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片貝ゐわし

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だいたい助泰だが、はじぽ(青木村)に狂っている 書いたものはメディア欄かシブにある ヘッダー:JAさん 無断転載禁止/No reuploading ▽ピクシブ www.pixiv.net/users/31286435 ▽BOOTH fish-pool.booth.pm

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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 11/09/2026
2026.9.13 TOKYO FES Sep 2026 ザ・ワールド44 『やがて結実する稲交接』 B6/80P/一段組/500円 虹村兄弟+仗億小説本 新刊届いた〜〜〜⚡️ 伝線さんの絵の不穏かつ美しい感じを出したくて、表紙を五感紙粗目キラにしたけど、思惑通りめちゃくちゃ不穏かわいくできて満足(本文を間違えて上質紙にさえしていなければ………)
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 07/09/2026
2026.9.13 TOKYO FES Sep 2026 ザ・ワールド44発行 新刊『やがて結実する稲交接』 表紙イラスト 伝線さん タイトルロゴ等 由丹さん にお願いしました🙌 ▼お品書き 載ってないけど、既刊はあと2冊ある(アルカディア・遠い声、遠い部屋) ついでに既刊の露十五本も持って行きます!
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 03/09/2026
JAさんがこの前描いて下さった新刊の表紙についてお話してるのがめちゃくちゃ天才過ぎて頭がおかしくなったので、書かせてもらった 青春の戯れ/青木村
「明日木村ん家集合な」
そのままガチャンと電話を切りそうな勢いの青木に、木村は電話の子機を掴んだまま身体を起こした。
「待て、せめて時間と用件を言え」
母親に青木くんからよ、と電話を渡された時にはどうせいつも通り大した用事じゃないんだろうと思って、読んでいた雑誌から目を離さずにいた。そのせいで、何が何だかわからない。青木にお前さっき返事してただろうが、と怒鳴られてから、そう言えば相槌代わりに「おー」と返したのを思い出した。
「だから暇なら出掛けようぜって言ってんの」
どうせ暇だろ? と訝しげに言われて腹が立ったものの、差し迫った用事なければ目下決まった試合もない。久しぶりにバイク乗りたくてさ、と続ける青木に、運転するのオレじゃねえか! と返す。でもまあ、最近乗ってねえし、季節も悪かねえ。愛車だってたまには走らせてやらねえとバッテリーもあがっちまうしな、とそこまで考えて自分が随分と乗り気なのに気がついた。
「寝坊すんじゃねえぞ」
それがなんとなくバツが悪くて、木村はわざと不機嫌そうな声を出した。

◇

「よお」
午前中のまだ白っぽさの残る陽射しの中を、飽きるほど見た顔が歩いてくる。木村は上機嫌な幼馴染に低い声を出した。
「お前がバイク乗りたいっつったんだろうが」
なんで半袖なんだよ、と咎めれば「いやあ、今日暑いじゃん。なんか忘れてたわ」と反省の色すら見せずに青木が笑った。木村はため息を吐くと、抱えてた上着を青木に渡した。
「お、これイイじゃん。オレも同じの買っちゃおうかな〜〜」
いそいそと上着を羽織る男に、もう一枚取ってくるわと声をかけて店を突っ切って家の中へと戻る。階段を上がって開きっぱなしの自室のドアに半身を差し込み、手前に掛けてあった上着を掴むと下に戻った。別に急ぐ必要もないが、せっかく遠出するならさっさと出掛けたい。
服に腕を通しながら青木の元へ戻ると、腕の辺りを顔に近付けていた青木が叫んだ。
「コレ木村臭やべえ!」
「臭って言うな、嫌なら脱げ」
バイクにキーを差し込みエンジンをかける。昔のように高い破裂音はしない。低い唸り声を上げたエンジンから、痺れるような振動が伝わってくる。
「やだ、だってめっちゃイイ匂いするんだも〜ん」
グッと沈み込むような感覚の後、背後に跨った青木の声が耳元で聞こえる。
「オレこのままじゃ木村になっちゃうかも」
はしゃいでるのを隠そうともしない男に、「ちゃんと掴まっておけよ」と呆れたように返した。つーか、木村になるってなんだよ、こっちは生まれた時から木村だっつーの。
何にも考えていないんだろう浮かれた男の鼻歌を聞きながら、木村はバイクを発進させた。
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 26/08/2026
もう絶対無理だ……と諦めかけていましたが、JAさんのおかげで9/13のザワに間に合うように既刊の入稿が出来ました〜〜〜!!!! やった〜〜〜!!! 納品され次第通販にも登録します📚 ▼新しく追加する3冊 ・アルカディアに裸で ・遠い声、遠い部屋 ・天国ではなく、昨日のつづき ▼残部少 ・野生の呼び声 ・いつかのdiary よろしくお願いします!!!
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 24/08/2026
今週末のイベントで配布するインスタントフォトカード風のイラストカードが届いた!!! クリアPP貼っているのでツヤっとしてます✌️ 無配なのでカードだけでも貰いに来て下さったらうれし〜〜です!!!!
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 23/08/2026
2026.08.30(日) COMIC CITY VEGA 2026 BEST BOUT VG2026 新刊『青春の戯れ』とノベルティのポスカが届いた〜〜!!! 新刊はアラベールにトレペ、ポスカは新局紙でラフ感と透ける感じにしました🌻
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 17/08/2026
2026.08.30(日) COMIC CITY VEGA 2026 BEST BOUT VG2026 ▼お品書き 新刊表紙イラストをJAさま 装丁・本文DTPは由丹さま にお願いしました! ▼本文サンプル www.pixiv.net/novel/show.p... www.pixiv.net/novel/show.p...
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 31/07/2026
かわいい妹の誕生日だったので、渋谷で素麺を研究し、サントリーのイベントで言葉とグラス選んでカクテル作ってもらった〜〜!!! めちゃくちゃ面白かった〜〜〜!!!!
