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トヨタが富士で勝った! 完璧な戦略で首位に浮上し、残り20分逃げ切り。耐久レースの”超スプリント”決着……アルピーヌが悔しい2位|WEC富士6時間決勝
WEC富士6時間レースの決勝が行なわれ、8号車のトヨタTR010ハイブリッドが大逆転で優勝した。レース終盤に出動したセーフティカー中にピットインした際、一気に首位に浮上し、その後は36号車アルピーヌの猛追を凌ぎ切った格好だ。 土曜日は悪天候に見舞われ、予選が中止となったWEC富士戦。決勝レースが行なわれた日曜日は、上空には分厚い雲が広がったものの、まずはドライコンディションでスタート時刻を迎えた。ただドライとはいえ、コースの所々には、今朝まで降っていた雨の影響でウエットパッチが残っており、難しい状況であると言えた。しかもレース後半には雨が降るのでは……そんな予報もあった。 気温は18度、路面温度は21度である。スタートを告げるグランドマーシャルは、F1で3回王者に輝いたレジェンド、ジャッキー・スチュワートが務めた。 フロントロウにはアルピーヌの2台が並び、3番手にはジェネシスの19号車。トヨタ勢は8号車(セバスチャン・ブエミ)が8番手、7号車(ニック・デ・フリーズ)が13番手からのスタートとなった。 素晴らしいスタートを決めたのは8号車のブエミで、一気に6番に浮上。しかしLMGT3クラスではスタート直後のターン1で複数のクラッシュが起きる大混乱となり、いきなりセーフティカーの出動となった。 この事故でアイアン・リンクスの61号車メルセデスが右フロントサスペンションを破損して緊急ピットイン。プロトン・コンペティションの88号車フォード・マスタングもピットに戻った。またザ・ベンド・マンタイの92号車ポルシェも、リヤにダメージを負ってグラベルトラップにスタック。コースに復帰してピットを目指す途中、リヤのカウルをメインストレート上に落としてしまった。 6周目からレース再開。今度はヴィスタ・AFコルセの21号車フェラーリがコカ・コーラ・コーナーをオーバーランし、スピンしてしまうものの、コースに復帰した。 早めに動いたのは7号車トヨタだった。13周を走り切ったところでピットインし、給油。そして左側の2輪のみミディアムタイヤに交換した。右側の2輪はスタート時のソフトタイヤのままである。 コース上に落ちたデブリを回収するために出されたFCYが解除された35周目、10番手を走っていた93号車プジョーのポール・ディ・レスタは、すぐ前を行く50号車フェラーリをオーバーテイクしに行く。しかしダンロップコーナーで減速しきれず、激しくオーバーラン。大きく順位を落とした。 また36周目を走り切ったところで、首位の36号車アルピーヌがピットイン。しかし同じタイミングでピットインした007号車アストンマーティンに先行されてしまう。 8号車トヨタも38周を走り切ったところでピットイン。こちらはタイヤを交換せず、コースに戻った。 40周目に20号車BMWがピットインし、これでハイパーカークラスは全車が最初のピットストップを消化。これで、フェルディナンド・ハプスブルクがドライブする35号車アルピーヌが首位に立った。 ただその真後ろには、早めにピットインを済ませていた7号車トヨタが迫っていた。その7号車に乗るデ・フリーズは、首位に躍り出ようと42周目の最終コーナーで、35号車アルピーヌのインに飛び込む。しかし両者は接触し、7号車はスピン。シャシーにダメージを負うと共に、5番手まで順位を落とした。 この時点で首位35号車アルピーヌ、以下007号車アストンマーティン、36号車アルピーヌ、8号車トヨタ、7号車トヨタというトップ5の顔ぶれだった。 その直後、LMGT3クラスのハート・オブ・レーシング23号車がコース脇にストップしたことで、バーチャル・セーフティカー(VSC)が宣言。このVSC中にはピットストップが可能なため、各車がピットに傾れ込んだ。 このタイミングで36号車アルピーヌが首位に返り咲き、2番手には007号車アストンマーティン。トヨタ勢は8号車6番手、7号車7番手となった。そしてVSCはセーフティカーに切り替えられた。 50周目からレース再開。トヨタの7号車は、このリスタート時に38号車キャデラックにオーバーテイクを許し、ポジションをひとつ下げてしまう。また38号車のペースはよく、その後8号車トヨタにもプレッシャーをかけ、58周目にはオーバーテイクを成功させた。 63周目、決勝のペースが速そうだと目されていたBMWの20号車が、LMGT3の車両を抜こうとしたところでフェラーリの51号車と接触。これで右リヤタイヤをパンクさせてしまい、緊急ピットイン。戻る途中でリヤカウルも脱落させてしまった。