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執行浩史

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九州大学大学院博士課程在学中。社会人学生。

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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 05/09/2026
セタラ(2021)「ミニ・パブリックスの三つの役割」 ミニ・パブリックスが選挙代表制を「補完」しうるのは、両代表者間で包摂的な相互正当化のプロセスが促進される場合に限られるという立場から、研究が進んでいる事例をもとに、ミニ・パブリックスの取りうる役割を、①助言的、②協働的、③審査的に分類し、それぞれの強みと弱みを分析する論文。 ①は助言の反映と熟議の強化が期待されるが、チェリーピッキング(美味しい所取り)の影響を受けやすい、②は両代表者間の包摂的熟議を促進しうるが、選挙代表による支配のリスクを伴う、③は規範的観点から特に有望だが、明確に定義された制度的枠組みが必要、という。
frontiersin.org
Frontiers | Advisory, Collaborative and Scrutinizing Roles of Deliberative Mini-Publics
The normative point of departure in this article is mini-publics that mini-publics can ‘complement’ representative democracy only if they enhance inclusive p...
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 31/08/2026
WEIRD(Western, Educated, Industrialized, Rich, Democratic)言語を中心的対象としてきた言語学の世界において、非WEIRD言語の研究蓄積が進み、それまでの理論(世界の言語には普遍的な特徴が存在する等)が、次々と再考を迫られ、言語の多様性が明らかになりつつある最前線の姿がドキュメンタリーのように面白い。 ひとつの分野が膨大な研究(特にフィールドワークによるデータ収集)の積み重ねによって成立・進化していること、研究デザインの重要性、統計・心理学等を駆使した学際・実証的な研究が増えてきていること等々、専門外であっても多くの示唆を得られる一冊。
msz.co.jp
無数の言語、無数の世界 | 言葉に織り込まれた世界像を読み解く | みすず書房
C・エヴェレット著、大久保彩訳。空を指して時刻を語り、右や左がなく、匂いを抽象的に語る。世界の見方がどれほど異なりうるかが世界中の言語を通して見えてくる書。
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/08/2026
井上弘貴(2025)「アメリカの新右翼─トランプを生み出した思想家たち─」 オルトライト、テック右派、ナトコン、ポストリベラル右派、リフォーミコン等々の「第三のニューライト」を中心に紹介する一冊。 彼らの多くは、体系的に確立した「思想」のレベルには達していないにしても、反リベラル、さらには反古典的自由主義という一貫したビジョンと論理があり、これらを端から軽く扱えば、現在のアメリカ発の知的な動きを見誤ることにもなりかねない、という。 福音派だけではない巨大なMAGA派が形成された背後に、これだけのバリエーションの潮流があったとは、驚きと同時に納得できる面も。
shinchosha.co.jp
『アメリカの新右翼─トランプを生み出した思想家たち─』 井上弘貴 | 新潮社
トランプ政権による国家改造の成否に関わらず、リベラル・デモクラシーへの不信感は決定的なものとなっている。左右両極の間で起きた思想戦争の内幕を追いながら、テック右派から宗教保守、ネオナチなどの思想家たちが、なぜリベラルな価
020
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 09/07/2026
フライス他(2018)「熟議システム計測のための理論的枠組み」 「熟議システム」を定量的に分析する際に考慮すべき4つのパラメータを提唱する論文。 ①分析者が依る理論的立場(リベラリズム/熟議民主主義)と、②熟議を手続き的(内在的価値)と認識的(道具的価値)のいずれの観点から捉えるかによって概念定義や評価基準は変わり、③熟議の場のレベル(公的度合い)によってもデータや測定方法が変わる。また、④集計ルールには、個々の熟議間の相互作用(伝達と補完性)を上手く理論化して反映させるべき、とする。 ただし、一律的な方法はまだ存在せず、手法の選択は、研究の目的と依拠する理論的立場に依存するという。
doi.org
Four Parameters for Measuring Democratic Deliberation: Theoretical and Methodological Challenges and How to Respond | Article | Politics and Governance
Dannica Fleuß, Karoline Helbig, Gary S. Schaal
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 30/06/2026
クラート他(2017)「熟議民主主義研究における12の主要知見」 熟議民主主義の理論や実践に対する様々な批判を整理し、それらを反証する複数の研究を基に、12の知見としてまとめた論文。 熟議民主主義は、(1)現実的で、(2)民主主義にとって不可欠であり、(3)単なる議論を超え、(4)多彩なコミュニケーションの形を含む、(5)すべての人のためのもので、(6)権力の捉え方も単純ではなく、(7)多元性を重んじ、(8)参加と両立するが、(9)意見変容には時間がかかる。しかし、(10)集団的極化への解決策となりえ、(11)分断された社会でも機能し、(12)多様な研究方法を生産的に活用している、と論じる。
direct.mit.edu
Twelve Key Findings in Deliberative Democracy Research
Abstract. This essay reflects on the development of the field of deliberative democracy by discussing twelve key findings that capture a number of resolved issues in normative theory, conceptual clari...