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 29/07/2026
明日の柳岡はんのお誕生日をお祝いする何かを書こうと思ったのに全然違うものが 完成した、一歩の知らんところで人脈広げてる梅沢好き、幕之内家側の人間として鴨ティーにお茶出ししてるの大好き ラフ/記事組+梅 ラフ/記事組
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 08/07/2026
平日なのに仕事終わって寝落ちして、12時間も寝てしまった…… めちゃくちゃ遅刻だけど鷹村さんお誕生日おめでとうございます!!! ラフ/鷹村さんをお祝いする鴨ティー
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 06/07/2026
死刑執行のせいで脳が機能していない、何が何だかわからないので、何が何だかわからないものしか書けない ラフ/死刑執行青木村
 昨日脱ぎ捨てた服が、床の上でだらしなく蹲っている。
 それがうだつの上がらない現在の自分のようだと、白々と照らされる壁が無言で責めてくる。木村はグローブでもバンテージでも覆われていない拳を振りかぶって憤りのままぶつけた。振動に驚いたのか、れーコが水槽の中でくるりと回転する。試合前のボクサーが拳を痛めるような真似なんかしてどうすんだ。冷めていく気持ちの中で木村はため息を吐いた。
 ボクシングに出会った時は——はじめてリングに立った時の眩暈がするような照明の眩しさと、雨のように降る拍手の渇いた音が忘れられなくて——ついに見つけたんだと思ったし、今まで掴み損ねていたものに、いま触れているんだ! という実感があった。強くなるということが、ひとすじ縄じゃいかないのさえ面白かった。昨日までの自分には不可能だったことが明日の自分には出来るんじゃないかという予感が、喧嘩を繰り返していた時にはなかった未来と現在が地続きになっている手応えをもたらした。つまりそれは生の実感というやつで、無茶ばかりしていた頃には得ようとしても得られなかった感覚だった。知れば知るほど遠のくようなボクシングの奥深ささえ、成長の余地や可能性だと思えた。だが、今はどうだ? 出口のない真っ暗なトンネルの様に取り残されているような気がする。自分はもうどこにも行けず、かといって戻ることもできないのだと。
 そんな風に思った自分がおかしかった。五年でずいぶんとおセンチになったもんだ。タイトルマッチというやっと手に入れたチャンスが、これまでの人生に評価を下す審判かのような気するなんて。
 木村は堂々巡りの考えを振り払うように家を出る。どうせ減量しないといけないのだから、ベッドの上で頭を抱えている暇があれば身体を動かしている方がマシってモンだ。


 今回の試合を受ける時に、すでに覚悟は決めていた。それなのに言いそびれた決意が、腹に溜まって消化不良を起こしている。どれくらい経った頃か疲労を訴えはじめた身体にそろそろ帰るかと足を止めた瞬間、電話ボックスの明かりが目に入った。夜の街の中で、それはスポットライトに照らされているみたいに見える。すると突然木村の中に『腹に溜まったすべてを吐き出してしまいたい』という欲求が芽生えた。最後に青木と顔を合わせた時に言わなかった言葉をすべて。
 上着のポケットを探ると小銭が数枚入っていた。薄い硬貨の縁を指でなぞって目当てのものを取り出し、銀色の投入口に滑らせた。緑色の機械の中をコインが転がり落ちていく音を聞きながら、木村は思い出す必要もないくらい脳みそにこびりついた九桁の番号を順番に押す。最後の一桁から手を離せば、いくばも経たないうちに聞き慣れた声が聞こえるだろう。そう思ってふと目を上げた先に、冴えない顔をした男が寄り掛かるようにして立っているのが見えた。夜の闇の中で何もかも諦めたみたいな表情をして電話をかけている男の姿が。
「まだ終わっちゃいねえだろ」
木村はそう呟くと、乱暴に受話器を置いた。そうすれば、縋るように幼馴染の番号を押した事実が、なかったことになるとでも思っているかのように。ガラス張りの箱から飛び出し木村は、ほとんど星の出ていない夜空に向かって吠える。オレたちは馬鹿だから強がって強がって、強がり続けて、それを本当にするしか、生き方を知らねえんだ。
030
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 04/07/2026
7巻の青木の試合に拍手を送るサラリーマンのことずっと書きたかったから書けてうれしい〜〜〜!!! ラフ/モブ視点 青木とちょっと木村
 男は通勤用の鞄からボクシングのチケットを取り出すと、腕時計で時間を確認した。ふとしたキッカケで出会ったボクシング観戦という趣味は、今では無くてはならないモノになっている。
 チケットに記載された座席を確認すると、邪魔にならないように鞄を足元に置いた。今日は予想していた通り女性のファンが多い。大半は速水龍一選手の応援だろう。アイドルのコンサートのような雰囲気だが、それだって悪くない、と男は思った。どうせ自分も技術的なことが分かるわけでないのだ。生まれてからこのかた運動と名の付くものはすべて苦手で、スポーツとは縁遠い人生だった。走れば笑われ、ボールは顔面向かっている。あまりにも毎回眼鏡を負傷するため、体育の授業はなるべく邪魔にならないよう、端っこに立っていることにした。大人になった今でもバットやラケットに球を当てるのは、宝くじを当てるより難しい奇跡のようなものなのではないか? と思っている。だが、まわりを見ていると、多少の出来不出来はあるにしろ、ここまで酷くはなさそうだった。それでようやく、自分にはどうも才能がないらしいというのに気がついた。それでもスポーツに対して、憧れや憎しみなどの特別な感情を抱くことはなかった。

 はじめてボクシングに出会ったのは、社会人一年目の年だった。後楽園ボールの近くでの商談が終わり、上司に連れて来られたのがキッカケだった。あれは一種の激励だったのだと思う。その試合はプロとして、初めてリングに立つボクサーたちの試合だったから。
