Sign in

微糖

@bitooooo.bsky.social
46 followers 26 following 184 posts

三度の飯より処女が好き なんと成人している

PostsRepliesMedia
微糖 @bitooooo.bsky.social · 20/05/2026
「しょ」でこの変換が上位に出てくるのバグじゃない??バグじゃないか……そうか……
030
微糖 @bitooooo.bsky.social · 26/02/2026
今回の話の切り抜き 土が「雑さんならいざという時に私を始末してくれるでしょう?」って言うのに「果たしてそうかな?」と思ってたので(誰?)、文字に起こせて良かったです
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 16/02/2026
これは大量のサラミを詰め込まれた組頭
150
微糖 @bitooooo.bsky.social · 16/02/2026
エックスくん調子悪い?うちの猫でも見てくれよ
050
微糖 @bitooooo.bsky.social · 16/02/2026
ページ繋がってないけど続き 正統派の転生モノみたいな現パロ
040
微糖 @bitooooo.bsky.social · 16/02/2026
進捗を上げる これは現パロ雑土 ページは繋がっていない
150
微糖 @bitooooo.bsky.social · 06/02/2026
雑若土(3/3)
揃えた。最後に少しくらい良い思いをしても、バチは当たらないだろう。
 何も知らない少年は、悪い忍者に腕を拘束されたまま、まだ逃げるそぶりも見せない。地面に膝をついたまま、夜霧はもう片方の手も細い腕に添えて。
「きみさえ良ければ、今から教えてあげようか?」
「悪いが、その必要はない」



 血の気が引いた。
 すぐ背後から、地を這うような低音が響くまで、気配を感じ取れなかった。
 全身が凍りつく。
 うまく、呼吸ができない。
 吸い込んだ息を吐き出せないまま、唇を震わせる夜霧の正面で、対照的に尊奈門はあどけない顔をパッと輝かせた。
「雑渡さま!」
 振り向かなくても分かる。
 この距離まで踏み込んでも、気配ひとつ悟らせない男。狼隊の恐ろしい小頭を除いて、他にいなかった。


 瞬時に凍りついた夜霧を尻目に、尊奈門と背後の男が頭上で日常会話を続ける。
「ダメですよ、こんな夜遅くに出てきたら! 冷たい風がお身体に障ります!」
「お前もだよ、尊奈門。張り切りすぎて風邪を引いたら、昼間の鍛錬も出来なくなるだろう」
「そ、それは……すみません」
 穏やかな低音に諭され、少年がしゅんと俯く。
 不埒者の強張った手元から、細い腕がするりと抜けていった。彼はこちらを気にした様子もなく、背後の小頭へ向けてぺこりと一礼してみせた。
「先に戻ります。雑渡さまも、えっと……先輩も、早く戻ってきてくださいね!」
 子供の健気な呼びかけは、夜霧の耳に入ってこなかった。
 くるりと踵を返した尊奈門が、元気よく詰所のほうへ駆けていく。パタパタと軽やかな足音が遠ざかり、やがて聞こえなくなっても、夜霧はいっこうにその場から動けなかった。

「││さて、新入り君」
 練習場に静寂が訪れたのち。
 頭上から、ゾッとするほど冷えた声音が響いた。
 地面に膝をついたままの夜霧の忍び頭巾が、強引に鷲掴まれる。グイと頭を反らされ、思わずうめいた先で、目が合った。
 タソガレドキ忍軍、狼隊の小頭。
 不気味な大男が、包帯の隙間から、鋭い眼差しでこちらを睨みつけていた。
 夜霧は、一言も発することができない。
 喉の奥が渇いて、呼吸さえ辛い。
 蒼白になったこちらの顔面をしばし眺めて、彼は、雑渡昆奈門は事もなげに言い放ったのだ。
「私の恩人を、自慰の道具に使おうとしたね?」

 



 つづく
020
微糖 @bitooooo.bsky.social · 06/02/2026
雑若土(2/3) 雑30、ヨギリ19、尊13で合ってるはず
屈強な忍者たちをまとめ上げている。
(……まともじゃない)
 星を眺めながら、運動場へと続く小径を歩く。
 まともな男ではない。穢らわしい忍びの仕事を生業とする人間が、あのような魅力を秘めているはずがない。
 あまり長く共に過ごしていたら、こちらまでまともでなくなってしまう。
「早く、戻ろう」
 自然と、決意が口をついて出ていた。
 はたと口元を塞いだ夜霧は、素早く周囲の気配を探る。どうとでも誤魔化せる一言だが、誰かに聞かれると面倒だ。
 幸いにも辺りに人影はなかったが、耳をそばだてると、代わりに運動場の向こうから、風に乗って微かに妙な声が聞こえてきた。