020
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 25/06/2026
ベヒティガ他(2010)「DQI 2.0」 オリジナルDQIの弱点を補うべく、修正・拡張した熟議の質指標のアップグレード版を提唱する論文。 スイス国民議会での討議を、①参加平等性、②正当化合理性、③共通善志向、④敬意と合意、⑤相互作用、⑥建設的態度、⑦ストーリーテリング、⑧熟議的交渉の観点から評価し、その結果から、(A)原初的、(B)旧来的、(C)競合的、(D)協調的、(E)合理的という5つの言説に類型化できることを論じる。また、オリジナルが熟議全体を一括として捉えていたのに対し、対象を一定の範囲に細分化することによって、部分によって違う特徴を有する可能性を明らかにできるという。
ash.harvard.edu
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 18/06/2026
スティンベルゲン他(2003)「熟議の質指標(DQI)」 ハーバーマスの談話倫理に依拠した熟議の質を計測する指標を提案する論文。熟議の全発言のうち「要求」を含む部分を対象として、それぞれについて、①平等な参加、②正当化水準、③正当化の内容、④敬意(対グループ/反論)、⑤建設的態度で評価(コード化)し、それらの平均や分散で全体の質を評価するというもの。英国下院での討議に適用し、その信頼性(2名のコード化の結果が実質的に一致)を実証している。 対象となる発言抽出の作業量とコード化の妥当性を考えると、単独でやるにはハードルが高そうだが、AIやプログラミングで補う可能性はあるかもしれない。
researchgate.net
(PDF) Measuring Political Deliberation: A Discourse Quality Index
PDF | In this paper, we develop a discourse quality index (DQI) that serves as a quantitative measure of discourse in deliberation. The DQI is rooted in... | Find, read and cite all the research you n...
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 12/06/2026
田丸大(2003)「自治基本条例の制定過程:杉並区自治基本条例を主な素材として」 区議会自民会派の勉強会にアドバイザーとして参加した著者が、制定の過程を紹介し、「若干の検討」を行った論文。 杉並区HP上では、過程についての情報が限られているため、それを知るには有用。 しかし、学識経験者3名、任命5名、公募(自薦)7名からなる懇談会が自主的に運営され、区議会も首長に対して一定の牽制機能を果たしたとして、一定の正統性が確保されたとする考察は、今日の熟議民主主義的観点からは、若干の疑問が残る。
komazawa-u.repo.nii.ac.jp
駒澤大学学術機関リポジトリ
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 11/06/2026
マンスブリッジ他 (2012):熟議民主主義へのシステム論的アプローチ 熟議民主主義論の「システム的展開」を決定付けたとされる論文。 熟議システムの認識論的/倫理的/民主的機能を提示し、事例分析(専門家の活用、抗議・圧力行動、党派的政治メディア)を通して、システムの個々の部分に熟議的欠陥があったとしても、その他の部分も含めた相互作用として全体としての評価が可能となり、システムとしての病理(過結合、分離、制度的/社会的支配、党派的分極化)も特定できるという。 理論としてはわかる気がするが、実践としてどこまでを「システム」として捉えてよいのかはまだはっきりせず、個人的には更なる掘り下げが必要。
researchgate.net
(PDF) A systemic approach to deliberative democracy
PDF | The last several decades have seen growing agreement among political theorists and empirical political scientists that the legitimacy of a... | Find, read and cite all the research you need on R...
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 29/05/2026
クラート&ブーカー (2016):ミニ・パブリックスを熟議システムに接続する ミニ・パブリックスの評価は、単体としての熟議プロセスの質(内部クオリティ)だけでなく、熟議形成、正統性の追求、熟議能力の形成という基準(外部クオリティ)において、システム全体として「共同的発展(co-development)」ができた度合いで評価すべきことを4事例を挙げて示した論文。 ブリティッシュコロンビア市民議会は、住民投票への接続が、逆説的に公共圏の選択肢を狭めて熟議を閉じる方向へ機能した、フランスGMO市民会議は、政府の恣意的操作が逆に注目を集めて公共圏に大きな影響を与えた、という評価は興味深い。
link.springer.com
Linking mini-publics to the deliberative system: a research agenda - Policy Sciences
The systemic turn in deliberative democratic theory has shifted the focus away from seeking to design separate, internally deliberative ‘mini-publics’ and towards a new appreciation of their external,...