 その日見た試合たちは、ボクシングの歴史に名を残すようなモノはひとつもなかった。選手たちには申し訳ないが、断言しても良い。だが、自分とそう歳の変わらない男たちが、緊張で硬くなった表情でファイティングポーズをとっているのを見た時、胸の中から燃えるような感情が湧いてくるのを感じた。私は人を殴ったことも、殴られたこともない。しかし、目の前で行われているのが、ただの暴力とは何かが違うのだとわかった。もちろんどちらかの選手がパンチを食らうたび、自分が殴られているようで目を閉じたくなる。見ているだけで汗がにじんで、男は膝の上で拳をキツく握った。
「倒れるなよ」
隣に座っている上司が、呟くように口にした。一瞬その言葉が自分に向かって放たれたのかと思い驚いた。今思い返してみれば、本当にそうだったのかもしれない。もし彼に会うことがあれば聞いてみたいが、きっと覚えていないだろう。
 いつの間にか打ち合いをしていた選手が、ロープを背負っている。素人でもわかるくらい強烈なアッパーが入り、顎が浮く。しかし、打たれた選手の目は死んでいなかった。倒れるな! と自分もそう願った。ただ不思議だったのは勝って欲しい、とは思っていなかったことだ。勝ち負けではなく「どうか諦めないでくれ」と祈った。パンチをもらっても立ち続ける姿に、運命の相手にでも出会ったみたいに全身がビリビリと痺れ、気がついたらボクシングの虜になっていた。
「勝者! 青コーナー青木!」
人のまばらなホールにレフェリーの声が響く。かっちりとスーツを着込んだ男は、目の前のリングに立つ、諦めない勝者に向かって、惜しみなく拍手を送った。
040
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 03/07/2026
25巻で鷹村さんが達也くんいますか? って言うの好き過ぎる ラフ/青木村とちょっと鷹板一
 飽きるほど聞いた足音が、いつものリズムで階段を上がってくる。木村はベッドに寝転んだままチラッと時計を見た。ノックも遠慮もなしに扉を開けた幼馴染が、床に転がしたボストンバッグの上に手に持っていた鞄を放り投げた。ばすん、と乾いた音がして、木村は「おー」と返事をする。さっきのが挨拶の代わりかなんかだろう。何百回と繰り返された行動は、段々簡略化されていく。たぶん、これが大人になるってやつで、こういう刺激のない日常だって、生きてることに変わりはない。オレたちだって、いつまでもガキのままじゃいられねえもんな。
 青木はそのまま木村を避けようともせずにベッドに腰を下ろしてくる。ギリギリで青木のケツを避けた木村が非難しようと身体を起こすと、目の前でポテトチップの袋が大きな音を立てて開いた。
「危ねえだろうが!」と非難しようと開いた口は「それオレが買ったヤツじゃねえか!」と言う言葉にすり替わった。せめて自分で買って来い、自分で。
「あと布団の上で食うんじゃねえって何回言えばわかんだよッ」
「固えこと言うなよ〜〜、お袋さんに聞いたら良いって言ってたモン」
「ライト級のボクサーがモンとか言うな、気持ち悪ィな」
はい、あ〜ん♡ と差し出されて、反射的に口を開ける。そもそも他人の家のキッチンに寄ってから来るなよ、と思ったが今さら青木に言ったところで仕方ない。もぐもぐと口を動かしながら、木村は他人ん家で我が物顔で振舞う幼馴染を更生しようとするのは諦めた。全部食われる前にと、読んでたマガジンを閉じて袋に手を突っ込む。あっという間に一袋平らげた青木が、仕上げとばかりに指をぺろりと舐めた。
「木村あ、コーヒー」
「飲んだら帰れよッ!」
ゲシ、と足で小突くと、木村はわざと足音を立てて階段を降りた。
「お お邪魔してます」
「木村のクセに気が利くじゃねえか」
「噂には聞いてましたけど大きい水槽ですねえ! これはアロワナに合うわな!」
……増えてやがる。
コーヒーを二人分淹れて戻った木村が見たのは、自室にぎゅうぎゅう詰めになっている鴨川ジムのメンバーだった。ジムでだってむさ苦しいってのに、なんだって自分の部屋で顔を突き合わせねえといけねえんだよ。
思わず怒鳴りそうになった木村は、コイツらのペースに乗ったら負けだ、と歯を食いしばった。礼も言わずにコーヒーを掻っ攫って行った二人はともかく、どうせ鷹村に無理矢理連れて来られただろう、一歩と板垣にはコーヒーくらい出してやるか。と、再び腰を上げたところで鷹村が深妙な顔をして木村の肩を叩いた。
「いやあ、まさかここで負けちまうとはな……。お前も早く読んだ方が良いぞ」
「先週の引きからこうなるとは思わねえよなあ」
開いたマガジンの前で感慨深そうに感想を喋る鷹村と青木に、木村はぶちり、と何かが千切れる音を聞いた。
「ふざけんじゃねえッ!」
何先に読んでんだよ! つーか百歩譲って読むのは良いとしてもネタバレするヤツがあるか!
優男風の見た目に反して、案外気の短い木村が大声を出すと、一番年下の板垣が呆れたような顔をした。
「漫画でキレるとか、さすがに大人気ないですよ」
大人になりきれない飼い主を慰めるかのように、水槽の中でアロワナが大きく跳ねた。
020
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 02/07/2026
二人がボクシング(鷹村さん)に出会う瞬間も好きだ ラフ/炎の青春 青木村
 ぬるい風が開け放した扉から中へと吹いている。
 木村は体育館の壁に背を預けると、かけていたサングラスを胸ポケットにしまった。天井から吊るされた緑色のネットの編み目から、女子がバレーボールをしているのが見える。試合の形式を取っているがほとんどお遊びのようで、ボールが床に落ちると黄色い歓声のような声が上がった。目の前の冴えない男たちのバスケットボールの試合を観るよりはマシだったが、ザラついた胸をうちを潤してはくれない。隣に座っている青木も、さっきから熱心に女子を見ているものの、ちっとも楽しそうにはみえなかった。そういえば、と木村はあの気に食わねえ女の姿が、見当たらないのに気がついた。まあ、真面目に体育をやるってタマでもねえか。
