パク・ミンギュ 吉原育子訳『亡き王女のためのパヴァーヌ』
顔の整った男の子と絶世の醜女による純愛物語。
寓話的な色調の強い作品なので、作者は意図的に彼女の容貌を細かく描写しなかったのかもしれない。実際、彼女が醜いということは、具体的な身体的特徴よりも、ほとんど周囲の人間の反応によって提示されている。作者が描きたかったのは「実際の容貌」ではなく、「自分は醜い人間だ」という自己認識を植え付けてくる社会の歪さなのだろうとは思うが、しかし、醜さやルッキズムをテーマとするのであれば、髪質や肌、歯並び、体型、表情や着こなしなど、彼女が具体的にどう醜いのかをもう少し克明に描いてもよかったのでは、と思った。