これで20号車BMWは周回遅れとなり、事実上勝負権を失ってしまった格好だ。 このカウルを回収するために、FCYが宣言された。 85周目前後に、アンダーグリーンで各車が2度目もしくは3度目のピットストップを実施。アルピーヌ勢はトップ2を堅持し、007号車アストンマーティン、8号車トヨタがこれに続いた。 レース100周、折り返しを迎えようかという頃から、富士スピードウェイには細かい雨が降り始める。ちょうどその頃には、35号車アルピーヌが首位に浮上した。これは36号車のタイヤが古いためだ。2台で戦略を大きく分けたのだ。 僚友35号車に先頭を譲った36号車はペースが上がらず、アストンマーティンの007号車にもプレッシャーをかけられる。 その後アストンマーティン007号車、アルピーヌの36号車が立て続けにピットイン。このタイミングで007号車が先行することになった。35号車アルピーヌもこの2台の先行を許し、この時点で007号車アストンマーティンがついに首位に浮上した。 なお同じ頃ピットインしたフェラーリの50号車には、ジャッキアップできないというトラブルが発生。力技で車両を持ち上げ、タイヤ交換を済ませたが、大きくタイムを失ってしまうことになった。 さて首位の007号車アストンマーティンには、痛恨の裁定が下る。ピットレーン入り口の白線を、ほんの僅かながら跨いでしまったとして、ドライブスルーペナルティが科されてしまったのだ。007号車はこれで7番手まで後退した。 残り2時間を切ったところで、50号車フェラーリが最終コーナー付近でストップ。ドライブしていたミゲル・モレイラは「クルマの電源が完全に切れてしまった」と無線で報告した。 またその直後、ターン1では、ピットアウトしてきた007号車アストンマーティンと接触して、ブレンドン・ハートレーがドライブする8号車トヨタがスピン。なんとかコースに復帰することができた。 ただ50号車は自力では動けず、回収作業のためVSCが宣言された。 このVSC中には多くのマシンがピットイン。中にはドライバー交代を行なったマシンもあった。 その後SCを経てレースが再開。残り時間は1時間半である。 ただFCYが宣言された際、減速が遅れたとして7号車トヨタ(小林可夢偉)と12号車キャデラック(ウィル・スティーブンス)には、ドライブスルーという非常に重いペナルティが科された。 ペナルティを消化した後も、ふたりはコース上で激しいバトルを繰り広げた。2014年、ケータハムF1で最終戦アブダビGPのみながらチームメイトを組んだふたりの戦いであった。 残り時間が1時間を切ったところで、ターン1でビッグクラッシュが発生した。LMGT3クラスのハート・オブ・レーシング27号車アストンマーティン・バンテージと、ガレージ59の58号車マクラーレン720Sが、メインストレートをサイド・バイ・サイドで走行中に接触。これで58号車の方がスピン状態となり、コース左側のガードレールに激突、大破してターン1のランオフエリアに停車した。27号車の方も、左リヤのホイールが割れてしまうなどダメージを負った。 この事故によりセーフティカーが出動。ピットレーンがオープンになると、各車ピットインし、最後のピット作業を終えた。しかもこのセーフティカー中にサーキットには再び雨が降り始め、最終コーナー側から霧も降り始めた。 各車がこのセーフティカー中にピットストップを済ませると、8号車トヨタが総合首位に浮上。2番手には15号車BMW、3番手には35号車アルピーヌとなり、レース再開を待った。トヨタ8号車は、レース再開までに時間がかかると判断し、燃料の給油量をギリギリまで削ったことが功を奏したようだ。 ガードレールの修復が終わり、残り20分でレース再開。平川亮が乗る8号車トヨタが逃げ、ドリス・バンスールがドライブする15号車BMWがこれを追う。その後方からは、このレースを支配していたはずのアルピーヌ2台が猛烈な勢いで飛んでくる。 残り10分。ヴィクトー・マルタンスが乗る36号車アルピーヌが15号車BMWを抜いて2番手に。首位の平川には「アルピーヌが来るぞ」と無線で檄が飛ぶ。しかし36号車の速さが優っており、すぐに真後ろに追いつかれてしまう。 しかし平川は徹底抗戦。一切隙を見せず、見事に大逆転でのトップチェッカーを受けた。富士スピードウェイは大歓声に包まれた。 2位は36号車アルピーヌ。レースの大半でリードをしてきたアルピーヌであったが、最後のセーフティカーに泣いた格好だ。3位には15号車BMWが入った。 もう1台のトヨタ、8号車は最終的に8位でのフィニッシュとなった。 なおLMGT3クラスは、レース終盤にトップに立ったチームWRTの32号車BMWが勝利。2位は27号車ハート・オブ・レーシングのアストンマーティン、3位はレーシング・チーム・ターキーby