勇気。足りないのは勇気だろうか。きっかけだろうか。あの微笑みがなんなのかわからない、旧知に(参加者は皆解放軍のメンバーなのだから誰にあっても旧知だ!)あったからの微笑みか、それとも目があったからの誤魔化しか、それとも。すこしでも。思いを寄せてくれているのか。あのとき。何も言えなかった解放軍の時の、薄暗い書庫で御伽噺を見つけた自分に、彼女が身を寄せた時の柔らかな空気、鼻腔をくすぐる香り、差し込む光で浮かぶ頰の産毛、瞳に落ちるまつ毛の影。手元の本から自分の顔に映る視線と、上気する頰、ゆっくりと艶めいて動く唇ーーセティさま。あの時触れられなかった自分を呪いたいような、抱きしめてやりたいような気持ち。