 滑らないよう磨かれた光沢のある床を室内用シューズが蹴る度、鳥の鳴き声みたいな音が響く。こんなんで心と体が健康になるなら世話ねえんだよ、と木村はポケットから煙草を取り出そうとして、教師がいることを思い出した。サボりについては干渉して来ないが、煙草まで吸い出してはいくら事なかれ主義の先公だって黙っちゃないだろう。だりぃな、と思って舌打ちをする。こんなんなら外で喧嘩でもしていた方がマシだったじゃねえか。木村は何に苛ついているのかわからないまま壁に向かって拳を振り上げた。
 キャア、とはしゃぐ声がして、どちらかのチームに一点が入る。体操服から伸びる細い手足は作り物のようで、よっぽど隣でだらしなく座っている男の足首の方が生々しかった。いまは柔らかい身体を抱き寄せるより、もっと頭をかち割るような、ガツンと来るものが欲しい。何かが足りないのはわかっているのに、その「何か」がなんなのかわからなかった。四角く切り取られた空が青く澄んでいて、それが余計に木村を息苦しくさせた。
「くそったれ」
外にいた時よりここから見上げる空の方が、青が濃いなんて、そんなのおかしいだろ。

 浮上する意識の中で木村が最初に感じたのは、痛みではなく寒さだった。服の下にあるコンクリートの冷たさに目を覚ますと、とっくに陽は落ちて辺りは暗くなっていた。長い間気を失っていたらしい。鷹村と呼ばれていた男と、そいつと一緒にいたスカしたガキの姿はない。
 木村は身体を起こそうとして思わず痛え、と声を漏らした。最後の一発を食らった箇所どころか、頭から足の先までの全身の筋肉が、ズタズタになったみたいに痛む。とは言っても、乱闘でやられた傷じゃない。閃光のような一撃が身体を貫いたせいだ。あれがボクサーのパンチか……。そう思っていると、隣で身じろぎをする音が聞こえた。情けなく呻き声を漏らす青木も、同じように立ち上がれないらしい。殴られたせいか腹に力が入らなくて、お互いボソボソと息を吐くように喋った。格好のつけようがないほどコテンパンにやられたというのに、何か憑き物が落ちたような不思議な感じがした。もちろん無様を晒した自分には腹が立つし、やられっぱなしは性に合わねえ。ただ、化け物みたいに強いヤツがこの世にはいる、ということが希望みたい思えた。たぶんバカなんだろう。そんな当たり前のことに、殴られるまで気が付かなかった。
「それまで何十回でも何百回でも勝負してやるぜ」
そう口にした幼馴染の声を聞いて、ああこれは長くなりそうだ、と木村は思った。それはあの鷹村に一発入れるなんてオレたちには不可能だと、イモを引いた訳ではなく、もっと漠然として予感めいたものだった。
でなければ、こんな風に地面に転がって見上げた星空が、なんだか悪くねえなんて思うはずねえよな?
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 01/07/2026
27巻の真理ちゃんにお辞儀する青木村とお前のタイプだったろ? って言うのが好きすぎて書きはじめたけどなんか違う話になった ラフ/一鷹青木村の雑談
 一歩が階段を降りてロッカールームの扉へ向かおうとすると、少し開いた扉から聞き慣れた三人の声が聞こえてくる。ぼそぼそと話し合う声は低く真剣そうで、何について喋っているのか外からではよくわからなかった。
「やっぱこっちだろ」
部屋に入った一歩は三人に向かって挨拶をする。しかし、聞こえてないのかそれどころではないのか、三人はベンチの真ん中に広げた雑誌を囲うように立ったまま返事をしない。それどころか、顔さえ上げなかった。一歩は荷物をロッカーに仕舞いながら、何か大きな試合でもあったのかな? と首を捻った。昨日八木さんと話した感じだと、しばらくみんな試合はなさそうだったけど。
「いやいや、こっちも中々だぞ」
一瞬、エッチな本だったりして……と不埒な考えが頭を過ったが、さすがにジムだし(鷹村さんはジムでエッチなビデオ観てたけど)深妙な表情だし(大阪に行った時は夜のお店選びの方が熱心だった気がするけど)そんなワケないよね、うん。と頭を振るって邪な考えを追い出した。
「なにかあったんですか?」
青木と木村の間から覗き込むように、広げてある雑誌を見ようとすると鷹村がバシッと写真を叩きつけながら言った。
「バカ、こういうのは肉のつき方が大事なんだよ」
お前もそう思うよな? と顔面に開いた雑誌を突きつけられ、一歩はおずおずと焦点が合うところまで下がった。躊躇いながら顔を上げた一歩の視界いっぱいに、悩ましげなポーズをとるグラマラスなお姉さんが映る。
「な エッチな本じゃないですかッ!」
「あ〜〜? 今さらカマトトぶってんじゃねえぞ」
鷹村から雑誌をひったくった一歩が、勢いよく雑誌を閉じる。鷹村は面白くなさそうな表情で、ジジイには告げ口するなよ、と凄んだ。
「せめてお家で見て下さいよ!」
まったくもう! と顔を赤らめる一歩の肩に、木村が手をかける。
「まあまあ固えこと言うなよ」
男なら誰でも興味あるのは当然だろ? と諭されるように言われて、一歩は戸惑いながら「それはまあそうですけど……」と頷く。
「一歩には久美ちゃんがいるんだし、お前と一緒にしたら可哀想だろ」
コイツ清楚っぽいお姉さんがタイプなんだけどよォ、むっつりクンなせいで大抵フラれてやがんだよ。と口にする青木の顔にはハッキリ哀れだよな、と書いてあった。
「しかもこの中でナース服選ぶたぁ、未練たらしいにも程があるだろ? お前はこんな風になるなよ」と、木村に掴まれた反対側の肩を叩かれて、一歩は顔を引き攣らせた。なんて言うか巻き込まないで欲しい。
「ブスばっか選ぶお前に言われたかねえよ!」
木村はそう大声を出すと青木にの胸ぐらを掴んだ。取っ組み合いに発展しそうな雰囲気に、一歩は助けを求めるために鷹村を見上げた。
「モテねえ同士で喧嘩してんじゃねえ」
しょうがねえやつらだな、と一喝した鷹村に向かって、青木と木村は声を揃えて叫んだ。
「あんたも大概じゃねえかッ!」
010
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 30/06/2026
2026.08.30(日) COMIC CITY VEGA 2026 BEST BOUT にサークル申込しました! 新刊はラフでアップしているような、熱中時代の青木村をメインに鴨川ジムメンバーのわちゃわちゃっとした短編集になりそうです! まだ原稿に手をつけてないですが、コピ本とか無配も作れたらいいな〜〜っと思ってます!