 年若い男の声。
 深く考えずに、夜霧はそちらへ足を向けた。既に昼間の鍛錬も終わり、寒空の下へ出ている仲間は他にいないはずだ。
 詰所の角を曲がり、奥の練習場をひょいと覗き込む。
「あれ、君は」
 そこで、つい声を上げてしまった。
 壁に並んだ木の板へ向かって黙々と手裏剣を投げていた彼は、こちらの声掛けにビクリと肩を揺らして振り返った。拍子に、構えていた四方手裏剣が足元へバラバラと落ちてしまう。
「うわっ! な、何ですか! こんな夜更けに」
「それはこっちの台詞だよ。諸泉……尊奈門くん、だったっけ」
 まだあどけない顔立ちをした少年が、身を竦めてまっすぐに夜霧を覗き込んできた。
 まん丸い瞳が盛大に歪んでこちらを睨みつける。
 いっぱしにタソガレドキの忍び装束を着込んでいるが、サイズが大きいのか、裾が余って手足の先にぶかぶかと皺を作っていた。
 意外な人物であった。夜霧はしばし瞬いたのち、膝を折って少年と目線の高さを合わせてやった。
「こんな時間に、何を?」
 彼の存在は、タソガレドキ忍軍の中でも有名であった。
 何でも、狼隊の恐ろしい小頭が庇った同僚というのが、この諸泉尊奈門の父親だという。その大恩に報いるため、当時十歳だった尊奈門少年は、病床に伏せった雑渡を三年もの間、献身的に介抱したとか。
「見ての通り、手裏剣の練習です!」
 その尊奈門は、まっさらな的を指差してキッパリと言い放った。
 古びた木の的の下には、いくつも同じ形の手裏剣が散らばっている。いつから練習していたのか知らないが、今のところコントロールの仕方を会得してはいないらしい。
「……こんな時間に?」
 呆れてそう尋ねる。
 既に、同僚たちは床に就く時間帯だ。素人同然の子供が、視界の悪い宵闇で多少訓練したところで、手裏剣の腕が上達するとは思えない。
 露骨に顔をしかめてみせた夜霧に、しかし少年は大きく頷くと、再び足元の手裏剣を拾い上げるのだ。
「狼隊の一員として、みんなと肩を並べたいんです」
 迷いのない、はっきりとした返答だった。
 篝火の明かりに照らされた丸い頬は、まだ恐れを知らない子供そのもので、キラキラと輝いている。
 その小さな手に持つ凶器を、我々忍者が何のために使うか、少年はきっと理解していない。ただ、必要な鍛錬のひとつとして、盲目的にこなしているだけだ。
(愚かな子だ)
 気付かれないよう、そっと嘆息する。
 忍びとして大成したところで、先など無いのに。ただ理不尽な命令に従い、自分たちと同じ人間を躊躇いなく殺め、仏様に顔向けできない愚行を重ねていくだけなのに。
「……べつに、無理して上達する必要はないだろう」
 呆れて、ついそう口にしてしまった。
 威勢の良い掛け声と共に、尊奈門の放った手裏剣が的の根本にポトリと落ちる。そもそも飛距離が足りていないので、小さな的に当たるはずがない。
「どういうことですか」
 口を尖らせた少年がムッとこちらを見下ろす。夜霧は笑みを張り付け、当たり障りのない言葉を選んだ。
「人には向き不向きがある。きみは、小頭のお世話の方が向いてるんじゃないのか」
 やんわりと窘めたつもりだったが、尊奈門はキッと眉尻を跳ね上げると、大きく息を吸い込んで声を張り上げた。
「それじゃダメなんです! 一人前の忍者として、雑渡さまのお役に立ちたいんですから!」