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 12/05/2026
ジョンソン(2022)「形式モデル(Formal model)」 きちんと理解できたか心許ないが…。 筆者によれば、ゲーム理論や社会的選択理論などの形式モデルは、経験的予測のためでなく、抽象的な概念を具体的な状況において明確化するためのツールである。 アローの不可能性定理や単峰型選好、構造誘導平衡などの既存モデルを熟議民主主義研究に適用すれば、熟議が、意見の不一致を解決するというよりも、何が争点であるかという判断基準を共有する「メタ合意」によって構造的不一致を可視化し、多元的な価値観を持つ集団においても、決定における不安定な循環を回避できることが明らかになる、というのである。
academic.oup.com
Formal Models
Abstract. Advocates of deliberative democracy generally do not see much for formal models of political interaction. This is a mistake both historically and
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 07/05/2026
チェンバース:「理論化の方法」、『熟議民主主義研究手法』所収 このところスランプ気味のため、基礎を固め直すべく。 筆者によれば、熟議民主主義研究の規範的理論は、それぞれの境界は曖昧で、複数にまたがることもあるが、大きく以下の5つに分類でき、特に⑤は今後最も発展が見込まれるという。 ①理想的な価値と規範を定式化する「理想理論」 ②その理想を問い直し洗練化する「批判的省察理論」 ③既存の理想を発展・拡張する「構築的省察理論」 ④規範的基準で現実の制度を評価・批判する「批判的応用理論」 ⑤規範を具体的な制度設計に落とし込み、規範理論へと反省的に還流する「構築的応用理論」
academic.oup.com
Methods of Theorizing
Abstract. What is normative theory and how is it done? This chapter introduces a typology of five types of normative theory found within the deliberative d
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 28/04/2026
シャウブ&ロシャ(2025):集会民主主義の可能性 スイスの直接民主主義的制度である①国民・住民投票と市民集会(②州及び③地方自治体レベル)のそれぞれが固有の参加者属性パターンを持つことを調査によって明らかにした論文。 市民集会は①に比べ参加率は低いが、年齢や教育レベルなどによる偏りが小さく、居住地と繋がっている感覚が大きな参加誘因になっている。また、②は議題数の多さと複雑さ、公開投票などから、③に比べて高教育レベル層の参加が多いが、イベント的な色彩もあり若者などの過小代表層を比較的多く惹きつけている。つまり各制度の特徴を活かす制度設計で社会構造的不平等を改善できる可能性があるというのである。
onlinelibrary.wiley.com
Assembly democracy between social selectivity and equality
In most Swiss municipalities and two cantons, voting means attending a public assembly rather than casting a ballot. This article investigates the extent to which participation in such assemblies is ...
030
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 03/04/2026
塩田潤(2022):市民熟議と政党の組織化――アイスランドにおける憲法改正の失敗とその後 有名なアイスランドの事例を通し、ランデモア「Open Democracy」での示唆(政党が不要になる)とは逆に、市民熟議が政党化を促しうることを明らかにした論文。 筆者によれば、政治的機会構造の変容(左派政権の求心力低下と議会内護憲派の多数化)により、熟議による結果(新憲法案)を代表するアクターが不在となったことに加え、エリート層への反発及び熟議が持つ参加と包摂という性質が集合的アイデンティティを形成する契機となり、新憲法制定を中心政策に掲げるアイスランド海賊党の組織化に寄与した、というのである。
jstage.jst.go.jp
市民熟議と政党の組織化
熟議と政党に関する従来の研究では、政党外での市民による熟議が政党形成に果たす役割について光が当てられてこなかった。本稿では、アイスランドにおける憲法改正のための市民熟議と新政党アイスランド海賊党との関係性を分析し、市民熟議が政党の組織化につながる契機について解明する。 アイスランドでは2008年の …
030
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 24/03/2026
田窪 祐子(1997):巻町「住民投票を実行する会」の誕生・発展と成功 条例に基づく住民投票を日本で初めて実現させ、原発建設を止めた新潟県巻町。参与観察を中心に、その立役者となった会を社会運動論の観点から分析した論文。 ①政治的機会:「今、町を動かせば止められる」と運動のタイミングと形態を規定、②資源動員:当初の大口のカンパに加え、投票・署名に絞って参加コストを抑え、構成員でなく支持者のみを拡大、③フレーミング:原発反対ではなく、住民による意思決定を求める中立的な運動に、を組み合わせ、政策に実質的な影響を与えられるかを唯一の尺度とする結果指向型の運動としたことが成功の鍵だったと論じる。
doi.org
巻町「住民投票を実行する会」の誕生・発展と成功
1996年8月に新潟県巻町で行われた、日本で初めての条令に基づく「原発住民投票」は高い投票率を得て町の原発政策を決定した。住民投票の実施には、2年前に発足した巻町民の会「住民投票を実行する会」が決定的な役割を演じている。この会は「住民投票による町民の原発についての意志の確認と町政への反映」を目標とし …
011
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/03/2026
田村哲樹・山本圭編(2026):現代民主主義理論ハンドブック 自分のテーマへ視野狭窄になりつつある反省から。 また初心に返るという意味でも。
nakanishiya.co.jp
現代民主主義理論ハンドブック - 株式会社ナカニシヤ出版
現代民主主義理論ハンドブック詳細をご覧いただけます。
020
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 13/03/2026
フルニオー(2019):ミニパブリックの選定プロセス―くじ引き、動機、都合 放射性物質地下貯蔵施設問題につき、仏で開催されたミニ・パブリックスを選定プロセスに注目して分析した論文。 筆者によれば、ネットで反応があった者を最初の抽選対象としたこと、無報酬、対立が激しい事案に巻き込まれることへの危惧などから辞退が増え、当初目指されていた「社会の縮図性」が歪み、参加・発言意欲が高く、都合がつきやすい「熟議的市民」が過代表された自薦的傾向が強いものとなった。しかし結果として、すでに自ら熟慮していた参加者による小規模な熟議が、このような論争的で難しい問題に対しては、逆説的に有効だった、というのである。
