなツールを使って、こういうふうに書いていて、所要時間はこれくらい、などなど…… x.com/knd_tgcf/sta...
x.com
x.com
030