 無意識に、拳を握り締めていた。
 また、あの小頭様だ。話の巧みさと、卓越した技で、部下を導くパフォーマンスの上手い男。
 こんな子供まで、あの化け物にそそのかされて、汚れ仕事に手を染める道を選ぶのか。
(気に入らない)
 腹の中に、どろどろとした澱のようなものが溜まる。
 忍びの仕事を誇らしげにこなす、タソガレドキ忍軍の面々も。
 命をかけて部下を救う一方で、他人の命を奪うよう平然と部下へ指示する、あの小頭も。
 この異常な環境を何ひとつ疑うことなく、刃のついた凶器を投げる訓練に勤しむ、まだ年若い少年も。
(まともじゃない)
 およそ言葉にならない不快な感覚が、喉の奥に溜まっていく。
 食道から胃の腑へ流れ落ちる、泥のような感触。ああ、こんな場所に居続けたら、こちらまで気が触れてしまう。
「……な、何ですか」
 ふと、目の前で少年が瞬いた。
 怪訝そうに眉を顰めた尊奈門は、それでも視線を逸らさない。
「何が、おかしいんですか?」
 そう問われて初めて、夜霧は己が笑っていることに気付いた。

「ねえ」
 つとめて無害な笑みを張り付け、そっと片手を伸ばす。
 細い腕を掴むと、尊奈門は小さく肩を震わせた。
 だが、抵抗らしい抵抗はない。この愚かな少年はまだ、夜霧を仲間だと信じて疑いもしないのだ。
「忍者として役に立てる、もっと良い技を教えてあげようか」
 そう嘯く己の声が、掠れていた。
 案の定、少年は途端に目を輝かせた。どうせ汚れ仕事に手を染める末路なら、この場で己が消費しても良いだろうと、夜霧はそう思ったのだ。
「房中術って、知ってるかい?」
 穏やかに尋ねると、彼は大きな瞳を小刻みに揺らしたのち、力なく首を振ってみせる。
 自身の勉強不足を恥じているのか。低く嘲笑って、夜霧は続けた。
「今のきみのままで出来る、とても有効な術だよ」
 いい加減、退屈な忍務に飽き飽きしていたのだ。
 きちんと与えられた仕事をこなした。十分に情報を
130
微糖 @bitooooo.bsky.social · 06/02/2026
ムシャクシャしたので雑若土の話を書こうとした 出来上がったらどこかに載せます 大体いつも通りの雑土です(1/3)
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「雑若土のさわり(30×19)」、「@cEzE_LYAarhou」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 退屈な忍務だった。


 最強の呼び声高いタソガレドキ忍軍。事前情報のものものしさに反して、存外とあっさり潜入することができた。
 何でも、火薬を扱う狼隊の小頭が復帰したため、それぞれの隊の人数や構成が動いたらしい。その境目にするりと入り込んだ夜霧を、不審に思う者は誰一人として居なかった。
 タソガレドキ軍の忍び隊へ潜り込み、内部を詳しく探ること。
 派手な戦闘もなければ、血を見ることもない。ただ、周囲に違和感なく溶け込んで、同じ隊の者からそれとなく情報を聞き出せば良い。それが、夜霧に与えられた忍務のすべてだった。

(退屈だ)
 陽が傾くまで鍛錬に勤しむ、狼隊の面々。
 その日は、皆が汗水垂らして武術の稽古に励む様子を、詰所の陰から見るともなしに眺めていた。
 タソガレドキ軍の忍者は、誰も彼も士気が高い。
 汚れ仕事の多い忍び隊にあって、皆が己の役割に誇りを持っている。今まで夜霧が見てきたどの忍び隊よりも、矜持を持って忍務に取り組んでいた。
(何が楽しい。こんな、ドブのような生き方が)
 所詮、日陰者として生き、日陰者として死ぬだけの集まり。
 夜霧の知る忍者とは、そういうものだ。領主や大名たちが気持ち良くいくさを進めるために、情報を集め、刃向かうものを消し、裾野の露を払う。そうやって、自分が生き延びるだけの食い扶持を稼いでいる。
 タソガレドキ忍軍の仕事も、例外ではなかった。いくさ好きの悪い殿様を主と仰ぎ、ほうぼうの城へ戦火を広げるために、日々手を尽くしている。およそ、誇りの持てる仕事ではない。
(でも、他の城とは違う)
 この忍び隊に潜入して、ほんの一月ほど。それだけで、十分な情報が手元に集まった。
 タソガレドキ忍軍の隊の構成、人数、指揮系統。どこを突き、誰を消せば、この軍が総崩れするか。夜霧の調査は、ほとんど終わりを迎えている。
 界隈最強と恐れられるタソガレドキの忍び隊。その強さの理由は、思いがけないところにあった。
(││皆、そんなにあの小頭が好きか)
 詰所の扉に凭れかかったまま、首にかけた手拭いで頬の汗を拭う。
 鍛錬も仕事のうちだと、狼隊の士気は今日も高い。その理由が、隊の中心で鋭い隻眼を細め、部下たちの様子を見張っている。