doi.org
020
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 26/02/2026
沼田良・安藤愛(2016)「自治基本条例の現段階と可能性(下)」『自治総研』通巻450号,34–73頁。 (上)(中)での検討を踏まえ、新たな類型を提示する最終章。セルズニックの法の3類型を手掛かりに、従来型・将来型・本来型の3類型を提示する。その上で、初期の自治基本条例は従来型に分類できるものが多かったが、東日本大震災を境に、災害時緊急対応、総合計画の位置付け、基本的自治体権を含む将来型へ移行しつつあり、本来型は、米英における自治/市民憲章のような住民・自治体・国家の三者間の設立文書・契約文書としての可能性を持ち、基本的自治体権が将来型と本来型をつなぐ媒介となりうる、という。
jstage.jst.go.jp
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 20/02/2026
沼田良・安藤愛(2016)「自治基本条例の現段階と可能性(中)」『自治総研』通巻449号,28–58頁。 (上)で設定した10の評価基準で9名の代表的論者による先行研究を比較検討し、自治基本条例研究において、どのような論点が論じられているか/いないかを明らかにする論文。 基準のすべてに言及しているのは神原勝のみであること、「市民参加・協働」は、全ての論者が言及しており、自治基本条例論の核となるテーマであること、「上位規範」は多くの論者が最高規範としているが、法的効力について懐疑的な見解もあること、「災害時緊急対応」と「自治体の基本権」に触れたものは少ないこと、などが論じられている。
jstage.jst.go.jp
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/02/2026
沼田良・安藤愛(2016)「自治基本条例の現段階と可能性(上)」『自治総研』通巻448号、65-90頁。 全国314自治体の自治基本条例(2014年時点)の悉皆調査を行い、①自治体の上位規範、②市民の権利・義務、③議会の責務、④行政の責務、⑤市民参加・協働、⑥住民投票、⑦情報共有、⑧災害時緊急対応、⑨総合計画、⑩自治体の基本権、という基準を設定し、分類・分析した論文。 「最高規範①」と規定する自治体が6割近くにのぼること、②④⑤⑦はほぼ全てで規定されていること、⑧と⑩を規定する自治体はまだ少ないが、今後重要な論点となりうること、などが述べられている。
jstage.jst.go.jp
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 09/02/2026
山口富子(2025)『インタビュー調査法入門——質的調査実習の工夫と実践』ミネルヴァ書房。 来るべき機会のためにと、まずはざっと通読。 インタビューだけというより、質的研究を論文にまとめるという明確な最終ゴールを目指して構成された、常に手元に置いて参照したい具体的かつ有用なガイド。 なかでも、「データ分析」(第5章)のコーディングの具体的方法は、自分の研究でも応用できそう。 「厚い記述」や「先行研究を捨てる勇気」(179頁の囲み記事)も常に意識しておきたい。
minervashobo.co.jp
インタビュー調査法入門 - ミネルヴァ書房 ―人文・法経・教育・心理・福祉などを刊行する出版社
ミネルヴァ書房は、人文・社会科学の学術出版社です。人文・法経・教育・心理・福祉の書籍を中心に刊行しています。
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 21/01/2026
高畠通敏(1997=1986)『地方の王国』岩波書店(同時代ライブラリー)。 昭和の地方政治の生々しい記録。田中角栄の新潟三区をはじめ、それぞれ独特な様相を呈する6選挙区が取り上げられている。カネ、権力闘争、利益誘導、選挙の裏側、有権者の本音等々に焦点が当てられ、読み物としては面白いが、このような側面ばかりが「政治」として捉えられること自体が選挙代表制の問題であろう。とはいえ、衆院が中選挙区制だった時代の記録であり、その後、小選挙区制へと変わった結果、どのような変化があったのか(なかったのか)、同じ選挙区での平成・令和版を読んでみたい。
iwanami.co.jp
地方の王国/高畠 通敏|同時代ライブラリー - 岩波書店
日本政治に地方の時代はしぶとく生き残る. 高畠 通敏 著
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 06/01/2026
山口道昭(2011)「自治体審議会と条例の実効性確保──自治推進委員会を中心に──」 制定された自治基本条例の実効性を担保するための「自治推進委員会」についての論文。 筆者によれば、同条例が行為規範であって裁判規範ではない性格を持つため、この種の外部チェック機関は重要である。しかし、その審議過程は事務局(自治体主管部局)によって管理され、委員長は委員と事務局の間で板挟みになり、事務局も組織上の地位が低いことが多い。委員会が本来の機能を果たすには、委員長が事務局との連携を強化しつつも摩擦を恐れないことや、主管部局の組織上の地位を向上させることが必要、というのである。
jstage.jst.go.jp
011
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 24/12/2025
山本耕平(2005)『大和市自治基本条例 一「市民立法」への挑戦一」 公募市民35名による「自治基本条例をつくる会」が起草した条例案が、ほぼそのままの形で条例となった大和市。その1年8ヶ月にわたる策定過程にファシリテーターとして関与した筆者による論文。 筆者によれば、「市民立法」が実現したのは、合意形成の各ステージにおいて様々な層の市民に対して行われたパブリック・インボルトメント(PI。計63回、のべ約1,400人)により、「つくる会」が市民意思を代表する場となったためであり、何人が参加すれば市民の代表としてオーソライズされるのか、という問いに対する答えのひとつがPIである、という。
jstage.jst.go.jp
020
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/12/2025
シュミット(2024)「ミニ・パブリックスにおける認識的不正義」 フリッカーの認識的不正義理論とヤングの内的排除概念を応用し、表面的・儀礼的な象徴的不正義に対し、構造的・潜在的な認識的不正義(更にその下位として証言的/解釈的不正義)を理論化し、それがミニ・パブリックスにおける内部排除の理解にとって重要であることを指摘する論文。その上で、市民参加型の議題設定、社会運動からの専門家招聘、積極的なファシリテーション、少数派の過剰代表などの対応策を提案する。 分類は直感的にわかりにくいが、正義と「社会の縮図」性をうまく両立させ、理想的なミニ・パブリックスを設計する難しさを考えさせられる。
delibdemjournal.org
Epistemic Injustice in Deliberative Mini Publics
The foundational principles of deliberation rest on citizens meeting as political and moral equals. If we take them seriously, we need to consider the exclusion that arises from power asymmetries. The...