040
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 30/06/2026
トレーナーと選手の関係大好き、篠田さんに懐きはじめた青木村に夢を見ている ラフ/鴨篠青木村とちょっと八木ちゃん
「篠田くんどうじゃ?」
あの二人の様子は、と鴨川源二は事務所から出たとこで、トレーナーの篠田に声をかけた。つい数ヶ月前にジムへとやって来た若い男たちは、今日の分のロードワークのノルマを終えて、他の練習生たちに混じって熱心に練習に取り組んでいるようだった。鴨川ジムの扉を叩いて来た時は、剃り込みとポンパドールにサングラスをかけたチャラチャラとした格好で、挨拶のひとつも出来ない有様だった。発散できない熱を抱えてるのが一目でわかる二人のを若者を、鴨川は説教して言葉どおり意味で叩き出してやった。その時はその日のうちに頭を直して戻ってくるとは思わなかったが、なんだかんだと文句を言いつつ基礎体力作りの走り込みにもめげずに毎日やって来るようになっていた。
「最初どうなることかと思いましたが、お互いの存在がいい刺激になってるようですよ」
これならある程度モノにはなるでしょうね、と篠田は腕組みしながら簡潔に言った。鷹村を倒す以外にも目標を作ってやっても良い頃だと、と続けて口にしたところで、こちらに気がついた青木と木村が駆け寄って来る。
「篠田さん! ちょっと見てくれよ」
近くまで寄ってから篠田の後ろに鴨川もいることに気がつくと、二人はウォーッスと軽く頭を下げた。礼儀としてはまだまだだが、数ヶ月前と比べれば精神面でも成長したと言っても良いだろう。
「鷹村とのスパーの前にミット打ち頼めねえっすかね?」
木村がグローブを手にはめながら声を掛けると、反対側から青木が乗り出した。
「おい! 木村ふざけんな、オレが先に声かけてただろ」
「うるせえ! 昨日ほとんど手も足も出なかったクセに、よく言うぜ」
「お前にゃ言われたかねえよ! つーか、だから篠田さんに見て貰いてえんだろうが!」
順番に見てやるからそんなことで喧嘩するな、と間に挟まれた篠田が困惑しながら声を上げる。しかし二人は耳を貸そうともしないばかりか、言い争いをヒートアップさせていく。
「篠田さんはどっちと練習するんスか?!」
ついには両腕を青木と木村に引っ張られて、大岡裁きでもやっているような絵面になっていた。負けず嫌いという性質はボクサーに必要な資質だ思っているが、これはただのわがままなガキじゃわい。そうやってため息を吐いた鴨川が、二人を止めようとしたところで、八木がこちらに向かって歩いてくる。
「モテる男はツラいですねぇ」
心から感心したような声色に思わず吹き出しそうになって、鴨川は誤魔化すように手に持っていた杖で青木と木村の頭を叩いた。
021
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 29/06/2026
ディスコで話してたネタを書きたかったのに上手くまとまらなかった…… 木村がお花屋さんで仕事してるの、いつ考えても新鮮にやばい ラフ/25巻一鷹青木村
「お家がお花屋さんって、なんか良いですよね」
鷹村さんの頰に一発入れたのがいつなのか、と訊いてひとしきり青木と木村に揉みくちゃにされた一歩がボサボサの髪のまま言った。
「そうかぁ? 別に釣り船屋と変わんねえだろ」
どかっとベッドに座り直した木村が、本当にわかってなさそうな声色で返事をする。興味のなさそうな鷹村の横で一歩はとんでもない、とばかりに首を大きく横に振った。
「ぜ 全然違いますよ!」
父親が遺した家業を恥じたことは一度もないし、大変さはどの仕事にもあると思っている。けれど、様々な花が所狭しと並んでいる店内は美しいし、花は贈り物であることも多いから単純に素敵な仕事だな、と一歩は思ったのだ。
「若い女も来るしな」
「そんな、不純ですよ」
だらしいのない顔で口元を緩めた鷹村に、一歩はお花屋さんに失礼ですよ! と頰を膨らませた。
「いやいや、この前コイツ、客のねえちゃんに『貴女をイメージして作りました』とかカッコつけてほざいてたからな」
花束なんて他人に渡すモンにイメージもクソもねえだろ、と青木がベッドの上から嘲るように言った。付き合いだけは長いけどよォ、オレには花の一本も寄越したことねえからな、と言って軽蔑するような表情をしてから、こいつ昔からケチなんだよ、と続けた。
「接客は良いだろ別に! つーか、オマエにも花やったことあんだろうが。ったく、打たれすぎて脳みそ小さくなってんじゃねえのか」
え? と一歩と青木が虚をつかれたらしい声を上げる。ぽかんとした顔をした後、青木は急に頭を抱えてあーだのうーだの呻き声を漏らし出した。
「青木」
その様子に何かを察したらしい鷹村が、青木の名前を呼ぶと後ろめたいことでもあるかのように身体をビクッと跳ねさせた。
「貴様むかーし、女のファンなんかいるはずもねえのに花もらったとか言って、うれしそうに部屋に飾ってた時あるよな?」
「アンタ本当に失礼だな! オレは木村と違ってデビュー戦の後にサインと握手してんすよ」
どうせ相手はブスなんだろうが、と一蹴すると、鷹村は不自然に視線を逸らす木村の肩に手をかける。
「こんくれえの向日葵だよ。そん時は九月もほぼ夏だなと思っただけだったんだが……今思い返せば向日葵なんて、元気しか取り柄のねえ誰かみてえだと思わねえか? なあ木村」
「な なんのことっスかねえ」
鷹村さんに捕まってウロウロと視線を彷徨わせる先輩二人を眺めながら、一歩はやっぱり花を渡すのは照れくさいよな、と思った。梅沢くんが用意してくれた花を退院する母親に渡すのでさえ、誰に見られてるわけでもないのに少し気恥ずかしかった。買いに行ってくれた梅沢くんってすごいや。
「あーオレも愛しのトミ子に似合う花でも買って帰るかな〜〜」
空気を変えようと大きな声を出した青木を鷹村が予告もなく殴りつける。
「あのブスにはラフレシアでもやっとけ!」
「失礼にも程があんぞ、テメェ!」
結局またど付き合いをはじめた三人を他所に、一歩は久美さんはどんな花が似合うかなあ、と思った。きっと明るい色の可憐な花が似合うに違いない。想像して思わずニコニコしてしまったのを青木と木村は見逃さなかった。 「これも全部てめえのせいだぞ」二人は声を揃えて一歩に向かって怒鳴ると再び睨みつけた。
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 28/06/2026
遊んでもらった〜〜!!!! 神田とかいう街、急にパンダがいてよかった…………
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 27/06/2026
でっけえ宮田にも食べさせてやったぜ! 鴨ティー本当にみんな大好き ラフ/宮田と青木とちょっと木村
「お、宮田じゃん」
青木は暖簾を下げながら、鴨川ジムから去って行った男を目敏く見つけると、朗らかに声をかけた。ブレザーのポケットに手を突っ込んで歩いているだけなのに、なんかサマになんだよなぁと呑気なことを思う。どう見ても中学生にしか見えない一歩とは大違いだが、ボクシングにかける情熱——としか言えない、ひたむきな熱が二人を結びつけている。それは新人王戦が終わり、約束がまだ果たされていない今も続いているんだろう。
「休日も学校たあ、学生も大変だな〜〜」
「絶対思ってないですよね」
「まあな」
笑い声を上げた青木に、宮田は呆れたようにため息を吐いた。
「で、呼び止めてなんですか? オレも暇じゃないんで、用がないなら帰りますよ」
「まあまあ、飯でも食ってけよ」
ほとんど強引に宮田の背中を押して、カウンターに座らせる。記憶の中にあるより高い肩の位置に、青木はあれっ? と首を捻った。コイツこんなにデカかったっけ?