 異様な存在であった。
 大きな全身を包帯でグルグル巻きにしており、忍び頭巾からは片目しか覗いていない。眉毛はなく、目の周りの皮膚は赤黒いまだら模様に変色している。
 タソガレドキ忍軍、狼隊の小頭、雑渡昆奈門。
 つい先日、病床から復帰したのだと聞いた。
 新入りのお前は知らないだろうと、狼隊の面々から食事のたびに彼を称えるエピソードを延々と聞かされたので、すっかり素性を覚えてしまった。
(あれは、化け物だろう)
 心中毒づく。
 周囲から頭ひとつ分抜き出た大男。炎に巻かれて三年間も床に伏せっていたらしいが、傍目に見る限り、忍び装束の下には無駄なく筋肉がついている。
(あんな酷い火傷を負って、あそこまで動けるようになるのか)
 夜霧は、狼隊の末端に属している。
 狼隊の小頭である雑渡が、血気盛んな部下との手合わせに応じ、軽くいなしていくさまを何度も見ていた。少し前まで寝たきりだった男とは思えないほど、忍びとしての技が卓越している。
 正面から立ち向かって勝てない相手ではないが、苦戦しそうだ。
(それに皆、あの化け物を崇拝している)
 この一月余り。
 忍務の間も、鍛錬の時も、食堂でも。小頭の話を聞かない日はない。
 タイミングが合えば、部下の食事に同席して話を聞きに来る。上に立つ者として、狼隊の一人ひとりが頭に入っているのか、相手に合わせて雑談の中身を変える。一度話しただけの末端を前にしても、名前を間違えることすら無い。
 あの酷い火傷も、逃げ遅れた仲間を庇って負ったものだとか。彼に関する武勇伝は話に事欠かないようで、こちらが黙っていても溢れんばかりの情報が入ってきた。
 無意識に、ひとつ舌打ちを漏らす。
(││気に入らない)
 忍者として洗練された、逞しい姿。
 その佇まいが、どうにも受け入れられない。
 だんだんと陽が落ちて、辺りが夕焼けに包まれていく。少し先の運動場で鍛錬に勤しんでいた狼隊の仲間たちが、小頭の一言で得物を置き、めいめいに散っていく。こちらが物思いに耽っている間に、本日のメニューはすべて完了したようだ。
「お前、大丈夫か?」
「脚を痛めたって?」
 詰所に戻ってきた面々に声をかけられ、夜霧は曖昧に笑った。潜入調査中の鍛錬ごっこが面倒になって適当についた嘘を、皆疑いもしない。
(我ながら、随分と信用されたものだ)
 同僚たちへにこやかに返事をしたのち、夜霧もまた、皆に続いて詰所の中へと戻った。我らが狼隊の小頭はまだ外にいたが、あまり長く同じ空間にいるのが、どうにも居心地悪かったのだ。


 夕食を終えて、夜風に当たろうと詰所を出る。
 さて、いつここを離れようか。忍軍の内部はあらかた調査し終えたが、漏れは無いだろうか。
 あまり長居はしたくない。周囲から怪しまれる前に退散し、本来の傭兵団へと戻りたい。
(……戻ったところで、やることは変わらないが)
 星空を見上げ、ひとつ嘆息した。
 夜霧が身を置く傭兵団は、金次第でどんな依頼もこなす集団である。金を積まれればどこへなりと赴き、城主に取り入る。そして、金次第で平然と城主を裏切り、根絶やしにする。そういう、いかにも忍び隊らしい汚れた生業であった。
 自らの手を汚さないだけ、この軍で周りを騙し続ける方が気が楽であった。だが、そろそろ戻って報告をしないと、こちらの裏切りを疑われてしまう。
(……ここは、あまり長居する場所じゃない)
 寒空に、漏らした吐息がうっすらと濁る。
 自らの仕事に誇りを持つ、士気の高い忍びたち。心を殺して命令に従う夜霧とは、根本から違う。
 その中心には、部下のために平気で命を投げ出す、あの化け物のような小頭がいる。考えただけで、ゾッと背筋が凍った。
(あんなの、健全じゃない)
 まともな人間なら、忍びの仕事に誇りを持つはずがない。
 それを可能にし、この軍の士気をやたらと高めているのは、あの恐ろしい小頭の持つカリスマ性だ。圧倒的な求心力と、忍びとしての強さで、並み居る狼隊の
131
微糖 @bitooooo.bsky.social · 25/12/2025
そっか…
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 25/12/2025
ようこそBlueskyへ
020
微糖 @bitooooo.bsky.social · 18/11/2025
Twitter民、トイレに入り込んできたうちの猫でも見てくれよ
030
微糖 @bitooooo.bsky.social · 18/11/2025
ツイッターが動かなくなったって?
020
微糖 @bitooooo.bsky.social · 14/11/2025
これは雑→→→→土のタイプの雑土 この後そう遠くないうちに土が痛い目を見ます
印刷された本の本文の体裁で画像化されたテキストです。付記に「#いいねされた数だけ書く予定のない小説の一文を書く」、「@bitooooo.bsky.social」と記載されています。
以下は本文の内容です。