042
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 16/12/2025
大和市企画部編著(2005)『ドキュメント・市民がつくったまちの憲法――大和市自治基本条例ができるまで』ぎょうせい。 直接関与した市役所担当部署による編著のおかげで、一般的な公開情報だけでは知り得ない策定の具体的な過程がよくわかる貴重な一冊。 公募による市民メンバーの長期間にわたるコミット度合い、市長の市民参加へのこだわり、パブリック・インボルブメントの積み重ねなどは、想像していたレベルを遥かに超える。市民メンバーは、最終的に約3/4まで減ってはいるものの、1/3強まで減った抽選制メンバーによる東村山市の事例と比べると、コミット強度/負担耐性は公募の方が強いと言えるのかもしれない。
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 12/12/2025
佐藤信(2025)『オーラル・ヒストリー入門』ちくま新書。 将来のインタビューへの準備として。 第I部は、一連のプロセス全般にわたっての実践・具体的ガイド。第II部は、いくつかの分野での専門家が、具体例とともにその分野ならではの苦労やノウハウを紹介している。 特に、権利関係の事前整理のための「聞き取りに関する合意書」や「記録音声等の公開に関する同意」の雛型(付録として収録)などは、重要だが見落としがちなポイントとして注意しておきたい。
chikumashobo.co.jp
『オーラル・ヒストリー入門』佐藤 信|筑摩書房
筑摩書房『オーラル・ヒストリー入門』の書誌情報
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 27/11/2025
砂原庸介(2015)『民主主義の条件』東洋経済新報社。 有権者の意思を反映する公的組織としての政党の役割を高く評価し、その役割が発揮されにくい現行の選挙制度の改革案を提示する一冊。 個人的に、政党の役割には懐疑的であり、それが覆されるまでの説得力は感じられなかった。とはいえ、選挙管理機関の独立性を高める必要性や、選挙制度改革を政治家以外に任せるべきとの主張は納得できる。
010
執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 22/11/2025
バランジェ(2025)「大規模ミニ・パブリックスにおける自己排除」 包摂性と代表性の充実のため数百人規模になったミニ・パブリックスでの熟議において自ら発言を控える「自己排除」の現象を扱った論文。①女性、若年、低教育水準などの社会的地位を参加者が自己内面化した結果の「従属的(deferential)」、②複雑かつ抽象的なテーマに対する情報・知識不足からの「認識的(Epistemic)」、という自己排除が観察されたとする。ただし、規模だけではなく、制度設計も原因の一つであり、より洗練されたファシリテーション、パネルの自由選択、きめ細かい事前情報提供といった対策である程度回避しうるという。
delibdemjournal.org
Addressing Self-Exclusion in Upscaled Mini-Publics: Evidence from CoFE’s European Citizens’ Panels
This article examines how institutional design shapes patterns of self-exclusion in upscaled mini-publics, focusing on the European Citizens’ Panels (ECPs) of the Conference on the Future of Europe (2...
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 21/11/2025
ザウアー (2024)『MORAL 善悪と道徳の人類史』 人類の進化とともに変化してきた道徳の系譜学。 道徳はまず、集団を形成し始めた人類が団結と協調行動をに高めるために生まれた。その後、集団化の度合いに応じて、懲罰的で集団志向となり、さらに個人主義的アイデンティティ志向を持つようになる。そして人々は、自分と同じ道徳陣営の人間にしか社会的信用を持ちえなくなり、道徳的アイデンティティはますます鮮明化し、社会は分断しやすくなったと今日の世界を診断する。ただし、このような表面の下には、全人類が共有する普遍的な価値観が潜んでいるともいう。 「悪だけではなく、善も陳腐」とのフレーズが印象的。
kodansha.co.jp
『MORAL 善悪と道徳の人類史』(ハンノ・ザウアー,長谷川 圭) 製品詳細 講談社
●「正しさ」をめぐる人類500万年の旅 500万年前、ひ弱な人類が協力して生き延びるために「集団の知恵」として生まれたモラル。時を経てどのように進化し、変化し、「行き過ぎた正義」として暴走を始めたのか? 気鋭の哲学者による、「人類の善と悪の変遷」を追う壮大なモラルの歴史書。「社会的平等とSNS時代の課題」を問う意欲作。 ●行き過ぎた正義は「悪」になるのか? 世界ではいま、モラルに関する論争が過熱し...