「オマエなんか会わねえウチにデカくなった?」
「なんですか。その面倒な親戚みたいなセリフは」
たぶん宮田なりの会話のフリだと思って、出会った時はこーんなにちっこかったのによ、と指で豆粒大の隙間を作る。が、見当違いだったようで、宮田はにこりともしなかった。
「……今日は木村さんと一緒じゃないんですね」
「なんでバイト中まで一緒にいなきゃなんねえんだよ! アイツならさっきメシ食って帰ったよ!」
結局のところ一緒にいるんじゃねえか、と宮田は思ったが、口には出さなかった。この二人にこっちの常識が通じないのはすでに知っている。
「というか店閉めてましたよね。良いんですか」
自分の店ってワケじゃないのにこんな勝手なことをして、という意味を込めて宮田は言った。オレが食べていくとも言わないうちから青木が、勝手に調理をはじめたからだ。彼が怒られようがクビになろうが知ったことではないが、その責任を一部でも負いたくない。
「遠慮すんなよぉ! 新人戦やらなんやらでバタバタしてて、オマエの誕生日も祝えなかっただろ?」
そういうことじゃねえ……! 少しでも気を回したのがバカみたいで、宮田はガクリと体から力が抜けるまま項垂れた。この人はもう好きにさせとこう。どうせ、このラーメンもしばらく食べることないんだろうから。
「ん? なんか言ったか?」
洗い物をする青木が手を止めて顔を上げる。宮田はラーメンのスープを飲み干して、なんでもないという風に首を横に振った。
「アンタボクシングはイマイチだけど、やっぱこっちの才能はあるね」
普段そっけない態度で表情を崩さない宮田が、子どもっぽい顔で笑った。
021
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 26/06/2026
どうしてもちび宮田に青木のラーメンを食べさせたかった。食べさせたらでっけえ宮田にも食べさせたくなってる。 ラフ/鷹宮青木村
 鴨川ジムからそう遠くない、暖簾の出ている店を宮田は見上げた。どうやら青木が働いてる店は中華岩田というらしい。前を歩いていた鷹村が無造作に扉を開けて中へ入っていくのに続いて宮田も店内へ足を踏み入れた。開ける前から漂っていた匂いが、扉を開けてから一層強くなる。店内はこざっぱりしていたが、染み付いた油の匂いは取れないらしい。カウンターの内側にある厨房どころか店中がキッチンになったみたいに匂いがする。これじゃあ、何も食べなくても座っているだけで自分も同化しそうだな、と思った。
 こういった店にはあまり来たことがない。宮田はきょろきょろとあたりを見渡しながら、鷹村と木村の間にあるカウンターの椅子に飛び乗るように腰掛けた。背もたれのない、赤い小さな椅子に座ると足がほんの少し浮く。隣の二人は窮屈そうにカウンターの下へ足を捩じ込んでいるのを見て、宮田は面白くなさそうに頬杖をついた。ここにいる誰よりも先にボクシングをやっているのに試合もできやしないし、言われるまでもなく自分の身体が子どもなのがもどかしかった。
「ラーメンでいいか?」
厨房に立っている青木が宮田に訊く。鷹村さんはいつもの、だとか大盛りにしろよ! だとか言っていて参考にならないし、木村さんに至っては着いた途端に雑誌を広げ出して注文する素振りもない。メニューを見ても中華料理らしきものの名前がずらりと並んでいるということがわかっただけで、どうしたらいいのか良くわからない。宮田は包丁を握った青木に向かって頷いた。
「それでいいよ」
「あいよっ」
店員らしい返事をして料理を始める青木に、こうやって働いてる姿は確かに年上っぽいな、と思った。普段は頭の悪そうなことばかり言っているか、ボクシングのボの字も知らないんじゃあないか? って発言ばかりでとても年上とは思えないけど。
「腹減ってねえんじゃなかったか?」
湯気の立つどんぶりを前にして鳴った腹の虫に、隣で木村がニヤニヤしながら言った。三人のこう言うところが好きじゃない。言い返しても意味がないので前を向いたまま無視をする。
「お前ら遊んでねえで、伸びる前に食っちまえよ」
「ウォーッス」
麺を啜りはじめた二人に倣って宮田も割り箸を割る。透き通ったスープに浮かぶ具材は絵に描いたようなラーメンで、宮田もよく知ってる食べ物だった。
「!」
なあんだ、と思ってひと口啜ってから宮田は驚いた。大袈裟じゃなく社交辞令でもなく、本当に美味しかったからだ。
「うめえだろ?」
「なんで青木じゃなくてお前が自慢げなんだよ」
何故か得意げな木村と呆れた顔の鷹村のあいだで宮田は麺を頬張った。すげえ、スープを飲んだあとの水まで美味い。
「気に入ったか?」
答えは聞かなくてもわかる、と顔に書いてあるのは気に食わなかったが、それを差し置いてもラーメンは美味しかった。
「まあ、たまに食べに来てやっても良いかな」
こんなの食べてたら簡単にウエイトオーバーしそうだしね、と続けると青木はやっぱ可愛くねえなあ、悪態をついた。宮田の頭を無遠慮にかき混ぜて、嬉しくて仕方がないという風に笑いながら。
031
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 25/06/2026
どんなに知ってる言葉でもなるべく調べてから使おうと思っているのですが、紙の辞書を引くほどはちゃんとしてないのでネットの辞書を引いてるんですが(ここまで前置き) たまたま「労って」と活用形で検索したら、AIくんに優しい言葉をかけられて泣いたし、「抑えきれない」って言ったら驚かれた
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 25/06/2026
