「ああ、面白かった」
ワトソンはそうそう呟くと、満足げに本を閉じた。ハドソンさんを起こしてしまわないように、蝋燭に火をつけ、廊下に出た。手にした燭台の灯りが、寝静まった221bの階段をぼんやりと浮かび上がらせている。階段に打ち付けられたカーペットに足が沈み込む。ワトソンは息を殺して寝室へと向かった。
部屋に入ると、ホームズはもう寝てしまったようで、痩せぎすの背中が呼吸に合わせて微かに動いるのだけが見えた。
ワトソンはそっと毛布とシーツを捲り、ホームズの体温で温まったところに冷えた体を潜り込ませた。
「おやすみ、ホームズ」
ワトソンはそう囁いて目を瞑った。
「おやすみなさい、ワトソン」
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