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/11/2025
ニーマイヤー&ヴェリ(2022)「熟議理性度指標」 【訂正】 「オンラインでの計算が可能」 →「オンラインで入手可能な専用ソフトウェアでの自動計算が可能」
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/11/2025
ニーマイヤー&ヴェリ(2022)「熟議理性度指標」 『熟議民主主義研究手法』所収(7章)。 単なる合意や意見変容の度合いではなく、集団として共有された推論構造を持てたかという熟議の理性度(主観間一貫性)を測る指標の紹介。 論点と政策選好についての各人の熟議前後の質問票から、結論を導く推論の枠組みを参加者が共有しているか、意見が異なっても理由については理解可能か、集団としてすべての論点を考慮に入れた推論ができているかを全体として計測する。例えば、気候変動懐疑論者グループのそれが非懐疑論者に比べ有意に低いなどの研究が可能になったという。 数学的に複雑だが、オンラインでの計算が可能とのこと。
academic.oup.com
Deliberative Reason Index
Abstract. The Deliberative Reasoning Index (DRI) is a method for assessing the positions formed by a group taking part in deliberation and their relationsh
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 07/11/2025
ジローデ他(2022)「熟議民主主義における共構築」② 仏気候変動会議自体の話題性とユニークさ、研究の規模(ランデモアも参加)などの点でも注目に値する研究であり、多くの示唆に富む。例えば、主催者側が専門家選定などでフレーミングの影響を与えたという事実は、制度設計上の重要な指摘であろう。 特に興味深いのは、会議が提案を国民投票にかける権限を与えられていたにもかかわらず、熟議を経ていない一般市民はまだ「啓蒙されていない」として、参加者がこれを拒否した事実である。これが規範的に、抽選代表制に対するいわゆる「ショートカット」批判(ラフォン)を想起させるとの指摘は非常に示唆的である。
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 07/11/2025
ジローデ他(2022)「熟議民主主義における共構築」① 30名の研究者によるフランス気候変動会議(抽選制)の事例研究。全過程の参与観察、参加者と一般市民の比較調査から、政府が掲げた「共構築(Co-construction)」が実現したかを検証する。その結果、運営組織が議題設定や専門家の選択にかなりの影響を与えたものの、参加者は独立性を保持し、会議内では共構築が機能した一方、参加者と一般市民の間では相互懐疑が発生し、参加者が国民投票に反対するなど共構築は実現されなかったことを明らかにする。そこから、会議で練り上げた提案をその後、具体的にどう扱うかを事前に明確にしておく必要性を指摘している。
nature.com
“Co-construction” in deliberative democracy: lessons from the French Citizens’ Convention for Climate - Humanities and Social Sciences Communications
Humanities and Social Sciences Communications - “Co-construction” in deliberative democracy: lessons from the French Citizens’ Convention for Climate
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 31/10/2025
鈴木淳子(2016)『質質問紙デザインの技法[第2版]』ナカニシヤ出版。 アンケート調査を実施するにあたって、一度は目を通す価値があると思われる一冊。考える・やるべきことが具体的かつ網羅的(倫理的配慮にも十分な紙幅が割かれている)に整理されている。 例えば、程度を尋ねる際に「どちらともいえない」を選択肢に含めるべきかどうかという個人的に長年悩まされてきた問題。日本人は特に中間回答バイアスがが強いため、ほとんどの回答者が当該問題を考えたことがあって回答できるはずと判断できる場合は使用せず、逆に複雑な問題に関する意見を求める場合は使用することが推奨される、という一応の答えも得られた。
nakanishiya.co.jp
質問紙デザインの技法[第2版] - 株式会社ナカニシヤ出版
質問紙デザインの技法[第2版]詳細をご覧いただけます。
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 29/10/2025
五十嵐彰(2025)『可視化される差別』 約1,200もの論文を参照して、差別を「可視化」し、外国人への差別の実態とその背景にある排外主義の発生理由、それらを減らす方法を論じる一冊。差別は、嗜好に基づくものと不十分な情報に基づく統計的なものに大別できること、「差別はそれを経験した人に害をもたらすから悪い」こと、集団間接触の増加、誤認識を修正する情報提供、移民に寛容な政策が対策として効果的ということなどが明らかにされる(例えば、自治体内の移民割合が高まるにつれ排外主義も高まるが、その割合が10%を超えると減少に転じるなど)。 結論が正反対な実証研究が多々あるなど、研究最前線のリアルな姿も。
shinsensha.com
可視化される差別|新泉社
<strong>「私たちは差別の何を知っているだろうか? 不可視の差別を可視化する、厳密かつ包括的な差別研究の最前線——岸 政彦」</strong> 人種差別、性差別、障害者差別、性的指向差別……。 私たちの周りでよく見聞きされる「差別」という言葉。しかし、差別ほどその存在を捉えにくいものは
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 23/10/2025
ベヒティガほか(2023)「熟議の質指標(Discourse Quality Index/DQI)」 『熟議民主主義研究手法』所収(6章)。 熟議の質を定量的に計測することを目指して発案されたDQIの進化を紹介する論文。当初は、静的な形式面が重視されていたが、相互作用や時間・空間的な拡がりなどの動的な実質面に注目するよう改訂されてきており、機械学習による自動化の試みも有望という。ただし、集計問題(多次元性がある場合は単純集計には適さない)や、解釈主義的課題(文脈や観察者によって解釈が異なる可能性)なども指摘されており、熟議の質は単一的にではなく、目的と文脈に応じて評価される必要があるという。
academic.oup.com
Discourse Quality Index
Abstract. This chapter surveys the development of the Discourse Quality Index (DQI) from its original to its expanded versions. It documents the DQI’s vari
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 03/10/2025
ミュラー他(2023)「熟議における専門家の影響」 アイルランドで行われた抽選制「市民会議」(2016-18年)の録画から自動取得した38万語のコーパスを統計的に分析した論文。専門家セッションで説明されたトピックがQ&Aセッションで取り上げられ、多く話される確率が高いため、議題設定に影響を与えうることや、女性・学識経験者に比べ男性・実務家による情報の方が影響力を持つことを明らかにする。よって、参加者だけでなく専門家の選抜についても多様性と包摂性を考慮する必要があるという。 熟議セッションが対象でない(録画がない)のは惜しいが、分析手法は魅力的。相当難しそうだが、導入検討の価値はある。
tandfonline.com
Reactions to experts in deliberative democracy: the 2016–2018 Irish Citizens’ Assembly
Many citizens support the involvement of experts in political decision-making, yet we know little about how citizens react to expert opinions. Bridging recent evidence on technocratic attitudes and...