熱中時代のちび宮田が本当に好きなので、先輩ズにかわいがって貰おうと思ったのに、ラーメン食べさせるまで辿り着かなかった ラフ/熱中時代鷹宮青木村
031
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 24/06/2026
トモダチについて話す梅沢と一歩
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 23/06/2026
炎の青春時代の2ケツもプロになってからの2ケツどっちも違ってどっちもいい、一線超えられない凡庸な木村が好き ラフ/2ケツ青木村
 蹴り飛ばした身体が、ゆっくりと倒れる。その向こう側で、甲高い女の悲鳴が響いた。視界に入る学生服を手当たり次第に殴っていたら、いつのまにか人だかりが出来ていた。こりゃ通報されるのも時間の問題だな、と木村は思って、まだ立ち上がる気力のある奴らの間から急いで青木の姿を探し出す。
「おい、ズラかんぞっ」
気を失っているのか抵抗する気力すらないのか、両手を下げた男の胸ぐらを掴んだままの幼馴染に向かって叫ぶ。どう考えてもやり過ぎだった。売られたケンカとはいえ、こんなことを続けてたんじゃオレたち二人ともいつブタ箱にぶち込まれてもおかしくねえぞ、と他人事のように冷めた気持ちで木村はバイクのエンジンをふかした。
「ちゃんと掴まってろよ」
「命令すんじゃねーよ!」
今にも噛み付いてきそうな青木に、木村は言い返す代わりにアクセルを目一杯開いた。加速するバイクの唸り声の後に、慌てたような声がして上着が引っ張られる。大人しくしがみつく気になったらしい。
 最初のうちは殴ったり殴られたりするのも面白かった。だけど今はどうだ? ケンカなんか強くたって何の役にも立ちやしない。だが、他にもやりたいこともなければ、今更真面目にお勉強なんか、する気になるわけがねえ。
 交差点に入ってくるトラックを横目で見ながら、木村はさらに速度を上げた。ぶつかるつもりもなかったが、避けるつもりもなかった。永遠に続きそうなスローモーションのあと、ギリギリでトラックにかわされて、バランスを崩したバイクは滑るように横転した。背後に乗っていた青木と共に歩道に転がるように飛ばされて、揉みくちゃになりながら空を仰いだ。生きている、と実感した瞬間にドッと汗が吹き出し、地響きのような動悸が頭の中でこだました。それから高音で鳴り響く、遅過ぎるアラートみたいな耳鳴り。
「バカヤロウ! 轢き殺したくねえのかよッ」
何に対して怒っているのか自分でもわからないまま叫ぶと、無言の幼馴染からギャグみたいなパンチが飛んできた。
041
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 22/06/2026
炎の青春と熱中時代が好きすぎるし、木村にタバコ強請る青木が好きすぎる ラフ/喧嘩青木村
「なんか面白えことねえのかよ」
ズリ下がるサングラスの隙間から、憎々しいほど晴れた青い空を睨み付けた。校舎の影になったグラウンドの端にあるこの場所は、いつ来ても雨上がりのように湿っていて日陰に生える植物の青臭いにおいがする。
 隣には怪我をしてるのか返り血なのかわからない、赤やら茶色やらで汚れた青木が、気だるげにズボンに手を突っ込みながらだらりと座っていて、興味なさそうに地面に転がっている同じ制服を見下ろしていた。一年ばかり先に生まれた優位を振りかざしてきた割に大したことなかったな、と木村は思った。
「ぅお、あちッ」
焼けるような痛みに咄嗟に手を離すと、火をつけてから数度しか口をつけてないタバコが地面に転がった。もったいないことをした、という後悔じみた気持ちがそのまま苛立ちに変わる。喧嘩に勝ったという満足感はとうに薄れ、暴れたせいで汗ばんだシャツが気持ち悪い。湿った土の匂いの中で、線香のような白い煙が立ち上っている。
「木村ぁ、たばこ」
くれ、という用件さえも面倒くさがり、語尾をだらしなく間延びさせた幼馴染の声に、木村はわざとらしく舌打ちをした。
「もお、ねえよ」
「あ゛?」
機嫌悪そうに凄む青木に、木村は顎で地面を指した。シケモクとなったそれが、名前もわからない雑草と虫の間で燃えていく。くそったれ、ないと思うと余計に吸いたくなるのが人間の性だ。ポケットの中で空箱を握り潰すと、人間を殴るより薄っぺらい、ぐしゃっという音が聞こえた。
052
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 21/06/2026
そろそろ8月の原稿をしなきゃな〜〜と思いつつ助泰本のラフ、助泰本だけど助泰要素ほとんどないかもしれないな……の気持ち
083
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 18/06/2026
ミルサブ観ようと思って休みとったけど、変な時間しかなかったので予定を変更してずっと行ってみたかった文喫行って本読んできた〜〜〜!!! 帰る前に食べたジェラート、チョコミントがめちゃくちゃ通学路だった(ミントが葉っぱの味だったの意)
070
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 13/06/2026
バリーユアグローがあると下調べして行ったのに買うの忘れた…………… 図書館行くの面倒だと本買っちゃうから図書館の隣に住みたい📚
040
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 13/06/2026
午前中からビールをキメたので今日はご機嫌!!!!!