 
「……本当に?」
 尋ねる己の声が震えている。
 対照的に、深く頷いた眼前の男はいたって落ち着き払った態度だ。
「冗談でも酔狂でもありません」
 動じることなく応えた雑渡に、半助は無意識にごくりと喉を上下させた。
 確かに、保健委員の皆からも再三そう聞かされていた。どうにも信じられず、同室の恩師にぼやいたところ、まさか気付いていなかったのかと盛大に驚かれた。
 両手を拳の形に握り締め、渇く口を再度同じ形に動かす。
「……本当に、私のことが好きなんですか?」
 雑渡はやはり事もなげに頷いた。
「そう何度も確認されると、照れてしまいます」
 しれっと応じる男の口調から真偽のほどは知れないが、それが口先だけの台詞でないことは、周囲の反応が雄弁に物語っている。子供たちはともかく、誰より己の側にいる山田先生まで同じことを言うのだから。
 しばし、理解が追いつくのに時間を要する。
 かの有名なタソガレドキ軍の忍び組頭、雑渡昆奈門が、まさか己のような一介の教師を気に入るとは。
 反応に困って、中途半端に口を開いたまま、返答に窮してしまう。
「……そう、ですか」
 喉奥が震えるのを抑えられない。
 目と鼻の先に、鋭く細められた隻眼がある。
 長い時間をかけて、次第に頭が状況を理解し始めると共に、腹の奥から湧き上がってきたのは。


(使える)

 緩む頬をつとめて引き締めなければ、腹のうちがすべて顔に出てしまいそうだ。
 敵として対峙したこの状況下で、意図せず己に向けられた好意。
 使える。
(雑渡さんを、利用できる)
 不謹慎にも、口の端が歪むのを抑えられない。この笑みを、指先の震えを、目の前の男は都合よく解釈してくれるだろうか。
 背筋を這い上がる興奮に、知らず熱を帯びた吐息が漏れた。僅かに微笑んだ半助の顔を至近距離から覗き込み、雑渡もまたニマリと隻眼を歪めてみせた。
「その反応は、色良い返事を期待しても?」
 ごくりと息を呑み、半助は大きく頷いてみせる。
「……ええ。嬉しいです、雑渡さん」
 発した言葉の中身に偽りはない。この状況下で、願ってもいない僥倖だ。
 心からの笑顔を浮かべ、半助は次の台詞に少しだけ偽りを混ぜて、そっと上目遣いに男を覗き込んだ。
「あなたにすぐにでも触れたい気分です。良かったら、この牢から出してもらえませんか?」