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 30/09/2025
中田晋自(2011)「フランスの住区評議会制とメンバー構成問題」 筆者は、サントメールによる熟議民主主義におけるくじ引きの意義を整理した上で、仏研究者によるパリ20区住区評議会の研究を紹介し、抽選メンバーの「経験的認識(慣習知)」に基づく発話が、情報捕捉的性格による熟議促進効果、事実立脚的性格による婉曲効果、個人的権利要求および党派的発言抑制効果をもたらしたことを報告する。ただし、抽選制がもたらす中立性への過度の称揚が、元々参加に積極的な活動家などを排除する例があることを、自らの調査に基づき指摘している。 排除されていない例の調査もしており、両者における熟議内容の比較検討が欲しいところ。
aichi-pu.repo.nii.ac.jp
愛知県立大学学術リポジトリ
CMS,Netcommons,Maple
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 26/09/2025
ピカリング(2025)「プロセス追跡分析(Process Tracing)」 『熟議民主主義研究手法』論文集所収(20章)。 筆者によれば、多くの事例からの一般的相関・因果関係解明を目指す定量分析に対し、丹念なエビデンス評価を重ねていくこの定性的分析手法は、少数事例の具体的因果メカニズムを特定・説明できる。熟議民主主義研究では、①熟議の実践において決定的役割を果たしたのは何か、②どのような戦略が行動変容に影響を与えたか、③政策決定に影響した最大の要因は何か、などの先行研究で有効に使われてきた、という。 仮説検証テスト(pp. 295-6)なども含め、自分の方向性にとって非常に有益。
academic.oup.com
Process Tracing
Abstract. A major challenge for empirical analysis of deliberative processes is to establish causal relationships between the context or design of these pr
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 18/09/2025
モンタナーロ(2012)「自薦代表の民主的正統性」 社会運動活動家/団体が、選挙によらずとも民主的代表としての正統性を持ちうるかの評価基準を「被影響者利害原理」に基づき提案する論文。筆者によれば、自薦代表の訴えは、授権・被影響者という二つの集団(consutituency)を作り出し、特に後者を「見える・聴かれる化」し、エンパワーするポテンシャルを持つ。そして、後者からも授権され(承認、支持、寄付、参加など)、彼らに対する答責性を担保する仕組み(反論や離脱の機会など)を持てれば民主的代表たりうる、という。 興味深い視点だが、この種の(特に言説的)授権・答責性の有効性は検討の余地がありそう。
doi.org
The Democratic Legitimacy of Self-Appointed Representatives | The Journal of Politics: Vol 74, No 4
How should we theorize and normatively assess those individual and collective actors who claim to represent others for political purposes, but do so without the electoral authorization and accountabil...