070
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 08/06/2026
PMSの眩暈がひどくて毎回しんど〜〜〜い泣 偏頭痛と下腹部の痛みだけで手一杯だよ〜〜〜;; それはそれとして、ダンボール片付けてたらアルジャーノンとキングのIT出てきて、自分の興味がある本は過去の自分が買っといてくれてるのて助かる〜〜
020
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 03/06/2026
仕事に、ご意見送信に、海外メディアへの英作文作成を頑張っているから、ご褒美を買いに行きました📚 レベッカ・ブラウンずっと復刊するの待ってたから手に取れてうれし〜〜〜い!!! あとヒトモシちゃんお風呂にいれた✌️
030
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 01/06/2026
2026.08.30(日) COMIC CITY VEGA 2026 BEST BOUT VG2026 忘れないうちにサークル申込しました!!! 青木村のなんらかの小説本が出る予定です🥊 よろしくお願いします〜〜!!!
030
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 01/06/2026
引っ越して以来謎だった電気のスイッチが玄関外の真上(アパートの廊下)の電灯のスイッチだと判明した…………………お隣さんって善意で廊下を照らしてくれてたんだ……………… 写真は全く関係のない区役所
040
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 28/05/2026
今日の展示で買った額装にルノにを移動し、元々ルノ入れてたやつをワイエスの洗濯物にした〜〜!!!
060
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 28/05/2026
ナポリピッツァの耳の部分に砂糖まぶして食べるのめちゃくちゃ美味しくて好きなんだけど、なんか既視感あるなって思ったら、シナモンフォッカチオだ………!!!
070
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 27/05/2026
ライブ本当に本当に良かった;;;; 曲も最高だったし、ライブハウスの音響も良かったし、なんか照明が最高だったんだがあれはなんだったんだ………… 当たり前なんだけどめちゃくちゃ歌が上手い、好き 写真は治安が終わってるいろ葉
160
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 27/05/2026
仕事後の酒がうめえ〜〜〜!!!! 新宿久しぶり過ぎて懐かしくて吐きそう
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 24/05/2026
風邪引いてせっかくの休みを寝て過ごすことにむかっ腹が立ったので、ヒトモシちゃんとくぬぎでワンタン食べてきた🍜 移転しててびっくりしたけど、相変わらず美味しかったからフォロワー横浜来たら一緒に行こうね……
080
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 16/05/2026
本なら売るほど3巻はすぐ買って読んで泣いたけれども、熱海くんの5巻もでとるやないかい!!! やった〜〜〜!!! あとアリ・スミスの『五月 その他の短編』が文庫になってたので、気になってる方はぜひ(写真は四六判)
060
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 15/05/2026
死ぬほど天気が良いからテラスみたいなところで飯を食べようね、ヒトモシちゃん 昨日の雷雨のせいか海濁ってるな〜〜
060
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 10/05/2026
引っ越したし行ったことないスーパー行こ! って思ってまいばす行ったら母の日でカーネーション貰った🌷 めちゃくちゃうれしい〜〜!!!
060
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 10/05/2026
許可頂いたので書きました〜〜!!! #三門市の不思議の話
 夕暮れ時の空に、もう鳴らないはずの踏切が、サイレンの様なけたたましい音を立てて唸る。遮断機は壊れたままなのか降りて来なかった。ぶらぶらとあてもなく歩いていた私の心には、こんな警戒地区の方まで来なければ良かったな、という気持ちとやっぱりそうだよね、という二つの気持ちが波のように寄せたり返したりしていた。
 少しばかりの逡巡の後、今や錆びて赤くなったレールに足を乗せようとして、誰かに見られているような気がして振り返った。もちろんこんな捨てられた場所に人がいるわけなんかない。
 なんとなく怖くなって真っ赤に染まった影を見詰めていると、あれだけ煩かった警報器の音が止み、耳元に親切そうな声色で「まちがってますよ」と声が響いた。
062
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 07/05/2026
住所が定まってない時、手元にチーヴァーがあったので読んでたら『引っ越し日』が収録されてて、引っ越しも文学だな〜〜って思って、じゃあ勝手に(脳内で)引っ越しアンソロジー編むか! って思ったけど、カーヴァーの『こういうのはどう?』くらいしか思いつかなかった…………
010
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 07/05/2026
家がなくなったりしてましたが元気です🐟 5/6のスパザワに足を運んで下さった方はありがとうございました! 新刊は落としましたがJAさんのおかげで既刊の再版とコピー本を机に並べられました………!!! 次は8月のベストバウトに木青で参加する予定です!!!
0112
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 21/06/2025
集明社トリオだった3人の続き的なもの 一生雑談してる
050
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 20/06/2025
露先生と十五先生と京香ちゃんってなにトリオなんだろう……… 本にしたい欲だけがある…………できれば寄稿も募りたい…………自分だけじゃ悲しいから……………
091
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 13/06/2025
やった〜〜〜〜ッッッ!!! 新刊が届いた〜〜〜📚 照明が黄味がかってるので若干色味が違うんですが、アラベールにPPの加工なしで大正解だ…………! ありがとう由丹さん!!! 段組は前回の文字サイズが小さすぎたかな〜〜と思ったので、0.5p上げたんだけど、小さくても良かった気がするな??
010
片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 10/06/2025
2025.6.15(日)東4 す06a 星に願いを 2025 -day1- 黄金のハートを狙い撃ち FISH POOLのお品書きです! 仗億既刊すべてを少部数持ち込みます📚 机には並べないので、ご入用の方はお声がけ下さい……! 別ジャンルの本は実物見たい方がいれば持って行くのでご連絡下さい〜〜🐟 また会場残部を通販に回す予定です! 本が手元に届き次第また告知させて頂きます……!
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片貝ゐわし @fishpool.bsky.social · 06/06/2025
2025.6.15(日)東4 す06a 星に願いを 2025 -day1- 黄金のハートを狙い撃ち FISH POOL 新刊・ジョルミス小説本 『正しい食事と生活』 B6 64ページ 3.8万字 500円 表紙:ふふさん(@fufufu3561) 装丁:由丹(@via_junk)さん 原作〜ざっくり恥パ軸で、生活無頓着🐞に人生の楽しみを教えたい🔫と2人を見守る💔と振り回される🍓に➗を添えて……って感じの内容です!全年齢向けですが、モブ、下ネタ、キス、受傷描写がありますので苦手な方はご注意下さい! よろしくお願いします🐟 ▼段組サンプル
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