 タソガレドキと同盟を結んでいる城の中で下手を打ち、生徒たちの代わりに牢へ放り込まれた。
 曲者の処分に赴いた同盟国の忍び組頭を、どう説き伏せるか攻めあぐねていたところだ。こちらが小首を傾げてそう訴えると、案の定、雑渡は二つ返事であっさりと牢の鍵を開けてくれた。
 礼を言って格子戸をくぐると、腕を引かれる。
 そのまま強く抱き寄せられ、有無を言わせず逞しい胸元へと収まる形になった。不意打ちに思わず身体が強張るが、この嫌悪を決して顔に出してはならない。
「助かりました。良かったら、城を出るまで目を瞑っていてもらえませんか?」
 男の腕を振り払う事なく、敢えて身を寄せてみせる。上目遣いに覗き込むと、雑渡はやはり嬉しそうに目を細めながら、鷹揚に頷いてくれるのだ。
「無論。恋人の頼みとあらば、いくらでも」
 この数秒で早くも恋仲の扱いになってしまったが、他に良い手段もない。生きて帰ることこそが忍者の本分である。目の前の難敵をやり過ごすのに、この程度の演技と方便で済むなら安いものだ。
「当てが無ければ、安全な脱出ルートをお教えしましょうか」
「良いんですか? ぜひ!」
 願ってもいない申し出に力強く頷く。雑渡は緩く笑みを浮かべたまま、心持ち身を離して半助の両手を優しく握り込んだ。
「無事に帰して差し上げたのち、改めて想いを伝えます。受け入れていただけますね」
 いつもの鋭い語気が、今はすっかり形を潜めている。
 穏やかに響く甘い低音に、何だかむず痒いような、居心地の悪いような、妙な感覚に陥る。喉元まで込み上げた違和感を瞬時に呑み下し、半助はすぐに行儀の良い笑顔をいっぱいに浮かべてみせた。
「ええ、勿論! ああ嬉しいなぁ、帰ったらデートでもしましょうか」
 今はこの場を離れることだけ考えるべきだ。忍術学園の中に転がり込んでしまえば、後はどうとでもなる。
 まだ、この男が己を本気で慕っているとは信じられない。何かの気の迷いか、先の軍師騒動の名残りか知らないが、恐らくは半助に対して過剰な評価をしているのだ。適当に相手をして、沢山情けないところを見せて幻滅させれば、すぐに興味も薄れるだろう。
 そうニコニコと両手を握り返す半助に、雑渡は何を思ったか、ふと身を屈めると。
「……ッ!?」
 口布越しに、触れるだけの口づけを仕掛けてきた。
 まずいと思ったが、瞬時に肩を強張らせてしまったのは仕方ない。ビクリと震えた半助からすぐに顔を離すと、雑渡はやはり柔和に目元を細めて。
「デートも、それ以上のことも、ぜひ」
 地を這うような低音が、耳元へゾクリと響いた。
 意思とは裏腹に、背筋が冷える。
 真冬でもないのに、足下が小刻みに震える。
 自然と、笑みが強張るのを自覚する。ぎこちなく引き攣った顔面をどうにか動かし、半助もまた男をまっすぐに覗き込んでやった。
「……は、はは。楽しみですね」
 この城を出るまで、忍術学園へ戻るまでの辛抱だ。
 無意識にごくりと唾を呑んだ半助から、雑渡が身を離す。そのまま目の前で踵を返したので、慌てて男の後を追うことにした。
 律儀な男だ。先ほどの言葉通り、安全な脱出ルートだけは確実に教えてくれるはずだ。今は彼の背中を追う以外のことを考える必要はない。




「その浅慮もまた、堪らなく愛おしい」
 先を行く雑渡が口の中で漏らした呟きは、後ろで帰宅後の算段を始めた半助の耳には届かなかった。通り過ぎる格子窓の外で、頼りなく揺れる三日月が、分厚い雲の向こうに隠れ始めている。



 ││
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 28/04/2025
なるほど低気圧真っ只中……頭も痛いし歯も痛いしメンタルも不調である
000
微糖 @bitooooo.bsky.social · 17/10/2024
遂に来たよ
000
微糖 @bitooooo.bsky.social · 22/03/2024
寝づらくない?
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 21/03/2024
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 16/03/2024
プレーリードッグ #猫
050
微糖 @bitooooo.bsky.social · 26/02/2024
しまい忘れちゃん
030
微糖 @bitooooo.bsky.social · 16/02/2024
おうおう おれさまの おごりだ
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 13/02/2024
ティンパニ奏者か?
010
微糖 @bitooooo.bsky.social · 10/02/2024
人間の足離さないマン 今日はここで寝ます
040
微糖 @bitooooo.bsky.social · 09/02/2024
ソファで寛ぐ猫たち
070
微糖 @bitooooo.bsky.social · 08/02/2024
そっか…
032
微糖 @bitooooo.bsky.social · 07/02/2024
やあ 猫だよ
060
微糖 @bitooooo.bsky.social · 07/02/2024
今日の昼飯強奪隊 中身は空なので安心です
000
微糖 @bitooooo.bsky.social · 07/02/2024
まあ床に落ちてる猫でも見ていけよ
060