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 13/09/2025
出石稔(2011)「自治基本条例の最高規範性の確保に関する一考察」『法社会学 』第74号、101-118頁。 著者によれば、自治基本条例の最高規範性規定は、最高規範性自体を明示するものや遵守義務を謳うものなど6種類に分類できるが、最も有力なのが、改正手続きを厳しくする(住民投票や特別多数決を組み込む)「硬性憲法型」である。とはいえ、その規定の存在だけでは不十分で、自治基本条例を頂点とする条例の体系化など、実効性を担保する運用上の仕組みも必要である。また、市民参加や情報公開といった市民の権利の根拠を定めることによっても、最高規範性は高められる、というのである。
jstage.jst.go.jp
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 08/09/2025
湯淺墾道(2009)「自治基本条例の構造と動態」『日本地方自治学会研究紀要』22号、93-107頁。 筆者によれば、全国の152の条例を対象に、内容を指標化の上、それぞれの条例を数値化し、主成分分析を行った結果、それまでの「政策テーマ型」「自治基本型」「フルセット型」という類型化に加え、「直接民主主義志向」(採用する/しないに二分化される)と「参加・参画の具体化・義務化傾向」(前者ほどの特色は出ていない)という成分での類型化が可能だという。自分が主成分分析に通じていないこともあり、分析結果の解釈が明確とは言い難いが、条例内容の指標(表4)は、今後の条例分析の参考になりうる。
kiu.repo.nii.ac.jp
九州国際大学学術成果リポジトリ
CMS,Netcommons,Maple
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 03/09/2025
木佐茂男・逢坂誠二編(2003)『わたしたちのまちの憲法』日本経済評論社。 自治基本条例を扱う論文で必ずと言っていいほど言及される一冊。 第I部は、一職員が自治体学会の地方分科会に出席したことから、木佐北大教授(当時)の研究会などに縁ができ、後に町長となる逢坂もそこに参加。その後の紆余曲折を経て、手弁当の「自治基本条例プロジェクト」が発足して独自の草案を練り上げ、町による条例案作成、議会での審議・可決を経て、日本初の自治基本条例「ニセコ町まちづくり基本条例」が誕生するまでの約9年間のルポルタージュ。第II部では、自治基本条例の意義、必要性、論点、今後の展望などが一般論として論じられる。
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 29/08/2025
磯崎初仁(2018)『自治体政策法務講義 改訂版』第一法規。 自治基本条例も扱う重要参考文献候補であり、全体像把握のための最初の流し読み。 政策法務を「法を政策実現の手段と捉え、政策実現のためにどのような立法、法執行、訴訟評価が求められるかを検討する理論及び実務における取り組み」と定義し、政策法務の基礎(第1部)、政策的検討の理論(第2部)、法的検討の理論(第3部)、政策法務の実践(第4部)という流れで解説する教科書的一冊。 行政学や政治学、政策学とも異なるという「政策法務学」という学問領域を耳にしたのは初めてであり、まずはその違いが腑に落ちるまで理解することが必要。
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 21/08/2025
富永京子(2025)『なぜ社会は変わるのか——はじめての社会運動論』講談社現代新書。 ひとつの学問分野において、ある理論が生まれ、批判され、それを乗り越える新しい理論が生まれる。このようなプロセスが繰り返されることで、その分野が進化していく過程をわかりやすく解説した一冊。「同業者からの攻撃は怖い」が「それでも書くべき本だと思った」と筆者の言に違わず、学問の世界と一般読者をうまく架橋している印象を受けた。他の様々な学問分野でも存在してほしいタイプの入門書。 理論があるからこそ見えることがある一方で、見えなくなるものもある、という指摘は、常に意識しておきたい。
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 19/08/2025
真下英二(2016)「自治基本条例の制定要因に関する一考察 ——制度的変化のもたらす影響から」『尚美学園大学総合政策論集』23号、1-21頁。 筆者によると、統計分析の結果、最も有意な要因は自治体の面積の広さで、市町村合併の有無との有意な関連も、これで説明出来る(なお、対等/吸収合併間には有意差はない)。制定されている自治体のうち、非合併自治体は、都市的性格(DID人口比や財政指標)が強く、相対的に非自公的傾向(比例代表選での得票率)を持つ住民が多い。一方、合併自治体では、首長の属性よりも合併に伴う自治体内での変動(面積の広域化など)の方が制定の誘因となっている。
shobi-u.repo.nii.ac.jp
尚美学園大学学術情報リポジトリ
CMS,Netcommons,Maple
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 07/08/2025
阿部晶樹(2019)『自治基本条例——法による集合的アイデンティティの構築』木鐸社。 重要参考文献候補の一冊で、まずは各章の結論を中心にざっと読み。 自治の担い手としての住民の集合的アイデンティティ構築という視点を軸に、「協働」という語が隆盛を極めるようになった経緯、市民への定着度合い、制定後のインパクトなどを、統計的分析を中心に検討し、その限界と可能性、今後の展望などを論じる。 自治基本条例を扱うにあたっては、第一の参照点として、「ニセコ町まちづくり基本条例」を押さえておく必要がありそう。
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 02/08/2025
坂井,亮太( 2018)「非参加者のためにミニ・パブリクスはどうあるべきか : 決定方略と判断集約の観点から」『秀明大学紀要』15巻、135–163 頁。 筆者によれば、ミニ・パブリックスが外部的妥当性も備えるためには、その出力が公共圏の熟議の正統な参照点となることが求められる。そのためには、当該テーマにつき全ての評価基準を検討し、認識的にも優れる「加算型の情報探索」を促し、結果集計の際に生じる論理的不整合(オストロゴルスキーのパラドクス、推論のジレンマ)を回避するために、単純な多数決ではなく、結論を導くための理由や根拠の集約を基に論理的に結論を導く「前提判断に基づく決定手続」が有効である。
shumei-u.repo.nii.ac.jp
秀明大学リポジトリ
CMS,Netcommons,Maple
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執行浩史 @hiroshishigyo.bsky.social · 01/08/2025
小熊英二・上野陽子(2003)『<癒し>のナショナリズム——草の根保守運動の実証研究』慶應義塾大学出版会。 「新しい歴史教科書をつくる会」についての論考の後に、指導学生による同会の一支部の参与観察卒論(改稿)を中心に据え、それに対する考察を最後に加えた一冊。共通の言葉が通じるゆるい集団内で「サヨク」等の「普通でないもの」を忌避・排除することで、「普通」な自分を確立しようとする、従来の右翼像とはかけ離れた参加者像を明らかにし、新しいナショナリズム運動の未来を示唆する。長期的には排除する対象が外国人労働者等に向かうとの指摘(小熊)は、今日の状況を考えると鋭く、一事例での研究の意義を示す好例。
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